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粒子状物質防げない朴政権の骨抜き大気汚染対策

ハンギョレ新聞 6月5日(日)12時15分配信

自動車・火力発電を除外し、次期政権に責任転嫁

朴大統領が「特段の対策」を指示して
20日で作った対策に期待できず

ディーゼル価格の引き上げなど課題残し
新たな火力発電建設計画も維持
閉鎖による粒子状物質の削減効果は消え
老朽車の廃車対策もすでに実施されたもの

必要に応じた火力発電の稼動臨時中止など
政府の意志が必要となる対策は含めず
国民を説得する広げる努力もなし

 朴槿恵(パククネ)大統領の「特段の対策」は結局、次期政権に託され、国民が嫌気をさす粒子状物質による大気汚染の心配は今後も続く見通しになった。

 政府の粒子状物質対策は2005年に始まり、「第1次首都圏大気環境基本計画」を皮切りに、粒子状物質が大きく問題になるたびに発表されてきた。直近では3月に「2016年粒子状物質展望及び対応策」を確定して発表した。先月10日に出された「粒子状物質に対する特段の対策を準備せよ」との朴槿恵大統領の指示で、政府が再び対策の確立に本腰を据えた時は、環境団体らは大統領が“元凶”と名指しした自動車や石炭火力発電所で画期的な対策が出されるとの期待感があった。だが、その期待は見事に外れた。

 3日、政府が発表した粒子状物質特別対策によると、環境部が「汚染者負担原則」に基づき提起したディーゼル価格の引き上げを含めたエネルギーの相対価格調整は、環境政策評価研究院をはじめ4国策研究機関の共同研究課題になった。現政権では手をつけないという意味だ。

 石炭火力発電所から誘発される粒子状物質を減らすための対策として、30年以上の古い発電所10基に環境に適応した処理をする案が含まれたことが、少しは目を引くが、これにより粒子状物質が急激に減るとは思えない。2029年まで20基の新規発電所を建設する計画が維持されているからだ。このうち5基はすでに建設が始まり、4基は着工を控えている。環境団体は老朽化した発電所10基の発電設備容量は3345メガワットであるのに対し、新規石炭発電所の20基は1万8100メガワットで老朽化した発電所の約6倍にもなると指摘し、少なくとも発電設備容量8420メガワットの9基の増設計画が中止されなければ、粒子状物質の削減効果は期待できないと主張する。ところが政府が明らかにした環境処理策は、閉鎖以外にも、石炭よりは少ないが粒子状物質を誘発するガス発電所に代えたり、相対的に汚染物質排出が少ない燃料で交代する案も含まれており、実際に閉鎖される石炭発電所は3つに過ぎないとも言われる。

 ユン・ソンギュ環境部長官は3日のブリーフィングで、今回の対策に新たに盛り込まれたディーゼル車の粒子状物質の低減策の事例として、窒素酸化物の実際の道路基準適用▽老朽化したディーゼル車に対する早期廃車転換▽ディーゼル路線バスの燃料を環境に優しい圧縮天然ガスへの転換などを挙げた。このうち老朽化したディーゼル車の早期廃車は、すでに首都圏の大気環境改善対策として2019年までに完了させるものが含まれている。2024年までにソウルの微小粒子状物質の濃度を20マイクログラム/トンまで下げることにした首都圏対策の目標達成を3年繰り上げて発表したのは無責任とまで批判される。ソウル環境運動連合のイ・セゴル事務処長は「具体的な実行計画もなく目標を高く設定したのは、次期政権に負担を転嫁させたに過ぎない」と指摘した。

 国民が高濃度の粒子状物質の脅威から抜け出すためには、長期対策だけでなく、高濃度の粒子状物質の飛散現象が発生、予想される時に取る短期対策が重要である。大気汚染の深刻度に合わせた自動車運行の制限案に、今回の対策であたかも新たに施行するかのように盛り込まれた公害車の運行制限地域(LEZ)とナンバープレートの番号指定による運行規制は、すでに施行されたか、推進が発表されたものだ。高濃度の粒子状物質が懸念される時期に石炭発電所の稼動を一時中止し、停止しているガス発電所を稼動するのは、政府の意志さえあればすぐにでも施行できる案の一つだが、現実には含まれなかった。

 “特段”とも言うべき案が採択されにくいのは、市民の経済負担に直結してしまうからに他ならない。環境政策評価研究院のコン・ソンヨン主任研究委員は「火力発電は安価だから使われる。自動車の運行も国民が自粛しなければならない。国民がより負担しなければならない状況になった」と話す。ディーゼル排ガス不正をしたフォルクスワーゲンの販売が逆に増えているのは、ディーゼル価格を変えずにディーゼル車の需要の抑制するのは不可能であることを示している。しかし、政府と与党には国民を説得する試みさえない。
(キム・ジョンス先任記者)

■発電・産業部門対策、40年以上の石炭発電所3基が閉鎖対象

電力予備率高く、止めても影響ない
2029年まで20基もの追加建設
「脱石炭」急ぐ時代の流れに逆行

 政府が3日に発表した粒子状物質対策で目立つのは、老朽化した発電所10基を廃止、代替、燃料転換することだ。現在稼動中の国内の石炭火力発電所は53基。このうち全羅道1、2号機(全羅南道麗水)と嶺東1号機(江原道江陵)の稼働から40年経過した3基が閉鎖対象になる見通しだ。現在の電力予備率は例年よりはるかに高い30%を上回っている。景気低迷で製造業の稼動率が下がり、電力使用量も減ったためだ。老朽化した発電所が稼動を中止しても、電力需給には大きな影響はない。

 問題は、電力生産で40%を上回る石炭火力発電への依存度を下げる意志が見えない点にある。政府は昨年、第7次電力需給基本計画を発表し、2029年までに18兆ウォン(約1兆6000億円)を投入し、20基の新石炭火力発電所を建設すると明らかにした。

 政府は同日、「新規火力発電所はさらに高い環境基準を適用して排出量を低減させていく」としたが、技術的な進展が実現するとしても、化石燃料を燃焼させる際に排出される大気汚染物質を完全に無くすことはできない。こうした根源的な限界があるため、世界各国は脱石炭時代を準備してきた。英国は石炭発電が大気汚染を悪化させる主な要因と判断し、2025年までの完全廃棄を決定した。にもかかわらず韓国は、原子力発電とともに石炭発電を増やす政策にこだわっている。
(ホン・デソン記者)

■道路・輸送部門対策、ディーゼルバス2万台を天然ガスに

交換費支援、燃料費補助金も支給
スタンド不足ですぐに効果は出せない
年内に道路上の飛散粉塵の地図作成

 政府は粒子状物質を減らすため、全国で2万台を超すディーゼルバスを、環境にやさしい天然ガス(CNG)に転換することにした。粉塵の排出が多い建設工事現場の管理も強化する方針だ。

 国土交通部は3日、粒子状物質対策の一環として「ディーゼルバスをエコ液化天然ガス(CNG)バスに変えれば費用を支援し、燃料費の補助金支援対象も、ディーゼルから天然ガスのバスへ拡大する予定」と明らかにした。天然ガスのバスは現在個別消費税を含め立方メートル(トン、圧縮天然ガスの単位)当たり84.24ウォン(約8円)を支払わねばならないが、これを燃料費補助金支給の形で戻すということだ。

 このため政府は来年、旅客自動車運輸事業法を改正して2018年から施行する計画だ。首都圏広域急行の「Mバス」の場合、これから天然ガスだけを新たに許可し、農漁村のバスや市外バスなどでも天然ガス車両を導入すれば様々な恩恵を与えることにした。天然ガスのバスに変えても政府補助金が支給されるので、利用料金の値上がりにならないと国土部は明らかにした。

 韓国では市内、市外、高速、広域の4万9991台の路線バスが運行している。このうち2万319台がディーゼルだ。長距離運行をする市外及び高速バスが大多数を占め、京畿道の市内バスもディーゼルが多い。

 問題は燃料スタンドの不足にある。天然ガスのスタンドは現在190カ所しかないうえ、何より高速道路周辺にスタンドがまったくない。国土部の関係者は「スタンド確保のため高速道路休憩所敷地を確保し、開発制限区域(グリーンベルト)のスタンド設置規制を緩和するなどの案を推進する」と話した。

 空気中に飛散する粉塵も集中的に管理される。道路上の飛散粉塵を減らすため、移動測定車両で通行量及び露出人口が多い道路を監視することにした。年内に粉塵の指導要領も作成する予定だ。
(キム・ソヨン記者)
(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:6月5日(日)12時15分

ハンギョレ新聞

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。