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沖縄の85歳元大工に「杉山英男賞」 クレテックを考案

沖縄タイムス 6月6日(月)9時56分配信

 【那覇】国内の木質材料・構造に関する研究や技術開発に多大な貢献をした個人を顕彰する「杉山英男賞」にこのほど、那覇市久茂地の元大工・呉屋繁雄さん(85)が輝いた。呉屋さんは1980年代はじめに木造建築の接合金具「クレテック」を日本で初めて考案。同金具で建物の耐震性も強化され、現在も国内外で広く流通している。呉屋さんは「この年で受賞者になり、驚いている。名だたる大学教授らが受けた賞に選ばれて光栄だ」と喜んだ。
 呉屋さんは南城市佐敷出身。終戦後、17歳で大工見習いとなり、米軍基地内の兵舎工事などに携わった。復帰後、仕事で訪れたサウジアラビアのツーバイフォー建築で使用されていた接合金具を見て「沖縄の木造軸組の工法と組み合わせて新しい金具が作れるのでは」とヒントを得たという。
 「クレテック」が考案される以前の木造建築は、職人が木材を加工し、組み合わせるのが一般的だった。同賞事務局は「当時、接合金具を国内の木造建築に使用するのは画期的な手法だった」と功績をたたえる。
 金具の普及で加工時間が減り工期が短縮したほか、木造建築の耐震性も飛躍的に強化された。木造家屋の被害が大きかった1995年の阪神・淡路大震災後は、さらに全国的に普及が進んだという。
 「クレテック」の名称は「呉屋」の「呉」にちなんで命名したという呉屋さん。駆け出しのころ、現場の棟梁(とうりょう)から沖縄の伝統的な木造建築の工法を学んだ。「くぎを打たなくても、台風に負けないぐらいしっかりしているのが沖縄の工法。新しい技術を生み出しつつ、昔ながらの技術を残したかった」と話した。
 杉山英男氏は木造建築の耐震性研究などで知られた東大名誉教授で、2005年に亡くなった。受賞式は15日、東大弥生講堂で。

最終更新:6月6日(月)9時56分

沖縄タイムス