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杉森久英さんの書簡初公開 七尾出身の直木賞作家、18日から企画展

北國新聞社 6月6日(月)3時38分配信

 七尾市出身の直木賞作家杉森久英さん(1912~97年)の直筆書簡が18~20日、同市で開かれる企画展(北國新聞社後援)で初公開される。書簡は杉森さんの年譜を作成した司書が市に寄贈したもので、杉森さんの機知にあふれ、誠実な人柄がしのばれる一級資料となる。杉森さんの長女で東京女子大名誉教授の佐々木涼子さんが市に寄贈した家族写真なども展示される。

 書簡は、元国士舘大図書館司書の渡辺美好(みよし)さん(72)=横浜市=が86年から、杉森さんの書誌(著作目録)を作成する際に交わしたもので、90年に書誌「杉森久英」(日外アソシエーツ刊)が完成した後も交友が続き、杉森さんが亡くなる前年の96年までの貴重な直筆の記録となる。

 書誌に掲載する年譜を作成することを、杉森さんが承諾するはがきには「捜査の手が張りめぐされて、いよいよ逃げも隠れもできないという感じです」とだけ太いペンで書き、作家らしいユーモアがにじむ。杉森さんが赤ペンで丹念に訂正した年譜の校正刷りも残されており、伝記小説で高く評価される杉森さんの几帳(きちょう)面(めん)な性格がうかがえる。

 完成した書誌を受け取った杉森さんが書いた礼状からは「裸にして隅々まで調べられているみたいで妙な感じですが(中略)悪い気はしません」と喜ぶ様子が伝わる。「たけのこおいしく頂いています」などの生活感がにじむはがきも残る。

 直筆の書簡は、18~20日にJR七尾駅前の商業施設「パトリア」で開催される杉森久英記念文庫活用研究会の企画展「直木賞を受賞したあの日、あの頃」で展示される。季刊「北國文華」第68号に掲載された仕事風景や家族写真、全56冊の著作物、直木賞の正賞の時計や目録なども並べられる。

 杉森さんは、旧美川町出身の作家島田清次郎(1899~1930年)を題材にした「天才と狂人の間」で直木賞を受賞した。企画展では18、19日午後2時から島田のベストセラー小説を原作にした映画「地上」(大映、57年公開)を上映する。入場は無料となる。

北國新聞社

最終更新:6月6日(月)3時38分

北國新聞社