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いよいよ発売!『ピアノショック!/中村ピアノ』安西伸一が綴るアルバムライナーノーツ

BARKS 6月7日(火)12時3分配信

いよいよ6月8日に発売になる中村ピアノ1stアルバム「ピアノショック!」。フラゲした方はこの記事を読みながら聴きこむとより一層楽しめるはずだ。

今回リリース決定後、真っ先に彼女の作品に飛びついてくれた、ベテラン格闘ライターであり、音楽ライターの安西伸一氏が彼女を取材し、アルバム解説をしてくれた。

■「ピアノショック!/中村ピアノ」収録全曲解説

01. バラバラ
中村ピアノよりオーソドックスに歌いこなす歌手は、いっぱいいるだろう。でも切なさを、こんなに美しいオブラートに包んで歌いきる女性は、そういない。息継ぎのために深く息を吸い込む、そのかすれた音でさえ、愛おしく、哀愁を帯びて聴こえる。まるでこちらに語りかけるように歌いかけてくる歌い方。歌詞では純愛を歌っているが、歌声の細部まで色香が漂う。ここに、この楽曲の異質な点がある。複雑に上下する主旋律。圧倒的にマネできない、力感ある歌声を、初めにいきなり見せつけられる。

02. キャンディ キャンディ
ホワイトデーのお返しに飴をもらったから、できた曲。キャンディ1つだと物足りないから、2つにした。アニメ声のようにも聴こえる歌声は、この曲限定。間奏部分の不協和音が、片思いする女の子の微妙な心理状態を描き出している。「夢の中では私はあんなに強くて可愛いのに 鏡に映るのは色気も華も無い可哀想な女の子」。両想いだったら、こんな歌詞は出てこない。「恋は盲目…」と歌いあげる、まどろむような声。一貫性のない、こんな思春期の女の子の不可思議な感情を叩きつけられたら、男子はただ、うろたえるしかない。

03. 真夜中アバズレシーソー
このアルバム最大の問題作。不思議なのは“お互いに好きな人がいるのに、こうなったのね…”と、浮気場面を切り取った曲なのに、しかもその描写がクッキリしているのに、それがまるで幼い子供たちの世界のようなのだ。子供のころ公園で遊んだシーソーのように、繰り返し揺れる男女の描写。クライマックスでは「さよなら また遊ぼう」と叫ぶと、鍵盤の上を指が激しく舞い、学校のチャイムを思わす旋律がけたたましく鳴り響いた。遊びの時間は終わり、現実に戻る瞬間。中村ピアノの“遊び心”は“エロス”を音楽にした。

04. 14歳
早く大人になりたいって思っていた少女時代。恋愛を一通りしたら、大人になれるんじゃないかって思っていたあの頃。この詩のように思っていたのが12歳ぐらいのときだったというのだ。それだと共感してもらえないかなと考え、曲名は『14歳』に引き上げた。「もう子供じゃないよ」と言いながら、自分はまだ子供だとわかっていて、あえて言っている。不安定な少女のさまは、衝撃的な歌詞となって、のしかかってくるような圧力で歌い切られる。複雑にシーンを変えていく曲想を、全力で歌いきっていく力量が見事だ。

05. 落花生
中村ピアノにしては珍しく、男女どちらにも当てはまるような歌詞。本音をチラチラ出しながら、ずるい駆け引きをしているようだ。前奏の部分で音がいったん止まり、それが曲に謎かけをするようなインパクトを残している。それを肯定するかのように、やや抽象的な歌詞が続いて戸惑わせるのだが、サビの部分で急にアップテンポになり、最後の最後で決定的なひとことを突きつけられる。「強がってもいつかはきっと きっと好きになるよ」。この曲は、この最後のクライマックスのためにあった。

06. 欲しいな。
全編、ピアノとヴォーカルで奏でられる、切ない楽曲。中村ピアノは、おじいちゃんっ子だった。おじいちゃんは彼女のことを、とてつもなく溺愛し、甘えさせてくれた。家で泣いていると抱っこしてくれた、大好きだったおじいちゃん。天国に召されたのは小学校6年生のとき。だんだん弱っていくおじいちゃんを見て、「私の命の半分くらい 全然惜しく無かったのに」と本当に思っていた。その思いを、彼女はメロディと言葉に乗せる才能に恵まれた。思いは遠い世界まで、届いただろうか。

07. 指切り
もともとライブでは、ピアノだけの“しっとりバージョン”でも歌ってきたので、以前を知るファンの間では、評価が二極化するかもしれない。途中、「指きりげんまん……」という台詞が入っているが、これは曲の後ろで楽器が奏でているようなイメージで聴きとれる、いわば回想シーンの演出で、このあと一転、曲調はアップテンポになる。元々は全編バラードで歌っていた曲を、変化をつけてアピールする曲に仕上げた。最後はフェイクというより、やりたくてプランを練った演出で締めている。

08. 103号室
オカルト。不思議な主旋律の展開に戸惑わされるだろう。歌声は機械的に処理され、聞き耳を立てていると「オンナジ目ニ遭ワセテアゲル」と不気味な歌詞が。ヴォーカルのうしろで、呪いの声のようなわななきが聴こえるのは、空耳か!? ラストで曲調がメジャーになるのは、“私、この人を殺してやったぞ!”という歓喜の意味。DVを歌詞にしたような曲だが、マイナーから転調したエンディングで、陽が差し込んだような明るいイメージにまとめ上げた。

09. ねぇ
ポップなアレンジだ。でもこれは以前、友人が自ら命を絶ったとき、葬儀場から帰宅してすぐに作った曲だった。連絡を取れる間柄だったのに、どうして何もできなかったのか? もう少しあの子と話したかったし、歌も聴きたかったなって、そう言ってくれてたって、後から知った。ラストが近付くと、中村ピアノは悲しさを中和するように「パンパンパン・パンパカパン!」と歌いあげる。これは聴き手のあなたがつらさを抱え込まないように入れた暗示。だからこそ歌詞が、素直に入ってくるのだ。

10. 火傷
旋律の上に乗った歌詞が、ストレートに伝わってくる。メロディは実に深く練り込まれていて、シンプルなピアノの独奏にして、まさに正解。息遣いさえエロく聴こえる、ヴォーカリスト・中村ピアノの真骨頂。このアルバムのトリを飾るのに、ふさわしい楽曲だ。
「私の目を見てよ」「ねぇ私の心が見えますか」。歌詞の中から突き刺すような言葉が飛び込んでくる。それは全部、中村ピアノのせいなのだ。同じ歌詞を繰り返さない彼女が、この曲では繰り返している。一番シンプルな自分自身を、ここでついにさらけ出した。

(文/安西伸一=音楽ライター)

『ピアノショック!』
2016年6月8日(水)発売
TH-103 2,500円(税抜)
16Pブックレット仕様歌詞カード
[収録曲]
01. バラバラ
02. キャンディ キャンディ
03. 真夜中アバズレシーソー
04. 14歳
05. 落花生
06. 欲しいな。
07. 指切り
08. 103号室
09. ねぇ
10. 火傷

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ライブ・イベント情報
6/17(金) 東京・タワーレコード池袋店 ※インストアイベント
6/19(日) 大阪・信長書店 日本橋店 ※インストアイベント
6/26(日) 東京・新宿グラムシュタイン<チケット残り僅か>
7/06(水) 愛知・名古屋ハートランド
8/07(日) 東京・恵比寿リキッドルーム ※夏フェス出演

最終更新:6月7日(火)12時3分

BARKS