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盲導犬同伴の障害者、入店拒否など「嫌な思い」9割…法的な罰則はないのか?

弁護士ドットコム 6月7日(火)10時45分配信

盲導犬を連れている視覚障害者の約9割が、外出した際に「嫌な思い」をした経験があることが、公益財団法人アイメイト協会の調査でわかった。

調査は、アイメイト協会が今年3月、全国の盲導犬利用者259人に対して実施し、102人から回答を得た。盲導犬を理由に「嫌な思い」を経験したことがあるかどうかを聞いたところ、91人(89.2%)が「ある」と答えた。

レストランなど飲食店で入店拒否されたケースが、78.9%と最も多かった。また、ホテルなど宿泊施設での宿泊拒否は33.3%にのぼった。

盲導犬を理由として、レストランが入店拒否したり、ホテルが宿泊拒否した場合、法的なペナルティはないのだろうか。南部弘樹弁護士に聞いた。

●法律で「同伴拒否を拒んではならない」と定められているが・・・

「盲導犬同伴を理由とする入店拒否にかんして問題となる法律は、身体障害者補助犬法と障害者差別解消法があります」

南部弁護士はこう述べる。それぞれ、どんな法律なのだろうか。

「身体障害者補助犬法は、盲導犬や聴導犬、介助犬(手や足が不自由になった人の日常生活を助けるよう訓練された犬)を身体障害者が同伴している場合、飲食店などの不特定かつ多数の人が利用する施設を管理する人に対して、原則として、『同伴を拒んではならない』としています。

しかし、違反しても、罰則はありません」

障害者差別解消法はどうだろうか。

「障害者差別解消法は、今年4月から施行されています。障害に関連することを理由にして、不当な差別的取扱いをしてはならないとしています。

しかし、こちらも違反しても罰則はありません。

ただ、悪質な業者に対しては、国が報告を求めることができます。業者が虚偽の報告などをした場合、20万円以下の過料の対象になります」

●障害者への配慮が収益に寄与する可能性も

どうして、罰則がないのだろうか。

「盲導犬を連れた男性が乗車拒否されたケースで、このほどタクシー会社に行政処分が下りましたが、タクシーのように客を拒んではいけないことがわざわざ別の法律(道路運送法など)で定められている場合や、国に虚偽の報告までした場合は別として、盲導犬の同伴自体を罰則を科してまで強制することは、時期尚早だという政策判断です。

また、罰則は『最後の手段』ですから、そもそも盲導犬の同伴拒否について、罰則を科すこと自体が妥当でないという考え方もありうるでしょう」

今後どのような社会になっていくべきだろうか。

「日本は世界でもっとも速いスピードで高齢化が進んでいます。そして、高齢化社会は障害者が急増する社会でもあります。現在でも、日本の人口のうち約20%は70歳以上の高齢者です。約6%は障害者が占めるようになりました。

店側からすると、盲導犬など補助犬の受け入れなど、障害者への配慮が実はその店の収益に寄与する可能性もあることを念頭に置いたほうがよいかもしれません。

また、ほかの客から考えると、たとえ今は必要がなくとも、将来、自分あるいは家族が加齢などにより障害者になり、盲導犬や聴導犬、介助犬などの助けが必要になることは、いつでも起こりうる事態です。

盲導犬や聴導犬、介助犬が広く受け入れられることを通して、バリアフリー・ユニバーサルデザイン社会実現の取り組みをより進めていくことは、すべての人々の利益になると思います」

南部弁護士はこのように述べていた。



【取材協力弁護士】
南部 弘樹(なんぶ・ひろき)弁護士
弁護士、特定非営利活動法人日本障害者アイデア協会理事。障害者のアイデアが健常者を含めたすべての人が暮らしやすい社会の実現に大きく役立つことに注目し、障害者の経済的自立と社会のさらなる発展のため、障害者のアイデア活用へ向けた取り組みを行っている。
日本障害者アイデア協会URL:http://www.smile-idea.jp/
日本障害者アイデア協会FBページ:https://fb.com/372690732775194
事務所名:ノースブルー総合法律事務所
事務所URL:http://north-blue-law.com/

弁護士ドットコムニュース編集部

最終更新:6月7日(火)10時45分

弁護士ドットコム