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初の女性隊員、県警機動捜査隊で決意 被害者の痛み背負い犯人検挙へ

埼玉新聞 6月7日(火)10時20分配信

 「犯人を逃すことで同じ被害者を出したくない」―。いち早く事件現場に駆け付け、初動捜査に当たる埼玉県警の機動捜査隊。今春、県警初の女性隊員が誕生した。同隊刑事特捜第1係係長の徳村弘美警部補(49)だ。「毅然かつソフトに。女性の視点で、捜査手法の幅を広げたい」と意欲を見せる。

 主に強盗事件や性犯罪、連れ去り事案など、重要事件の継続捜査に当たる。ときに犯人を待ち伏せして現行犯逮捕する「よう撃」も。昼夜を問わず、覆面パトカーで発生現場に駆け付ける。体力的に厳しい現場だが「警察官になってから、休日はジムなどで体力増進を図っている」と鍛錬に余念がない。

 警察官を目指したのは刑事ドラマの影響が大きい。「格好良くて、あこがれていた」。女性警察官の募集がなかった1985年、県警の交通巡視員を拝命。その後、転任で念願の警察官になった。非行防止や児童虐待事案などの生活安全業務に携わったほか、鉄道警察隊も経験。「女性が被害者になる事案があまりにも多かった」と振り返る。性犯罪やドメスティックバイオレンス(DV)事案に対応するたびに、女性警察官による被害者ケアの重要性を痛感した。

 県警子ども女性安全対策課に在籍したときは、被害者の保護対策にも携わった。夫婦げんかの通報を受けて現場に駆け付けると、女性は「夫からDVを受けて興奮していた」。徳村さんは自身の経験を交えながら、女性の話に耳を傾けた。「これから頑張っていきたい」。聴取後、そう話した女性の穏やかな表情が忘れられない。

 長年の経験で実感しているのは「当事者に安心感を持ってもらうことで、犯人検挙に結び付く情報を得ることができる」こと。実際、被害女性への聴取で得た情報を基に、容疑者を早期に逮捕できた事例も多い。

 女性隊員として先駆けとなった徳村さんは、これまで接してきた被害者たちの痛みや思いを背負う。「警察官であり続ける以上、弱者が不安に思う社会を変える力になりたい」。凛(りん)とした表情に決意をにじませた。

最終更新:6月7日(火)10時20分

埼玉新聞