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「所得増えた」4割 需給調整やPR期待 農産物輸出50事業者調査

日本農業新聞 6月7日(火)13時50分配信

 日本農業新聞は、農産物・食品の輸出に取り組むJAや企業、農家ら50の事業者に、輸出に関するアンケート調査を行った。現時点で「輸出が農家の所得増大につながっている」と回答したのは42%にとどまり、「所得増大につながっていない」「どちらとも言えない」が合わせて58%と半数を超えた。輸出には販路拡大やPRに利点があると期待する声は多いものの、農家の直接的なもうけにつなげて輸出拡大の意欲を高めていくには、まだ課題が多いことが浮き彫りになった。

検疫、物流、日持ち課題

 調査は50の事業者に「輸出が農家の所得増大につながっているか」を3択で聞いた。輸出に取り組む理由や経営の中での輸出の位置付けも併せて聞いた。21社(42%)が「所得増大につながっている」と回答。「所得増大につながっていない」は14社(28%)、「どちらとも言えない」15社(30%)だった。

 輸出向けと国内向けの出荷価格の水準に言及した社のうち、農家所得がどちらも変わらないとしたのは18社。国内向けより輸出向けの所得が低いとした企業は3社、国内出荷より輸出向けが高いとした社は2社だった。

 ただ、「所得増大につながっていない」と回答した社も含めて、輸出にはさまざまな期待がある。メリットで最も多いのは「販路拡大」「国内需給の調整機能の役割」で、21社が挙げた。豊作時や需要減への対応策といった側面があり、国内価格の安定に主眼を置く社が多い。

 新潟県佐渡市で米を輸出する「佐渡相田ライスファーミング」は「国内の米消費の落ち込みが厳しい中で、輸出に活路を見いだしたい。単純にもうかるという理由では輸出していない」と説明。セロリなどを輸出する長野県JA信州諏訪も「国内需要の引き締めで輸出している。輸出で稼ぐという考え方ではない」と明かす。

 「輸出することでブランド化につながり、国内需要が活発化する」(葉などのつま物を輸出する徳島県上勝町(株)いろどり)、「国内市場に向けて大きなPRになる」(かんきつを輸出するJA広島果実連)など、宣伝効果を強調する社もあった。

 メリットを感じる一方で、「輸出向けの出荷数量はわずか」という意見も目立った。

 多くの課題も挙がっている。相手国の基準に合わせた飼料給与や梱包(こんぽう)など「手間が掛かる」「現地まで行って商談するのにコストがかかる」などの意見が相次いだ。そうした煩雑さを考慮すると、所得増大につながっているとは言いにくいと判断する社もある。輸出を広げていく上での障壁には「検疫」「物流」「日持ち」が挙がった。

 調査は5月下旬に実施した。農水省が輸出取り組み事例として紹介するJA、企業、農家を無作為に抽出し、電話で聞いた。

日本農業新聞

最終更新:6月7日(火)13時50分

日本農業新聞