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ジョコビッチが学んだこと [全仏テニス]

THE TENNIS DAILY 6月7日(火)18時5分配信

 トップレベルに上り始めたときのノバク・ジョコビッチ(セルビア)が、例えばロジャー・フェデラー(スイス)やラファエル・ナダル(スペイン)のような史上屈指の偉大な選手を相手にしなければならないことを、うれしく思っていなかったとしても、彼を責めることはできないだろう。

ジョコビッチがついに全仏で初優勝「僕のキャリアでもっとも素晴らしい瞬間」

「初めのうち、僕はこの時代の一員であることをうれしく思っていなかった」とジョコビッチは言う。しかし最後に、その考えは変わった。彼は大きなチャレンジに立ち向かい、自分のレベルを上げたのだ。

「僕は人生において、起こるすべてのことには理由があるということに気づいた。僕はある目的、意図のもとにこの位置に置かれたんだと思う。学び、育ち、進化していくという目的のもとに」とジョコビッチは続けた。

「僕はより強くなる必要があるということ、僕はふたりの素晴らしいチャンピオンたちと競い合っているのだという事実を受け入れる必要があるということに気づいたんだ」

 ジョコビッチは日曜日に全仏オープンの決勝でアンディ・マレー(イギリス)を3-6 6-1 6-2 6-4で破り、ついに、これまで彼から逃げ続けたタイトルを獲ったあと、こう言ったのだった。
 そのタイトル獲得で、彼は生涯グランドスラムを達成し、フェデラーとナダルを含む、この偉業を成し遂げたほかの7人に加わった。しかしジョコビッチは今、フェデラーもナダルもできなかったあることも果たした。それは4つのグランドスラム・タイトルを連続で獲るということ----1969年のロッド・レーバー以降、誰も果たせていなかった偉業だ。

 ジョコビッチのグランドスラム優勝回数は、いまや「12」となった。彼の前にいるのは「17」のタイトルを獲ったフェデラー、「14」のナダルとピート・サンプラス(アメリカ)という3人の男たちだけだ。

 サンプラス対アンドレ・アガシ(アメリカ)、ビヨン・ボルグ(スウェーデン)対ジョン・マッケンロー(アメリカ)など、過去にも、テニスのライバル関係が双方の力を高めたように、ジョコビッチはふたりの鍵となるライバル(そして今や、マレーもだが)の存在が、より強くなるための道を見つけるよう、彼に努力を強いたのだと信じている。

 それには、テニスの技術だけでなく、食生活や体の準備の仕方を変えることなども含まれている。ジョコビッチは現在、疑念の余地なきナンバーワンであり、29歳という年齢を考えれば、さらにタイトルを獲っていくことは可能だ。

「彼は今、最強の選手だ」とジョコビッチのコーチのひとり、マリアン・バイダは言う。「そして全仏のタイトルを獲ったことが、彼にさらなる推進力を与えるだろう」。

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 なお、これも私たちが2016年の全仏オープンから学んだことだ。

 屋根について。

 この全仏オープンのクレーコートには屋根が必要だ。しかし、すぐにそれを手に入れるのは無理だろう。まったく試合ができなかった1日と、2試合しか消化できなかった1日のあと、15日間の大会が16日やそれ以上を必要としなかったことに、皆が感謝している。全豪オープンとウィンブルドンは、すでに雨天時に屋根の下で試合を行う施設を備えており、全米オープンは今年から開閉式の屋根を持つことになる。悲しいかな全仏では、少なくとも2020年までは屋根の準備は整いそうにない。

 非常に近くて、遠い。

 ジョコビッチより1週間早く生まれた29歳のマレーにとって、グランドスラム・タイトルのこうも近くまで迫っておいて獲れない、というのはかなり辛いことだろう。確かに、マレーはすでに2つのタイトルを獲得しているが、同時に今や、グランドスラムの決勝で8度負けている。その内訳は、ジョコビッチに対して5回、フェデラーに対して3回となっている。

 スター誕生。

 全仏オープンの女子シングルスでチャンピオンとなったガルビネ・ムグルッサ(スペイン)は、キャリア最高の2位にランキングを上げ、今、真のスターになろうとしているように見える。彼女はまだ22歳で、フラット気味に叩く強力なグラウンドストロークを持ち、コート上では怖いもの知らずだ。
 土曜日に行われた決勝で、セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)に7-5 6-4で勝った試合の中、果敢な攻撃を続けた彼女の姿勢がそのことを物語っていた。ムグルッサ自身を含め、多くの人々が、これは彼女がこれから獲るだろう多くのグランドスラム・タイトルの最初の1つになるだろうと予測している。「私は野心的なの」と彼女は宣言している。

 セレナはどうなる?

 昨年のウィンブルドン優勝時点で4大会連続のグランドスラム優勝を果たし、獲得タイトル数をシュテフィ・グラフ(ドイツ)が持つ「22」まであと1つの「21」に伸ばしたセレナ。だが、その後、全米オープン準決勝、全豪オープン決勝で敗れ、セレナは立ち往生している。34歳の彼女は、もはや潮時なのだろうか?
「いやいやいやいや、違う違う」とムグルッサのコーチ、サム・シュミックは言っている。

 ロジャーとラファ。

 今回、本当に久しぶりに、34歳のフェデラーと30歳になったナダル(6月3日が誕生日)は、ロラン・ギャロスで主役を演じなかった。フェデラーがグランドスラムを欠場したのは1999年の全米オープン以来であり、ナダルは3回戦を前に棄権している。ふたりとも、その理由は故障。
 ふたりはあとどれくらい、グランドスラムの決勝まで勝ち進めるのだろうか? 
 そしてついに、新しい顔も浮上した。優勝を狙い得る次世代の新勢力の一角で、将来が楽しみなその新星は、ドミニク・ティーム(オーストリア)だ。22歳のティームは今回のパリで初めてグランドスラムの準決勝に進出し、そこでジョコビッチに敗れた。(C)AP (テニスデイリー/THE TENNIS DAILY)

最終更新:6月7日(火)18時5分

THE TENNIS DAILY