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【ブラジル】出版市場、実質12%縮小 塗り絵本ブームがダメージ軽減も

サンパウロ新聞 6月7日(火)4時30分配信

 ブラジルの出版市場は2015年、対前年比で実質12.63%の縮小を記録した。市場全体の15年の名目売上高は52億3000万レアル(約1560億円)と、14年の54億レアルを3.27%下回った。ブラジル出版業界の生産及び販売に関する調査結果として経済調査院(Fipe)と書籍出版業組合(Snel)、ブラジル書籍協議所(CBL)が1日発表した。

 同日付で伝えた伯メディアによると、CBLのルイス・アントニオ・トレッリ会長は「今まで1度もなかった。Fipeが04年にこの(調査)手法を採用して以降で初めての荒々しい急落だった」とし、「出版業界は危機の台風の目から逃れない。残念ながら、読書家でない国においては、書籍はいまだに第一に必要とされる類のものではない」と話す。

 出版業界全体の15年の売上高のうち、12億3000万レアルは政府向けの販売、そして残りの40億レアルは一般市場向けの販売だった。政府向けが前年比0.86%減、市場向けが同3.99%減と、いずれも前年を下回った。

 15年には、ブラジルの出版市場では塗り絵本のブームが起こったが、このブームが無ければ、出版業界はさらに深刻な打撃を受けていたであろう。トレッリ氏は「この現象が無かったら全体の数字はさらに大きく悪化していただろう。塗り絵本があって良かった。もし無かったら我々はもっと恐ろしい状況に置かれていた」と述べ、塗り絵本ブームが業界のダメージを軽減したと評価する。

◆販売数、生産数も減少

 15年には書籍の販売数も前年を下回った。政府向けの販売数が前年比14.98%減、市場向けが同8.19%減で、全体の冊数は14年の4億3570万冊に対して10.65%減の3億8930万冊にまで落ち込んだ。

 生産数は、14年の5億137万冊に比べて5460万冊少ない4億4685万冊だった。調査によると、この落ち込みの大半は児童や若者向けの書籍によるものだった。児童、若者向け書籍の生産数は前年に比べて3350万冊少なかった。

 関係各団体は調査結果発表の声明の中で「生産と売り上げは国内の経済危機による強烈な打撃を受けて落ち込んだ」「ブラジルの出版(書店)業界は15年にブラジル経済が経験した景気低迷のインパクトを強く感じた」と述べ、15年の業績低迷はブラジルが直面している不況によるものだとの認識を示した。

 「政府が図書館のための書籍購入プログラムをキャンセルしたという事実は、例えば、新たな読者層を形成するという我々の目標に影響を与える。そして悲しませる。なぜなら、それは一つの戦いだからだ。それは我々の業界よりも、ブラジルの人々、子供、家族、学校、先生、そして主に図書館に影響を与える」と、トレッリ氏は現在の状況を嘆いている。

 なお、同調査とは別に、調査会社のニールセン(Nielsen)が実施して今年1月に結果を公表した調査では、15年の書籍販売数は前年に対して2.52%増加、実質売上高は同7.0%減少したとされている。今回Fipeらが発表した調査結果との間に差異があるのは調査対象、手法等の違いによる。Fipeが出した数字は出版各社から集めたサンプルを基に推計したもの。そして、ニールセンの数字は書店やスーパーマーケットでの販売数をベースに調べたもの。

サンパウロ新聞

最終更新:6月7日(火)4時30分

サンパウロ新聞