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あの不快な「プーン」とおさらば! アース製薬に聞く蚊対策

SUUMOジャーナル 6月7日(火)8時0分配信

デング熱や日本脳炎などの感染症に感染する危険もあることから、蚊よけ対策には真剣に取り組みたいこの季節。効果的な蚊よけの方法について、アース製薬マーケティング総合戦略本部ブランド企画部課長の渡辺優一さんに聞いてみた。

■家の中に蚊を入れないのは実質的に不可能

ゴキブリ嫌いが高じてゴキブリ博士になってしまった編集部のK女史と私が、「春到来! わが家のゴキブリを徹底的に退治するには?」の取材で訪れたアース製薬本社に再び赴いたのは、初夏のある日のことだった。今年の3月から「蚊の飛び始め予報」を自社サイト公開するとともに、ユーザーに向けて「蚊の対策」情報も提供している「蚊よけのプロフェッショナル」に、効果的な蚊よけ対策を伝授してもらおうと考えたのだ。

当初、私が考えた筋書きはこうだった。まず、「家の中に蚊を入れない方法」を聞く。それから、「それでも蚊が家の中に入ってきちゃった場合の対策」を聞く。そして「蚊を増やさないための工夫」について聞く。…しかし、そんな私の予定調和的なストーリーは、渡辺さんのこの一言で、打ち砕かれることになった。

「蚊を家に入れないことなど不可能です」

蚊は、そもそも人間の体温や匂い、呼気(吐く息)に含まれる二酸化炭素などを感知して、人に寄って来るのだと言う。だから、どんなに扉や窓を厳重に閉めても、家に出入りする際に、人の体や服について家の中に入ってきてしまうと言うのだ。

確かに、食品や生ごみなどをエサとするゴキブリと違って、蚊にとっては、人間が「エサそのもの」。常にエサのあるところを求めていることを思えば、私たち人間に寄ってくるのはごくごく自然なことなのだ。

■家の中を「蚊に刺されない空間」に

どんなに頑張っても、家の中に蚊が入ってくることは防げないとなると、今度は、家の中に入って来た蚊をなんとかするしかない。どうすればいいのか。渡辺さんの答えは明快だ。

「それには、家の中を『蚊に刺されない空間』にすることです」

「電源を入れて使う液体蚊取りのように薬剤を揮散させるタイプの蚊取り器なら、薬剤が常に出ていて家の中に充満しているため、蚊が人の体や服について家の中に入ろうとしても、家の中に満ちている薬剤をいやがって入ってきにくくなります。常にスイッチを入れておくことで薬剤の濃度を一定にキープしておけば、仮に入ってきたとしても、10分程度でポトッと床に落ちるでしょう」(渡辺さん)

これが仮に、蚊が家に入ったことに気付いてからスイッチを入れるとすると、薬剤の濃度が十分なレベルに達するまでに時間がかかり、蚊を退治できるのは30分後くらいになると言う。だからこそ、常に蚊取り器をONにしておくことが、効果的な蚊対策の第一歩となるようだ。

「標準的な3LDKの間取りの住まいなら、蚊取り器をずっとつけっぱなしにしても、電気代は1日数円と、実にごくわずか。常に薬剤が出続けているので、窓を開けて風を通していても、効果が持続します」(渡辺さん)

■蚊取り器の使い分けや、置き場所にも工夫を

液体蚊取りのように薬剤を揮散させる蚊取り器は、どんな風に使うのが効果的なのだろうか。

「基本的に、部屋のどこに置いても空間内の濃度は同じになることが実験で証明されていますが、玄関ドア付近や、窓の近くに置いておけば、外や庭への出入り、洗濯物の取り込みの際などの蚊の侵入を、より防ぎやすくなるでしょう。コンセントに直接刺すコードレスタイプなら、玄関などの狭い空間でも場所を取らずにコンパクトに設置できます」(渡辺さん)

また、確実に蚊がいることが分かっている場合は、プッシュ式の蚊取りも役立つそう。

「プ~ンというあの音を聴いたらシュッとワンプッシュするのがオススメです。スプレー缶なので、昼はリビングに、夜は寝室へと持ち運びできる点でも使いやすいと思います」(渡辺さん)

ただし、ワンプッシュで必要な分の薬剤が一気に出てしまうため、風通しの良い部屋では、時間が経つにつれて、薬剤の濃度が薄まり、効果も低下してしまうのだとか。プッシュ式は、液体蚊取りと組み合わせて、ワンポイントリリーフ式に使うと良さそうだ。

【図1】左:液体蚊取りが薬剤を揮散させる仕組み。スイッチがONになっている間、常に薬剤が出続けているため、部屋の中の薬剤の濃度は一定に保たれる。/右:プッシュ式蚊取りの薬剤が部屋の中に行き渡るイメージ図。薬剤の濃度は、時間が経つにつれて、薄まっていく(画像提供:アース製薬)

■蚊の発生を防ぐのは難しい

ところで、家や部屋の近くで蚊を増やさないようにする工夫はあるのだろうか?

「植木鉢の受け皿や、水を汲み置きしたバケツ、一戸建ての周りの側溝やちょっとした水たまりなど、ごく少量でも水があれば、ボウフラが湧き、蚊が発生します。マンションでも、バルコニーでガーデニングなどを楽しんでいれば、そこがボウフラの温床となっている可能性は大です」(渡辺さん)

こうした蚊の発生源は、こまめに水を捨てたりすることである程度は防げるというが、雨が降る度に庭中の水たまりを排水することなど、現実的には難しい。家に蚊を入れないのと同様、家のまわりで蚊を発生させないこともまた、難しいのだ。それだけに、発生させないことにむやみにエネルギーを費やすよりは、家に入ってしまった蚊を退治することに注力するほうが、効率が良さそうだ。

【図2】住宅街に生息する蚊は主にこの2種類。左:「ヒトスジシマカ(ヤブカ)」。日中に活動するが、気温が30度を超えると、高温を嫌って日陰に入る習性があるため、文字通り、「藪」に潜んでいたりする。家の中には入ってこない。/右:「アカイエカ」は、夜から朝にかけて活動する。家の中に入ってきて人を刺すのは、こちらの種類だ(画像提供:アース製薬)

■プロが実践している‟蚊対策“は?

ここでK女史が、素朴な疑問を口にした。

「あのー、半分『都市伝説』のように言われていることなんですが、『血液型がO型だと刺されやすい』みたいなことって本当にあるんですか?」

いつも思わぬ角度からボールを投げてくるK女史に、渡辺さんは、またも穏やかな笑みをたたえながら「刺されやすい血液型の傾向があるとは聞きますが、科学的には証明されていませんね」と答えてくれた。「むしろ、『飲酒後は、体温が上がって刺されやすい』とか、そういった要素のほうが、刺されやすさに対する影響は大きいと思いますね」(渡辺さん)

最後に、ゴキブリのときと同様に、渡辺さんと、取材に立ち会った広報室課長の野崎秀之さんの両方に、「お二人はご自宅でどんな蚊対策を?」と尋ねてみた。

「出かけるときは、『水筒・ハンカチ・サラテクト(人体用虫よけ剤/防除用医薬部外品)』、家に帰ってきたら『手洗い・うがい・ノーマット(液体蚊取り/防除用医薬部外品)』。これが最強の対策だと思っています。ノーマットの殺虫成分は、虫の神経系に作用して殺虫効果を示す一方で、人を含む哺乳動物に対しては、分解酵素の働きで速やかに代謝され、尿などで短期間に体内から排出されるため、乳児のいる我が家でも、安心して使っています」(渡辺さん)

「家の中では、リビングにノーマット。寝室では、寝る前にプッシュ式の『おすだけノーマット』(防除用医薬部外品)です。ワンプッシュしてからだと、安心して眠れますから。そして、外に出るときは、ミスト式のサラテクトを必ず使います」(野崎さん)

暑がりで汗っかき、体温も高いのかとても刺されやすいという野﨑さんだけに、蚊よけ対策はとても念入り。社の実験施設で、ほかの社員と一緒に蚊の居る水槽に手を近づけると、野﨑さんの手のほうにばかり蚊が寄ってくるというから、確かに刺されやすい体質でいらっしゃるのかも。ちなみに野﨑さん、血液型はA型だそう。

いきなり私事になって恐縮だが、私の夫は、いつもリビングの窓のサッシを中途半端に開ける。そして、「網戸とサッシの隙間から蚊が入るからやめてよ!」と私が責めると、「ははは。こんな隙間から入ってくるわけないだろう」と嘲笑するのだ。

あまりに悔しいので、今回、「わずかな隙間でも、蚊は侵入してくるものでしょうか?」と渡辺さんに尋ねたところ、「蚊は常に、飛んだり何かに止まったりしているもの。『家の中に人がいる。吸いたい!』と思っているからこそ、窓の近くを飛んだり、網戸に止まったりしているわけなので、そこに隙間があれば、当然、突破してくるでしょう」とのこと。

…ふふふ、私の勝ちだ! そして私は、取材から帰るとその日のうちに、我が家にある液体蚊取り器をすべて引っ張り出し、玄関とリビングの窓の近く、洗濯物を出し入れする寝室の窓近くに置いた。この夏ずっとスイッチを入れっ放しにすれば、夜中の不快な「プ~ン」を聞かずに済むと信じて!

●取材協力
・アース製薬/害虫駆除なんでも事典<蚊の駆除>

日笠由紀

最終更新:6月7日(火)8時0分

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