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【ライヴレポート】DEZERT、Zepp Tokyoワンマンで「生きてるか?!」

BARKS 6月8日(水)22時12分配信

DEZERTが6月5日、Zepp Tokyoにて最新アルバム『最高の食卓』を引っ提げた全国ツアーのファイナル公演を開催した。<DEZERT presents 【DEZERT ONEMAN LIVE TOUR 2016【楽しい食卓ツアー】FINAL】>と題されたこの日のライヴ、会場にはびっしりの観客たちが蠢いていた。

◆DEZERT 画像

よくDEZERTのライヴに対して“狂気を孕んだ”という言葉が用いられるが、彼らのライヴには、むしろ希望や光が満ちている。この世界には闇や絶望へ浸ることへ快楽や未来を求める人たちもいる。すべては解釈の仕方だ。こんなにもドス黒くて生々しくて痛い幸福は、ここにしか無い。この日のアンコールで、千秋は「バンドを演ることも、生きることも無意味だ!!」と叫んでいた。同時に、何度も彼は「生きてるか!?」と声を張り上げていた。それは、自分自身へも向けた言葉だったのか。DEZERTは絶望を歌う。だけど、その歌に触れていると心に救いを覚えていく。その理由……それを今から説き明かそう。

絶望の淵から彷徨い出るように流れ出した黒い演奏。巨大なスクリーンには音がブレイクするたびにメンバーの姿がシルエットで浮かび上がっていた。幕が降りると、miyakoの歪みを上げたギターと衝撃を与えた破裂音を合図に、DEZERTのライヴが始まりの咆哮を上げた。緩急活かした暗鬱な『「あー。」』に合わせ、会場中の人たちが一斉に頭を振りながら暴れていく。「この歌には救いはない」「この場所には救いはない」。救いがないなら狂えばいい。舞台上の絶叫に立ち向かう形で騒ぎ奉ればいい。

「始めましょう」

身体中から魂を振り絞り暴れ狂えと言わんばかりに、千秋の声が熱狂を連れてきた。『「君の子宮を触る」』が、観客たちを絶望の奈落へと引きずり込んでいく。痛い衝動が、なんて快楽を呼び起こしていくことか。腹の奥底へと響く音の衝動。絶望のシュプレヒコールを上げろと言わんばかりに黒く重く唸る調べが、身体を揺さぶっていく。『「肋骨少女」』が精神に鈍い衝撃を与えていた。その音の拳は、舞台上へ傾づきたくなるくらい甘美な嬉しい痛みと慈愛に満ちていた。放たれる音の痛みが、とても心地好い。

「お前たちの遺書を書こう」

彼らは「暗い未来ですか?」と歌いかけてきた。DEZERTの歌は、絶望という奈落の底から光を見ていた。会場中の人たちも闇の宴の中、射し込む希望を肌に感じながらも、『「遺書。」』というドス黒い激情に触れ、理性を壊し、ただただ暴れ狂っていた。これぞ快楽を導く昂揚歌だと言わんばかりに。そう、これが暗い未来ですか? 唸りを上げて駆けだした演奏。『大塚ヘッドロック』を合図に、満員の観客たちが一斉に左右へ走り出した。千秋の指示に導かれるように大勢の観客たちが熱狂の中で蠢いていた。なんて頭を震撼させる、嬉しいくらいに昂揚を連れ出す黒いグルーヴなんだ。

「愛すべきみなさんのため、僕は本気でこのラブソングをここに届けます」

その言葉を合図に、激烈で重厚な『「殺意」』が鉄槌を食らわすほどの衝撃を持って襲いかかってきた。客席で歌い叫ぶ千秋。螺子の外れた感情を持って、その絶叫を誰もが愛おしく受け止めていた。理性はとっくに壊れている。その勢いを止めるなんてとてもナンセンスだ。一転、刹な色を携えながらも、闇の底を這いずりまわるように、DEZERTはゆったりと『「追落」』を響かせだした。絶望に包まれながら、底へ底へと沈みながらも、何処か浮遊していく感覚が気持ちいい。黒く心を塗りつぶし堕ちていく感覚の、なんて心地好い良いことか。絶望に浸りたい人ほど、絶望を導く旋律は愛おしい子守歌になる。

ともに歌おうと鼓舞するように流れたのが、ヘヴィなマーチングナンバー『おはよう』だ。スクリーンには、次々と言葉が映し出されていく。お前なりの生きるための答えを導き出せと言わんばかりに。今日が終わる前にその意味を感じとれと突き付けんばかりに。DEZERTの歌はとても希望に満ちている。ただ、その言葉が常軌や常識を否定しているだけのこと。

空間を活かした痛いセッション。刺を射す音に包まれながら、千秋は『包丁の正しい使い方~思想編~』を歌いかけてきた。清濁活かした演奏が、狂気と狂喜に支配された頭をガンガン攪拌していく。なんてサディスティックな快楽だ。SaZの重くうねるベース音が場内に染み渡っていく。「生きてる奴は声あげろ」「死んでる奴も声あげろ」。鋼のような豪音を轟かせた歌と演奏が会場中を支配した。凄まじい音の唸りに抱かれ、この身さえもぶち壊してくれと言わんばかりの勢いで、誰もが身体を折りたたみ快楽に溺れていた。「何度も何度も同じことを繰り返す」「直視しろ」とけしかける千秋。観客たちは逆ダイし、何度も雄叫びを繰り返していた。途中、千秋がSaZからベースを奪い取り演奏。ベースを手にした千秋が客席に降りて客たちを煽れば、今度はmiyakoからギターを奪い取り、千秋がふたたび客席へ降りて煽っていた。狂うことにルールなんかいらない。必要なのは野獣な感覚。導かれるがまま、ただただ狂えばいい。

「俺はお前たちが嫌いだ、これが君たちへの教育だ」

観客たちの歌と絶叫のやり取りを通し、場内をヘドハンの渦へと染め上げた『「教育」』。轟音な衝撃を「ぶっ潰す!!」と次々ぶつけながら、場内を暴れ奉る様に変えた『「不透明人間」』。理性を叩き壊す気狂った宴は、沸点に到達した熱をもっともっと煮え立たせていた。

「すっげぇ汚くてうざくて偽物っぽくて、だけどこれが僕たちの正しい歌だ」

場内中から沸き上がった雄叫び。誰もが、自分たちの心に光を指し示す昂揚のエールとして『「セイオン」』を熱狂で抱きしめていた。醜い音が、汚い音が、最高の快楽のように。深い深い奈落の世界へと導いた演奏。「答えはきっと真ん中にあると思うんだよ」と客席中央で絶叫する千秋へ左右に分かれた観客たちが突進してはグチャグチャにまみれだした。もみくちゃにされながらも、客席のど真ん中で千秋は叫び続けていた。これが至上の快楽だと言わんばかりに。『包丁の正しい使い方~終息編~』が連れ出した狂った絶頂の奉り。続く『「秘密」』でも、ヘドバンのバトルに酔い狂う観客たち。「まわりに流される日本人どもめ、お前らが世の中を悪くするんだ。せいいっぱい息をしろ!!」と4人に煽られ、観客たちは狂い続けていく。

「苦しいのはお前だけじゃない」

舞台上で大きく揺れる無数のかがり火。DEZERTはふたたび奈落の闇の中へ観客たちを引き込みだした。感情の振幅に合わせ大きさを変えていく炎。『「擬死」』は、4人の心臓へと繋がる動脈のような歌だ。感情が苦しそうに揺れ動くごとに、その血流は、汚れた音となって触れた人たちの心を汚していく。その血がないと、もはや誰も生きられないと知っているからこそ、彼らはどんどん黒い血を注ぎ込んでいた。ゆったりと、闇の底を流れるように場内へ浸透し始めたのが、『脳みそくん。』。静かなる狂気の波紋が会場へと広がる中、アンコールの物語は優しく幕を開けた。

「なんでバンドをやっているのか?!」「全部が無意味なんだ。この言葉の意味が3年後わかるバンドになりたいと思います」「無意味なことをずっと繰り返していこうと思うんです」「無意味に飛んじゃって」

轟きを上げた『MONSTER』に合わせ、無邪気に飛び跳ね、頭を振りまくる観客たち。感情をガンガンに上げていく歌が、騒がずにいれない衝動と衝撃を与えていく。理屈なんか消してしまえ、脳味噌をイレースしてこそ、ここに居て狂う意味がある。

「意味ありげに騒げ!!」

鋭い刺を生やした雄大な音が襲いかかってきた。演奏が進むごとに高ぶっていく感情。昂揚の歌『doze.』が歓喜を身体に刻んでいった。『『doze.』に合わせ、咆哮せずにいれなかった。「勝負しようぜ!!」「ブチ上がって!!」という千秋の煽りに喧嘩をふっかけなきゃ生きれなかった。もはや、舞台上とフロアのどちらが先にくたばるか、そんな闘いが繰り広げられていた。

「無意味だと確信したけど、一個だけ聴いていい? 生きてるか?!」

重く重く、これでもかと言わんばかりに黒い重厚な音を突き付け、生きてることを実感するように、誰もが『切断』に合わせ、叫び狂うことで生を享受していた。火照った身体をびしょ濡れのタオルで包むように、千秋の高ぶる雄叫びを合図に、DEZERTは最後に『「ピクトグラムさん」』を叩きつけてきた。気持ちに高ぶるエナシーと昂揚を与えていく楽曲だ。傷ついた心に寄り添う、"傷だらけな傷を癒す歌"に心が笑顔を浮かべていた。「生きていればいい」。その言葉が確かな明日への約束の指切りのように響いていた。

2時間半に渡り、「生きる」力を授けてくれたDEZERTのライヴ。彼らが交流を求めようが、マスターベーションだろうと、そんなの関係ない。ただただ、全力で生を感じとれる濃密な時間を共有出来たのだけは間違いないのだから。

撮影◎インテツ/Takuya Orita

最終更新:6月8日(水)22時12分

BARKS

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。