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【ライヴレポート】D’ERLANGER、過去の再現でもなければ、未来図の模索でもない、今

BARKS 6月8日(水)22時18分配信

去る5月2日、福岡・DRUM Be-1で幕を開けたD’ERLANGERの<THE FOUR SPIRITUAL AWAKENING TOUR 2016>。そのツアー・ファイナル公演が6月4日、東京・赤坂BLITZにて行なわれた。

◆D’ERLANGER 画像

いかにも意味ありげなツアー・タイトルが深読みを誘うが、場内に流れるBGMがPRIMUSの「Jerry Was A Race Car Driver」に変わると、それまで和やかだったその場の空気が一転し、一気に熱を帯びる。彼らのライヴに足繁く通ってきた誰もが、この曲が宴の幕開け到来を告げるものだと知っているのだ。

場内が暗転すると、ステージを覆う白幕に、十字架をかたどった照明がにじむ。オープニングSEに据えられていたのは「NOIR-C’est La Vie」。幕が消え、全景が露わになったステージ上の配置についた4人がまず炸裂させたのは「NOIR-D’amour」だ。kyoのシャウトが閃光のごとく闇を裂く。雷鳴のようなドラムとともに体感速度を増すこのオープニング・チューンは、先述のSEともども2007年発表の復活作、『LAZZARO』からの選曲によるもの。さらに、その余韻のなかで赤い闇に包まれながら聴こえてきたのは『D’ERLANGER』(2009年)に収められていた「Love me to DEATH」だった。

こうした序盤の流れひとつからも、今回のツアーが特定の作品に重きを置いたものではないことがうかがえようというものだ。実際、最新作にあたる『Spectacular Nite -狂おしい夜について-』が世に出てから丸1年以上が経過しているわけで、すでに同作はバンドとオーディエンス双方にとっての消化のプロセスを充分に経てきている。この場で披露されるべきは、同作をも含めたすべてを同列のものとする彼らの“今”の姿ということになるだろう。

そして実際、4人は、過去の再現でもなければ、未来図の模索でもない、今現在しか触れることのできないD’ERLANGERを体感させてくれた。あくまで復活後の楽曲を主体とするプログラムでありながらも、それが無理矢理な現役感の強調のようにはまるで感じられず、むしろ近年のアルバムからの楽曲たちが“新たなD’ERLANGERクラシック”と呼ぶに相応しいものとして熟成されつつあることを実感させられた。同時に、往年の名曲のひとつに数えられる「LULLABY」がもはや『Spectacular Nite~』に収められていた2015年ヴァージョンとも異なった姿にアレンジされていた事実にも驚きをおぼえたし、「SADISTIC EMOTION」のささくれだった刺激には、ロック・バンドがルーツに忠実なまま進化を続けていくことが可能だということを教えられた気がした。

しかも、それだけではない。中盤で披露された、いまだ正式なタイトルすら冠されていない新曲には、まさにD’ERLANGER然とした手触りと新鮮さの両方を同時に感じさせられたし、「柘榴」の導入部分に据えられたファンキーなセッションには、自然に身体を揺らされながら「この感じで1曲作ってくれたらいいのに!」などと思わされもした。各々のメンバーのミュージシャンシップの高さや、それ以上に人間力の強さが伝わってくるバンド力のすさまじさ、挑発的でありながら同時に妖艶さと包容力も併せ持ったkyoの扇動者としての稀有さについては改めて言うまでもないだろう。とにかくD'ERLANGERはこの夜も、彼らにしかできないライヴを、しかも今の彼らだからこそできるライヴを、最初から最後まで存分に味わわせてくれた。

アンコールに応えて披露された3曲の輝きも素晴らしかった。ことに最新型の看板曲というべき「CRAZY4YOU」を経ながらのジャム演奏中に白幕が下りて視界が遮られたのち、客席の誰もがそこで終着点に至ったと感じていたはずの空気のなかで、メンバーたちの影しか見えない状態で演奏された「BABY」の印象深さには格別なものがあった。幕で閉ざされた状態から始まり、最後の最後には同じ風景に戻るというその時間経過にもまた、何やら暗示的なものが込められているように感じられた。

すべての演奏終了後、スクリーン上に映し出されたのは、オーディエンスが何よりも待ち焦がれていたはずの、“次”に関する情報の数々だった。ツアーがひとつ終わろうと、それはD’ERLANGERの歩みにおける句読点のひとつにしか過ぎないものであり、彼らは自分たち自身にとっての未知の領域へと向かいながらこれからも前進を続けていく。そして2017年4月には、いよいよあの復活劇から丸10年を迎えることになる。いわゆる復活バンドとしての未踏の領域へと足を踏み入れつつあるD’ERLANGER。その未来には、薔薇色どころではない視界が広がっているはずだと僕は信じている。

取材・文◎増田勇一

■『D'ERLANGER 2016 LIVE情報』
【<hide presents MIX LEMONeD JELLY 2016>】
2016年7月18日(月・祝)舞浜アンフィシアター
OPEN/11:15 START/12:00
▼チケット
前売\12,000(税込) 発売中

【D'ERLANGER×Justy-Nasty 夏の京都&東京LIVE<The Time Machine Never Destroyed 2016>】
2016年8月7日(日)京都FANJ
(問)キョードーインフォメーション 0570-200-888
2016年8月11日(木・祝)渋谷duo MUSIC EXCHANGE
(問) HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999
OPEN/16:30 START/17:30
▼チケット
前売¥6,500 (税込) 当日¥7,000 (税込)
オールスタンディング ※ドリンク代別途必要
■FC (KIDS BLUE) 先行予約■
受付期間:2016年6月6日 (月) 12:00~6月13日 (月) 16:00
チケットデリにて受付
■一般発売:2016年7月16日(土)~

【<D'ERLANGER 2016 秋ツアー>開催決定】
2016年09月17日(土)高崎club FLEEZ
2016年09月22日(木・祝)長野LIVE HOUSE J
2016年09月24日(土)金沢EIGHT HALL
2016年10月01日(土)京都VOX HALL
2016年10月02日(日)京都VOX HALL
2016年10月08日(土)仙台MACANA
2016年10月09日(日)HEAVEN’S ROCKさいたま新都心VJ-3
2016年10月16日(日)福岡DRUM Be-1
2016年10月22日(土)岡山IMAGE
2016年10月23日(日)高松DIME
2016年10月29日(土)HEAVEN’S ROCK 熊谷VJ-1
2016年10月30日(日)柏PALOOZA
2016年11月03日(木・祝)HEAVEN’S ROCK宇都宮VJ-2
2016年11月05日(土)郡山CLUB #9
2016年11月12日(土)梅田クラブクアトロ
2016年11月13日(日)名古屋SPADE BOX
2016年11月20日(日)赤坂BLITZ
詳細は後日発表

【<D'ER≠gari 2016 feat.DEZERT>東名阪LIVE決定】
2016年11月26日(土)大阪STUDIO PARTITA
2016年11月27日(日)名古屋BOTTOM LINE
2016年12月02日(金)品川ステラボール
出演:D'ERLANGER, cari≠gali, DEZERT

【<KIDS BLUE STANDING SPECIAL 2016>開催決定】
2016年12月24日(土)TSUTAYA O-EAST

最終更新:6月8日(水)22時18分

BARKS