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4―6月期GDP「0%台」か。雇用が伸びているのになぜ潜在成長率が上がらない?

ニュースイッチ 6月8日(水)15時29分配信

シンクタンク予測。供給サイドの構造改革、地道に継続を

 4―6月期の実質国内総生産(GDP)成長率が年率換算で0%台の低い伸びにとどまる見通しだ。日本経済研究センターが7日発表した6月のESPフォーキャスト調査(シンクタンク予測)によると、39機関は平均でプラス0・12%の低成長と予測。円高、中国・新興国の経済減速、さらに回復力の弱い内需に熊本地震が重なった影響が出る。中でも円高が2016年度の企業収益を圧迫しかねず、円安に支えられた前年度の収益環境に“暗雲”が垂れ込めつつある。

<8カ月連続減>

 ESPフォーキャスト調査によると、1―3月期の実質GDP成長率(年率)の速報値が“うるう年効果”もあってプラス1・7%だったのに対し、4―6月期はこの反動減も表れるとみられる。

 内需は、GDPの約6割を占める個人消費の回復力が依然弱い。総務省の家計調査では、4月の実質消費支出は前年同月比0・4%減で、うるう年効果で増加の2月を除けば8カ月連続減少だった。

 外需も、財務省の貿易統計によると、4月の輸出は前年同月比10・1%減と7カ月連続で減少。対アジア輸出が同11・1%減と大幅に減ったほか、熊本地震に伴う自動車工場の操業停止を受け、対米自動車輸出が同4・4%減に落ち込んだことなどが影響した。

<円高基調、厳しい経営環境に>

 4月の平均為替レートは1ドル=111・23円と前年同月比で7・2%の円高で、足元の為替相場はさらに円高が進行。財務省による1―3月期の法人企業統計では2四半期連続の減収減益だったが、4―6月期も厳しい経営環境が想定される。

 米国の利上げ観測が後退したほか、英国が欧州連合(EU)を離脱すれば対ユーロ、対ドルで円はさらに買われやすくなる。また日本は17年度の消費増税延期に続き、参院選後の臨時国会に16年度第2次補正予算案(経済対策)を提出予定だが、積極財政は円高要因となりかねない。

 第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは「米連邦準備制度理事会(FRB)の中に、利上げができなくなることへの強い危機感が残っていれば、(米大統領選の11月までの期間では)7月の利上げがラストチャンス」と見通す。

 一方、日本は米財務省のけん制により「日銀は6、7月の金融政策決定会合で金融緩和に動けない。為替の“口先介入”を行うことで円高に応じるほかないだろう」と見通す。

《解説》
 雇用が伸びている中でもGDP成長率の低迷が止まらないのは、労働生産性が低いままで、潜在成長率が上がらないからだ。第二次安倍政権発足当初に比較的GDPが伸びたのは、巨額の財政出動に消費税増税前の駆け込み需要が重なったからと考えるべきではないか。効果の薄い金融政策に頼るのではなく、潜在成長率を上げるサプライサイドの構造改革を地道に続けるしかない。
(ニューホライズンキャピタル会長兼社長・安東泰志氏)

最終更新:6月8日(水)15時29分

ニュースイッチ