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野放し状態のブラック求人「懲役刑を含む罰則が必要」審議会で議論へ

エコノミックニュース 6月9日(木)8時35分配信

 「ブラック求人」のトラブルが後を絶たない。厚生労働省によると、ハローワークの求人内容が実際の労働条件と異なるとの相談が、2014年度で12,252件にのぼる。調査を開始した12年度は7,783件、13年度が9,380件と、増加の一途をたどっているのだ。

 3日、厚生省の有識者検討会は、労働条件を偽った求人をハローワークや民間の職業紹介事業者に出した企業と幹部に対し、懲役刑を含む罰則を設けるべきとする報告書をまとめた。過酷な労働を強いて使い捨てる「ブラック企業」とのトラブルを防ぐべく、求人詐欺へのけん制を狙う。今秋以降の労働対策審議会で本格的に議論を行い、職業安定法の改正を目指す方針だ。

 現在、職業安定法で労働条件の明示が義務付けられており、企業が自社サイトなどで“直接”募集して採用する際には、虚偽情報に対する罰則が適用される(6月以下の懲役または30万円以下の罰金)。しかし、ハローワークなどに虚偽の求人を出した場合の罰則がなく、是正を求める行政指導にとどまっているのが現状だ。

 報告書では、待遇の他にも「正社員での採用で残業がない」といった実際よりも好条件を謳ったブラック求人対策として、「罰則の整備など求職者保護の強化を図ることが適当」とした。

 虚偽求人は早急に解決すべき問題だ。特にブラック企業の違法行為は、個人の被害にとどまらず、日本社会と経済全体に影響を及ぼし、長時間の過酷な勤務やうつ病の罹患で少子化が進展する恐れもある。

 14年には、午前11時から翌日の午前8時の約21時間にわたって仮眠を取らずに働いた男性が、自宅に帰ろうとバイクで走行中、道路の電柱に衝突して死亡した事故が起こった。男性がその会社で働き始めたきっかけはハローワークの求人で、男性の母親は求人票を見せられた時、深夜勤務がないことやマイカー勤務不可などの条件を確認した上で「息子ならやっていける」とし、応募を勧めたという。ところが、実際の労働条件は求人票の内容と全く異なるもので、深夜勤務もあり、求人票の残業は月平均20時間であったが、実際は月134時間に及んでいたのだ。

 男性の母親は「その時間に戻って、求人票を破り捨てたい」と話している。これ以上ブラック企業の被害者を出さないためにも罰則を設け、多くの被害者が泣き寝入りしている現状を打開してもらいたい。(編集担当:久保田雄城)

Economic News

最終更新:6月9日(木)8時35分

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