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【インタビュー】レイジ、原点回帰のメロディック・パワー・メタル

BARKS 6月12日(日)10時23分配信

1stアルバム『レイン・オブ・フィア』(1986年)をリリースしてから30周年を迎えたレイジが、新メンバーを迎えてアルバム『ザ・デヴィル・ストライクス・アゲイン』を完成させた。

◆レイジ画像

長きにわたってバンドを支えたヴィクター・スモールスキとアンドレ・ヒルガースが脱退し、新たに元サウンドチェイサーのマルコス・ロドリゲス(G)、トライ・ステイト・コーナーではシンガーを務めるヴァシリオス“ラッキー”マニアトプロス(Dr)を迎えたバンドは、この新作で原点回帰と言えるようなストレートでメロディックなパワー・メタルを披露している。1990年代前半をイメージさせるような楽曲はどれもエネルギッシュで、新体制になり、バンドに新たな活力が生まれたような印象を受ける。30年という節目に相応しい内容になったこの新作についてピーヴィーとラッキーに話を聞いた。

――まず、新作のザ・デヴィル・ストライクス・アゲイン』の話の前に、ヴィクター・スモールスキとアンドレ・ヒルガースが何故脱退したのかを教えていただけますか?

ピーヴィー・ワグナー:2014年の終わり頃にかけて、メンバー同士の人間関係が完全に崩壊してしまっていたので、一度完全にクリアにして、すべてをゼロから立て直すしかないと悟ったんだ。それで2015年に入ってすぐに2人にサヨナラを告げたのさ。その時にはすでにマルコスと一緒にやっていくというアイディアが俺にはあったんだ。ちなみにこのラッキーは実は当時、バンドのマネジャーだったんだよ(笑)。2014年秋から手伝ってもらっている。それで、2015年1月にたまたまマルコスの誕生日パーティーに行った時、ラッキーが実はドラムをプレイできることを思い出したんだよ。彼は前にレイジにいたクリス・エフティミアディスに教わっていたんだ。しかも1990年代の初期にはクリスのドラム・テクをやっていたんだよ。で、そのパーティーの席でジャム・セッションが行なわれることになって、レイジの昔の曲を演ることになったんだ。そこで彼に「一緒に曲をプレイしてくれ」と言って、一緒にジャムってみたら、メチャメチャ良くてさ。もしかするとお前の天職はマネジャーじゃなくドラマーじゃないのかと思って、その後、改めてバンドへの加入を打診したんだ。

シリオス“ラッキー”マニアトプロス:確かに俺は以前ドラムをやっていたけど、あの当時はバンドでドラムはやっていなかったから、「ドラマーとしてやってくれ」と言われた時にはビックリしたよ。でも、ピーヴィーは俺にとってはヒーロー同然の人から、やって欲しいと言われたら、男としては引き受けなきゃいけないし、自分でもやってみたいと思った。それで、2015年の頭からバンドのレヴェルに追い付けるように猛練習に入った。その後、晴れてイエスと返事をして、今ここにこうしているわけだ。俺にとっては夢が叶ったようなもんだよ。

――マルコスについても紹介していただけますか?

ピーヴィー・ワグナー:俺とマルコスとは8年以上友達だったんだ。最初に会ったのはロンドンで、年月を経て徐々に親しくなっていったという感じかな。彼が実力のあるギタリストだということは知っていたけど、どういうわけか、彼がレイジにとってパーフェクトなプレイヤーだと気付いたのは随分時間が経ってからだった。遅ればせではあったけど、そのことに気付いて本当に良かったと思う。俺からバンドに加わって欲しいと言った時に彼は夢みたいだと言ってくれた。何しろ彼は、ティーンエイジャーの時からこのバンドの熱狂的なファンだったからね。彼はアルゼンチンで生まれて、ヴェネズエラで育って、18歳くらいの時にテネリフェ(スペイン領カナリア諸島最大の島)に移住し、さらにベルギーに移り住んだのが4年前。今もそこに住んでいるけど、今年中にはドイツに引っ越してくる予定だ。このバンドに入る前にはいろいろなカヴァー・バンドと、SOUNDCHASERという自分のバンドで活動してたことがある。そのバンド名でも、奴がどれだけ熱心なRAGEファンかわかるだろ(笑)?

シリオス“ラッキー”マニアトプロス:彼は本当に俺と同じくらいの熱狂的なレイジ・ファンなんだよ。バンドの初期の頃からずっとファンだった。彼は素晴らしいプレイヤーだよ。レイジのこれまでの曲を含めて何から何まで、どんなものでも弾きこなせる。それだけじゃなく、人間的にも素晴らしいし、俺たちとも凄く仲の良い友達なんだ。

――アルバムを作るに当たって、事前にどういったアルバムにしたいといったようなアイディアは具体的にありましたか?

ピーヴィー・ワグナー:うーん、100%ではないけど、あるにはあったよ。特に今回は俺たち全員が、ダイレクトでストレートなアルバムにしたいという気持ちがあった。ここ最近のアルバムにあった、いわゆるプログレ的な、複雑な要素からはちょっと離れてね。ラインナップを一新したり、この前のツアーのために昔の曲を覚え直したりしているうちに、1990年代のバンドのストレートなアプローチを思い出したことからの影響も出ているよ。今回のアルバムの曲には、その当時のスピリットを彷彿とさせるものが多いと思う。ストレートでハードでダイレクトで、曲のテーマやメロディに全然ブレがなく、ファンタスティックなコーラスに向かって曲がビルドアップして行くというところなんかね。

――曲作りはどのように行なうのですか?

ピーヴィー・ワグナー:俺の場合は、大抵暖炉の前に座って、アコースティック・ギターを抱えて、最初はまずコード進行を書くところから始める。それに合うメロディ展開を考え、メロディが決まれば、とっかかりとなる歌詞が出てくるんだ。何かヒラメキが飛んでくるんだよ(笑)。俺は今回、物凄くインスピレーションに溢れていた。一時期はほぼ毎日新曲を書いているような状態だったよ。そんな感じで、基本的にはまずアコギを使ってラフなアイディアを組み立て、それを大抵は携帯電話に直接録音する。そのアイディアをメールでマルコスに送ると、彼は即座に俺がやろうとしてることや、彼に対して求めていること、何かを考えているのかを察知してくれたよ。ほとんどの場合は2日後に、彼がアレンジを加えたデモが送り返されて来ていた(笑)。

――曲を作る上でレイジの音楽で特に重要なことは何ですか?

ピーヴィー・ワグナー:とりわけ重要なのは、俺の曲の書き方かな。コード進行ひとつとってもみんながやっているのとはひと味もふた味も違うものにすることを心掛けている。メロディも大抵は凄くわかりやすいかたちでクライマックスに達するようにしているよ。これは俺たちの音楽の非常に重要なトレードマークだと思う。もちろん、リズムについても、俺たちは昔から一貫して、いわゆる一般的なパワー・メタル系よりは少し一歩先を行くように、こだわりを持ってやって来ている。それと、マルコスはまだ凄く若い頃、ミュージシャンを志した頃から、俺たちの昔の曲に夢中になって、相当聴き込んでいたから、俺のやってきたような曲の書き方もよくわかっていたし、彼も彼なりに同じようなやり方をして来てたんだ。だから俺たちのアイディアはお互い完璧にフィットしたんだよ。曲を全部書いた後で、俺たちはソングライターのクレジットをワグナー/ロドリゲスにすることに決めたんだ。レノン/マッカートニーみたいなもんだよ(笑)。どっちがどの曲をどのくらい書いてたかなんて判別不能になっていたから(笑)。

――ベース・パートに関してはどの段階で考えるのですか?

ピーヴィー・ワグナー:ベースは最後の最後、最終段階だね(笑)。ギター・パートが全部決まってからだよ。曲を作っている最中には俺はずっとギター・リフを考えているんだけど、その基本的なリフの8割方にはベースも組み込まれているんだ。勿論マルコスはマルコスで、その基本のリフに対して彼なりにギタリスト的な見地から色々付け加えたりする。ポジションを変えてみたり…。それで、全てのグルーヴが決まった段階で、俺は最後に自分のベース・ラインを決めるんだ。

シリオス“ラッキー”マニアトプロス:俺は昔から、ピーヴィーはベーシストとして凄く過小評価されていると思っている。みんな、彼のことをシンガーとしてばかり取り上げるけど、ピーヴィーは並外れて素晴らしいベース・プレイヤーなんだ。ベースを弾きながら同時に歌うというのは凄く骨の折れる仕事で、時には混乱することもあると思うんだ。多分だけど、彼は曲を作っている段階で、最終的にプレイするベース・パートの大半がもう頭の中に浮かんでいるんだと思う。レコーディングの過程で、曲の展開を考えている最中に、ヴォーカル・ラインと並行して、何となく…彼の頭の中には「こうでなければならない」というものが必ずあるはずなんだ。俺はファンであり今はバンドのドラマーだから、一緒にプレイしていると、きっとここで彼はこう来るだろうと思うところがあって、そうすると、それがちゃんとその通りにビシッと来る。勿論、実際に音が入るのは最終段階だけど、パートのメインになる部分は作曲段階で最初から並行して出来あがっているんだと思う。

ピーヴィー・ワグナー:その通り。俺の中における良いベース・ラインというのは、ギター・リフとドラムが組み立てるリズム構成との間を埋める役割をするものなんだ。俺のプレイするものはいつもそういう考え方に基づいて決められている。こいつのプレイしているものとピッタリ連動して、俺たち2人が音楽を前に動かす推進力として機能しているんだよ。一緒に息を合わせて音をヒットすれば、1人ずつより遥かにパワフルに音を動かしていくことができる。みんながバラバラに好き勝手な方向にいっていたら、そういうムーヴメントは作り出せないんだ。だから俺はベースを接着剤的な役割として捉えているんだよ。ギター、ドラム、ベースというトリオ編成では特に、俺がみんなを繋ぐ役目を果たすべきだと思うんだ。それに加えて、ライヴではベースを弾きながらリード・ヴォーカルを務めなければならないことを多少なりとも考慮に入れると、ベースであまり複雑なことをやった場合、ライヴで手に負えなくなるんじゃないかという懸念が出てくる。ヴォーカル・ラインを追うことを前提にしていれば、必然的にベース・ラインはシンプルに徹するようになるんだ。メインになるコーラス部分を際立たせるためにも、引くところは引かないとね。

後編では、新メンバーのラッキーとマルコスについて、バンドの今後の活動についてお届けする。

文・Jun Kawai
Photo by Tim Tronckoe

【メンバー】
ピーター“ピーヴィー”ワグナー(ヴォーカル/ベース)
マルコス・ロドリゲス(ギター/ヴォーカル)
ヴァシリオス“ラッキー”マニアトプロス(ドラムス/ヴォーカル)

『ザ・デヴィル・ストライクス・アゲイン』
2016年6月10日発売
※日本語解説書封入/歌詞対訳付き
【通販限定直筆サイン入りブックレット付きCD+ボーナスCD+マイ・ウェイEP】\5,500+税
【日本盤限定スペシャル・エディションCD+ボーナスCD+マイ・ウェイEP】\3,500+税
【初回限定盤CD+ボーナスCD】\3,000+税
【通常盤CD】\2,500+税
1.ザ・デヴィル・ストライクス・アゲイン
2.マイ・ウェイ(ヘヴン・オア・ヘル)
3.ウォー
4.ザ・ファイナル・カーテン
5.オーシャン・フル・オブ・ティアーズ
6.デフ、ダム・アンド・ブラインド
7.スピリッツ・オブ・ザ・ナイト
8.タイムス・オブ・ダークネス
9.ザ・ダーク・サイド・オブ・ザ・サン
10.バック・オン・トラック
ボーナスCD
1.ブリング・ミー・ダウン
2.イン・トゥ・ファイア
3.レクイエム
4.ブラヴァド(ラッシュ カヴァー)
5.スレイヴ・トゥ・ザ・グラインド(スキッド・ロウ カヴァー)
6.オープン・ファイア(Y&T カヴァー)
マイ・ウェイ
1.マイ・ウェイ
2.ブラック・イン・マインド(リレコーディング)
3.セント・バイ・ザ・デヴィル(リレコーディング)
4.アプエスト・ア・ガナー(「マイ・ウェイ」スペイン語 ver.)

最終更新:6月12日(日)10時23分

BARKS