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インドの熱延セーフガード、経産省はWTO提訴も視野

鉄鋼新聞 6月9日(木)6時0分配信

 経済産業省は、インドが今年3月に正式発動した熱延鋼板のセーフガード(SG、緊急輸入制限)措置について、WTO(国際貿易機関)提訴も視野に、同国に対し措置撤回を求めていく方針。経産省はインドのSG措置が輸入量の増加認定などでWTO協定に違反しているとみている。インド政府に対してはすでに懸念を表明しているが、是正が見られない場合、WTOの紛争解決手続きの活用を検討する。

 経産省は8日、WTO協定など国際ルールとの整合性で問題のある主要国の貿易政策・措置をまとめた不公正貿易報告書の2016年版を公表。同報告書でインドの熱延SGを詳細に記述。WTO協定上の問題点を指摘した。
 インドは昨年9月、同国鉄鋼メーカーの提訴を受理し、SG調査を開始。同月中に上乗せ関税の暫定賦課を決定した。さらに今年3月にはインドセーフガード総局(DGSG)が正式に措置発動を決めた。期間は2015年9月14日から2年半で、上乗せする税率は20%。
 インドの熱延鋼板輸入量は15年で約460万トンで、輸入元は日本、韓国、中国、ロシア、ブラジル、ウクライナなど。日本からの輸入量は約140万トンで全体の約3割を占める。日本製の熱延鋼板は、11年発効の日印EPA(経済連携協定)に基づき基本税率がほぼ0%となっていたが、暫定発動後は上乗せ関税を課されている。
 経産省はインドの同措置について、輸入増加の認定などで、WTO協定に違反するとみている。日本製鋼板に関しては、EPA締結による増加分がそのまま認定に使われている点も問題視している。
 経産省は昨年10月、今年2月の2回にわたりDGSGと協議、WTO上の問題点を指摘し、措置撤回を求めてきた。
 日本が当事国としてWTOに協議要請(いわゆる提訴)した案件はこれまでに21件。このうち係争中の案件を除く17件で日本の主張に沿った判断が示された。こうした経緯もあり、協定違反が明白な貿易措置に対しては、WTOの紛争解決手続きを積極的に活用する方針をとっている。WTO協定違反が明白なインドの熱延SGについても、早期の是正措置がとられない場合、WTOへの提訴も視野に入れ問題解決を図りたい考え。

最終更新:6月9日(木)6時0分

鉄鋼新聞