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新日鉄住金ステンレス、6月契約の店売りクロム系冷薄1万円上げ

鉄鋼新聞 6月9日(木)6時0分配信

 新日鉄住金ステンレス(NSSC)は、店売り向けクロム系冷延薄板の6月契約販価を1万円引き上げる。独自のアロイリンク方式に基づくアロイ価格は5千円下げだが、1万5千円のベース値上げを行い、差し引き1万円値上げとする。SUS430などクロム系汎用品の国内需給が引き締まり、鹿島製造所の生産タイト感は強いが、収益状況は厳しい。鉄鉱石、原料炭価格の上昇による鉄源コスト要因もあり、「高品質の製品を安定供給する責務を全うするために再生産可能な採算レベルを実現したい」(楠木孝二郎薄板営業部長)とベース値上げに踏み切る。

 店売りクロム系冷薄の値上げは2015年4月契約以来。内需は業務用厨房、ガス・石油器具、家電など総じて堅調。足元では冷凍機向けも増えている。同社の薄板工場は鹿島、光製造所とも現有シフト体制でフル操業だが、特に鹿島のタイト感が強く「精整を一部外注するなど手を尽くし、納期順守に努めている」(同)のが実情。
 この環境下で収益改善を図り安定供給を維持していくため、ベース値上げに踏み切る。ヒモ付きについても市況連動性の高い取引を中心に個別交渉でベース値上げを図る。光製造所でも生産する高純度フェライト系ステンレスは基本的に今回の対象に含まない。
Ni系冷薄は5000円下げ
 新日鉄住金ステンレスは、店売り向けニッケル系冷延薄板の6月契約販価を5千円引き下げる。店売りニッケル系冷薄の値下げを公表するのは2012年8月契約以来ほぼ4年ぶり。5月契約分からアロイリンク方式を一部見直し、価格安定性をより高めた運用を始めている。それでもフェロクロム価格が若干下がり、また円高が進んだ影響で、独自のアロイリンク方式に基づくアロイ価格が5千円下がる。このアロイ価格変動を冷薄販価に直接反映する。
 5月契約から実施した見直しでは、月ごとの冷薄価格変動をなだらかにする狙いで、アロイ価格の前提とする原料価格指標(ニッケル価格、クロム価格、為替)の算定期間を「前月平均」から「前2カ月平均」に変更した。6月契約の場合、従来は5月平均と直前の4月平均を比較していたが、新方式では4、5月平均と3、4月平均を比較している。
 4、5月平均のLMEニッケル価格はポンド当たり3・98ドルで3、4月平均比0・01ドル安とほぼ変わらなかったが、フェロクロム価格がポンド当たり90セントで同5セント下落し、為替が110・48円と同1・95円の円高となった。為替を含むクロム原料要因で6月契約のアロイ価格は値下がりとなる。
 アロイリンク方式の見直しではニッケル原料価格の適用範囲を「LMEニッケル価格5・18ドル以上」から「3ドル超」に拡大する仕切り直しも行った。6月契約では電炉鉄源のニッケル系冷薄のベース価格も検討対象としたが、「合金コストが占める比率が高いだけにステンレス市場における指標性は重要であり、何としてもアロイリンク方式を堅持する」(同)点を最優先した。
厚中板も5000円下げ
 新日鉄住金ステンレスは、ニッケル系ステンレス厚中板の6月店売り契約販価を5千円値下げする。独自のアロイリンク方式に基づきアロイ価格が5千円下がるため。過去1年以上にわたり薄板店売り価格を据え置いた間も厚板価格は原料連動を続けてきた。アロイリンク方式の一部見直しはニッケル系・クロム系冷薄と同様に5月契約から実施している。
 国内需要はケミカルタンカー、LNG船、有機EL用真空装置向けなどで堅調。海外向けはLNGプラント、石油精製設備向けなど中規模プロジェクト案件を中心に一定水準が続き、八幡製造所はフル操業を継続している。

最終更新:6月9日(木)6時0分

鉄鋼新聞