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素人目には落書き? 巨匠トゥオンブリーの魅力を全力解説! 川村記念美術館に聞いてみました

ちばとぴ!チャンネル 6月9日(木)17時45分配信

米国出身の現代美術家、サイ・トゥオンブリー(1928~2011年)の作品を紹介する展覧会「サイ・トゥオンブリーの写真-変奏のリリシズム-」が、DIC川村記念美術館(千葉県佐倉市)で、8月28日まで開催されています。

【関連写真】トゥオンブリーの写真作品が並ぶ展示会場

トゥオンブリーは、日本では馴染みがないかもしれませんが、20世紀美術を代表する巨匠です。2015年に開かれたニューヨークのサザビーズ主催オークションでは、素人目には落書きのようにも見える作品(「無題」1968年)に約86億円という驚愕の高値がつき話題になりました。

意味があるのかないのか分からない、ぐるぐる~っとか、だらだら~っとか、ぐちゃぐちゃっとか、ギザギザに引かれた線や、数字や文字が並べられていたりして、頭の中が「???」で埋め尽くされそうです。

なぜ、この作品に大きな芸術的価値が見いだされているのか。

同美術館の学芸員、前田希世子さんにお話を聞きました。

 ◇ ◇ ◇

◆腕の動きで描いている

【前田希世子さん】
まず、1963年の「マグダでの10日の待機」という絵画を見てみます。

「無意識に描かれているみたい」というのが重要なんです。電話中に見てるけど見てなくて、紙に何か模様のようなものを書いているような。

人の顔を描こうとかしているわけでなくて、手の動くままに、何となく見ずに描くというのがポイントです。トゥオンブリーは、もちろん見て描いているのですが、腕を動くままに動かすというような、目の専制を逃れる、ということをやっています。どれだけ人間は目に管理されながら物を描いたり線を引いてきたのか?ということなんですよ。

ちょっと前の芸術家たちは、頭の中にパッと思い付いたことを、速記的に描いていくというような実験をしていました。

トゥオンブリーもそのことは知っていて実際やろうとしましたが、頭の中に思い描いたものを紙に写すことよりも、彼が頼りにしたのは、紙と持った鉛筆なんです。

鉛筆が絵に置かれた時に軽い抵抗があります。紙と鉛筆の抵抗であったり反発であったりする軌跡で、線や画が出来るということに気がついて、それを絵画作品にしていったんですね。

描かれた作品は、目よりも腕の動きで描いているんです。

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最終更新:6月12日(日)16時46分

ちばとぴ!チャンネル