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福島原発に水中遊泳ロボット、3号機の燃料デブリ探査

ニュースイッチ 6月9日(木)8時30分配信

国際廃炉研究開発機構が開発。いろんな生き物が生息しているかも

 技術研究組合「国際廃炉研究開発機構(IRID)」は東京電力福島第一原子力発電所3号機で溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)を確認するため水中遊泳ロボットを開発する。3号機の格納容器内は1階と地下階が水没しており、泳いで移動する必要があった。2017年度初めの投入を目指す。

 3号機の格納容器内で高さ約7メートルの「X53ペネ」という配管からロボットを進入させる。3号機は約6・8メートルの高さまで水没しているため、X53ペネを投入経路に選んだ。経路として有望視されていた「X6ペネ」配管は水没しており、水位を制御できない状況では漏水を招きかねないため利用を見送る。

 ロボットは細い配管を通って格納容器に進入するため、直径十数センチメートル以下に抑える必要がある。その上で姿勢維持機能や遊泳機能を持たせる。

 一般に水中ロボを小型化して少数のスクリューで泳ぐには、繊細な制御技術が必要。カメラ画像や制御信号は有線で送る必要があり、ケーブルが水から受ける抵抗は大きい。水中のがれきを避けながら泳ぐため、従来の調査ロボの中でも最も難度の高い開発になるとみられる。

 X53ペネは15年10月にカメラや線量計で調査した。線量は1時間当たり約1シーベルトと高いが、投入口付近に大きな損傷がないことを確認している。国は18年度上半期に燃料デブリの取り出し方を決定する予定。3号機では圧力容器から核燃料が溶け落ち、格納容器の底に広がっていると予想されている。早期に燃料デブリの状況を把握する必要があった。

<解説>
 聞けば聞くほど、技術的な難しさを実感する取材だった。格納容器内のがれきやケーブルなど、すべてを避けつつ泳いで調査するのは簡単ではない。下手にスクリューを回して、水流で底に積もった堆積物が舞うと視界がなくなる。

 これは海底探査ロボがロストする要因で、オペレーターが最も恐れる状況の一つ。にもかかわらず、燃料デブリを観察するには表面の堆積物を巻き上げるなどして排除する必要がある。たぶん脚で機体を底に固定するなど、泳げるだけでは不十分なのだろう。

 いろんな機能が欲しいところだが、配管を通過できる大きさに納める必要がある。また水を入れてから5年も経っているため、いろんな生き物が生息しているはず。別の意味で新発見があれば面白い。

日刊工業新聞・科学技術部 小寺貴之

最終更新:6月9日(木)8時30分

ニュースイッチ