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有村架純が語る新作『夏美のホタル』と女優になる覚悟

ぴあ映画生活 6月10日(金)10時51分配信

「才能とは覚悟のことだ」。映画の中で、小林薫演じる仏師が口にするこの言葉に、有村架純は自身の歩みを重ね、強く心動かされたという。

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「私自身、『私には才能なんてない』って思ったこともあるし、他の子を見て『あれは私には才能だな』とうらやましく思ったりしたこともあります。でも、全ては覚悟次第なんですよね。覚悟がないと結果は出ないし、結局、才能って自分でいくらでも作れるんだと思います。ダメだと道を閉ざしてるのは案外、自分でしかないんだなって」。

まもなく公開の映画『夏美のホタル』で彼女は写真家になる夢を追いかけつつも、葛藤し思い悩む等身大の主人公を演じた。夏美の姿には間違いなく、有村架純の23年間が反映されている。

父の形見のバイクにまたがり、かつて父と来た田舎を訪れた夏美の姿を描き出す本作。『ストロボ・エッジ』に続いて演出を受けることになった廣木隆一監督の下、有村は「今回は、あまりあれこれと考えすぎずに現場の空気感やキャストのみなさんとの関係性の中で夏美を作っていきました。完成した映画を観て『こんな顔してたんだ!』と気づかされる部分もありました」と明かす。

それでも、迷いや難しさを感じることも多々あった。特に幾度もテイクを重ねたのが、恋人の慎吾(工藤阿須加)とのシーンだった。「長く付き合って気心は知れているけど、実は心の距離がある2人。一緒にいて落ち着きすぎるのもよくないんですよね。冒頭のベッドから夏美が起き上がるシーン、公園で慎吾が夏美に一緒に故郷に帰らないかと持ち掛けるシーンは、何十回とやりました。廣木さんに『つまんねぇな』とボソッと言われながら(苦笑)」。

大ヒットとなった『ビリギャル』以来となる映画主演だが、大事にしたのは「みんなと同じ気持ちで作品に熱を注ぐこと」。余計な気負いはなかった。「懸命に作品を思い、役と向き合っていれば自然と周りが味方になってくれている。そのことに私は130人のキャストの中で主演させていただいた舞台『ジャンヌ・ダルク』で気づきました。とにかく必死にやっていたら『みんな、ジャンヌに付いて行くから心配するなよ』とみなさんが言ってくれたんです。それが嬉しかった」。

主演となると、観客動員数や視聴率という“結果”の責任も背負わされることもある。そうした“数字”の重要性を理解しつつ「それだけが全てではない」という思いを抱き、まず何より、自身にできることに全力を尽くす。周囲の期待がプレッシャーになることは? 「ありがたいことに『ビリギャル』や『ストロボ・エッジ』が立て続けに多くの方に見ていただけたことで『数字を持ってる』なんて言われることもありましたけど、私は何も持ってませんから(笑)! 正直、いろんなタイミングが合っていただけだし、常にうまくいくとは限らない。もちろん、より多くの人に見ていただくための努力はしますが、それを気にしすぎてプレッシャーにしないようにしてます」。

冒頭の“覚悟”という部分に関して、有村は女優としてやっていく覚悟を決めた時を「二十歳を迎えた瞬間」と明かす。「自分で勝手に決めました、覚悟(笑)。『二十歳で変わる。ここで変われなきゃ、もう終わりだ』って」。

この精神力の強さこそ、映画界の第一線で活躍する女優・有村架純の力の源である。多忙なスケジュール、作品から作品への切り替え。ただ、自らに“言い聞かせる”ことで乗り越えてきた。「心と体のバランスをとるのが難しい時期はあったし、結構、まいりました(苦笑)。でも、そういう時の落ちてる気持ちって、案外、その時の作品や役にうまく反映されるんですよ。それ以来『いま、こういう気持ちになってるのは、それがこの役に必要だからなんだな』って考えるようになりました(笑)」。まさに「覚悟こそ才能」。有村架純は止まらない。

『夏美のホタル』
6月11日(土) 全国ロードショー

取材・文・写真:黒豆直樹

最終更新:6月10日(金)10時51分

ぴあ映画生活