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社説[元米兵再逮捕]沖縄の怒り もう限界だ

沖縄タイムス 6月10日(金)5時0分配信

 うるま市の女性会社員(20)が遺体で見つかった事件で、県警特別捜査本部は9日、死体遺棄容疑で逮捕・送検していた元米海兵隊員で軍属の男(32)を、殺人と強姦(ごうかん)致死の両容疑で再逮捕した。容疑について「今は話せない」と認否を明らかにしていないという。
 特別捜査本部によると、男は、路上を歩いていた女性に背後から近づき、暴行を目的に、棒で頭を殴り、草地に連れ込んだ上、刃物で刺すなどして殺害した疑いがある。
 既に伝わっていた部分もあるが、改めて事件の内容が分かると、女性の人権を踏みにじる、むごたらしい犯罪に、悲しみと怒りがこみ上げてくる。
 基地あるが故の事件・事故が繰り返されてきた沖縄においても、極めて凶悪な事件である。
 今回の事件に対する県民の怒りは、全県的に広がっている。
 県議会が5月26日に抗議決議と意見書を可決したのに加え、県内41市町村の全議会が事件への抗議決議を可決する見通しとなった。
 議会決議は住民意思の表明である。既に決議したほとんどの議会が綱紀粛正や再発防止策の策定に加え、「日米地位協定の抜本的な見直し」を盛り込んでいる。「全基地閉鎖撤去」や「海兵隊の撤退」など、強い要求を入れた議会もある。
 綱紀粛正では、もはや根本的な解決にならないと受け止められている証しである。
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 在沖米軍は5月27日、県内に住む軍人・軍属やその家族に、基地の外での飲酒を禁じ、午前0時までの帰宅を義務づけると発表した。「喪に服するため」の1カ月間の措置だとした。
 ところが6月4日、米軍嘉手納基地所属の米海軍2等兵曹の女が酒に酔った状態で車を運転し、国道58号を逆走して軽乗用車と衝突する事故を起こした。2人にけがを負わせた。
 在沖米軍トップのローレンス・ニコルソン四軍調整官が会見で述べた「沖縄の人たちと共に喪に服し、悲しみを分かち合う」ことすら、徹底させるのは不可能なのだと露呈した。
 日本政府も、防犯パトロール隊の創設や警察官100人の増員、パトカー20台増車、防犯灯の設置などの対策をまとめた。一般的な犯罪抑止対策にはなりそうだ。だが、日米地位協定によって保護・優遇され、それが占領者意識を持つ素地となっている軍人・軍属に、実効性ある対策かどうかは疑わしい。
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 翁長雄志知事は、再逮捕を受けて「繰り返される事件・事故に県民の怒りは限界を超えつつある」とするコメントを発表した。
 米軍人・軍属による事件の抜本的な解決を図るため、日米両政府に日米地位協定の見直し、米軍基地の整理縮小など、過重な基地負担の軽減も改めて求めた。
 19日には、那覇市内で大規模な県民大会も予定されている。一人でも多くの人が参加し、両政府に沖縄の意思を示すときである。

最終更新:6月10日(金)5時0分

沖縄タイムス