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”ケモナー”も疲れた大人も引き寄せ大ヒット!?『ズートピア』のふところの深さ

dmenu映画 6/10(金) 11:50配信

ディズニー・アニメーション『ズートピア』の興行収入が、公開7週目の6月5日、60億円を突破した。このまま売上を伸ばし続ければ、大ヒット作『アナと雪の女王』の記録(興収約255億円)を塗り替える可能性もある。

ディズニーの宣伝展開の見事さはよく話題になるが、この『ズートピア』も近年ディズニーが得意とする主題歌(E-girlsのAmiが主題歌「トライ・エヴリシング」を日本語で歌った)や、TwitterやLINEを使ったSNS、ゲーム、予告編などと連動させた展開が奏功している。こうした宣伝内容は、まず絶対に伝えなければいけないディズニー・アニメーションをこよなく愛するティーンエイジャーやファミリー層にきちんと訴求した。次にSNSやゲームで遊ぶ若者へ。そしていまはさらに幅広い世代へと広がっている。

この好調を後押ししたのは、いわゆる“宣伝”ではなく“口コミ”。これまであまりディズニー・アニメーションに興味を持っていなかった層による“口コミ”が絶大な効果をあげた。

例えば、バナー広告に記載されたTwitterのハッシュタグ「#ズートピアはいいぞ」。ヒット中のアニメ映画『ガールズ&パンツァー』のファンが人に同作を薦めるときに使う「ガルパンはいいぞ」をもじったこのハッシュタグは、ディズニーがTwitterで展開した別のキャンペーン「自分の夢をツイートする“夢をあきらめない!”キャンペーン」とは明らかに異なる客層へプッシュしたものだ。ターゲットとなった層は、これに対し「まさかディズニー公式が『#ズートピアはいいぞ』と言い出すとは」と驚愕。その反応の内容が賛否両論分かれたことからSNS上で大いにバズった。

同時に口コミで広がっていったのは、“ケモナー”と呼ばれる、動物キャラクターに強く惹かれる人々による主人公ジュディとニックらのイラストやコスプレ写真。人間的な社会を営む動物の世界を描いた『ズートピア』は、主人公以外のキャラもこの上なく魅力的。誰が見ても惹かれるキュートなキャラクターに、“ケモナー”が萌えないわけがない。ネット上では「#ジュディニク」のハッシュタグとともに様々なイラストや写真が拡散されている。

一番新しい口コミは、「ズートピアセラピー」だ。ズートピアセラピーとは、大都会に赴任した新米警官ジュディ同様、仕事に悪戦苦闘している人が同作を見るとこの上なく癒され、セラピー効果を得られるというもの。ふだんしないミスを連発した社員を『ズートピア』上映劇場に連れて行った社長のエピソードをTweetした人が、それを「ズートピアセラピー」と表現したことから命名された。以降、ネット上では「ズートピアセラピー」に癒しを求める声やまず。セラピーの効果については、Twitter上で「心のデトックス『ズートピアセラピー』は大変効果的ですが、副作用(依存性、語彙力低下、妄想、妄言など)がございます。用法、用量を守り、正しくご鑑賞ください。※ご鑑賞の目安は1週間に1回程度です」などと、「#ズートピアはいいぞ」のハッシュタグ付きで語られている。

ディズニー・アニメーションの従来のファンの枠を大きく超えて『ズートピア』が大ヒットした背景には、大人の煩悩を優しく満たさせてくれるディズニーのふところの深さがあるのかもしれない。感動的かつ健康的な『ズートピア』の世界を提示しながら、大人の妄想遊びも許容する。このふところの深さに、孫悟空を手のひらの上で遊ばせた釈迦を思い出した、というと言い過ぎだろうか。

高村尚/Avanti Press

最終更新:6/10(金) 11:50

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