ここから本文です

【いま大人が子供にできること(9)】赤ちゃんに絵本を読んであげる

ニュースソクラ 6月10日(金)18時1分配信

生後2か月半から絵本に反応する

「赤ちゃんに本を見せてやって、読んでやって」というと、必ず「赤ちゃんはまだ何もわからないのになぜ読むのですか?」というかたがいらっしゃいます。

 でも赤ちゃんはなにもわからないわけじゃないよ。それどころか、小さい人はめちゃめちゃ賢いです。

 だって赤ちゃんは生まれてかなり早くから自分のお母さんのことはわかる……。
 家族のことも区別がつく(何人いるのかもわかってる……と思います。まだ数としては数えられないかもしれないけど、だれか帰ってこない人がいると気にしますよね)。

「はたらくくるま」や「恐竜」「昆虫」が、小学校低学年から幼稚園に移動したように、赤ちゃんも特にこの五年、劇的に成長した感じがあります。

 確かに、40年前くらいの育児書を見ると、10ヶ月、って写ってる写真が「えっ?これいくつ?」って思うくらい、細いしちっちゃくて痩せてます。

 肉体的に栄養が良くなって大きくなったんだなっていうのはもう20年くらい前から始まってました。
 だって赤ちゃんてのは生まれたては真っ赤だからそういうのに、いつからか赤くなくなったんです……。髪の毛もフサフサ生えてるし、からだもしっかりしてるし……。

 でも、ここ何年かはそれだけじゃなくて知的になんというか、バン! て大きくなった気がするんです。
 でもそんなことは誰も研究してないでしょうから証明はできないんですが、もうへたすると2ヶ月半くらいから絵本に反応するようになってきている……。

 以前は6ヶ月とか、7ヶ月だったと思うんですよね。

 私がいま使ってるのは、かがくいひろしの『だるまさんが』のシリーズですが(三冊あります)、これ見せて
「だるまさんが」
って読んでやって、うきゃきゃきゃ、と喜んだらもう本を読んでやっていいでしょう。楽しめるんですから。

「だるまさん」といい「アンパンマン」といい、なぜにこの冴えないおっさん二人が赤ちゃんにウケるのか、ということは永遠の謎でしょうが、ともかくウケるんですよ。

 赤ちゃんは話せるようになる前から、まわりの人のいうことはだいたいわかってる……。
 からだのなかに言葉がある程度たまらないと、話せるようにはならない。だから赤ちゃんにはたくさん話しかけてやる必要があります。

 赤ちゃんは勉強熱心です。
 一生懸命回りを観察して、集中して、言葉を覚え、生まれ落ちた世界に適応しようとします。むこうから、これはなんていうの?ときいてきて何度も何度もくりかえし、その言葉を覚えようとします。

 まずはスプーンだのコップだのバナナだの、目の前にある具体的な品物の名前から……。

 赤ちゃんは絵本に描いてあるスプーンと自分のスプーンは違うものだけど同じものだよね、ということが理解できる……。

 一度自分のスプーンを握って、絵本のスプーンを見て、見比べて、これもスプーン? と聞かれたことがあります。いや、実際には「もももも?」と聞かれただけですが、あきらかにむこうはそう聞いてた。

 で「そうだよ。これもスプーンだし、これもスプーン」といったところしばらく考えていて「そうか!?」という顔をしました。

 赤ちゃんといて楽しいのは、「人間が成長する瞬間、なにをどう理解していくのか」ということがくっきりわかる瞬間にいきあわせることができることですね。
 そうしてそれは赤ちゃんが生まれながらに持っている力です。こちらが教えるわけじゃない。

 楽しいね、嬉しいね、悲しいね、という感情を表す言葉も覚えます。

 もちろんこれは毎日暮らしていて、楽しかったら楽しいね、嬉しかったら嬉しいね、といってあげないと覚え間違っちゃいますから気をつけないといけませんが、現実にはそういうチャンスがそんなになくても、絵本はおんなじ場面を何度でも出せます。

 だから反復練習するにはこんなにいい道具はありません。

 楽しい、ということを実体験して、楽しい、という言葉を覚えたら、今度は絵本でくりかえし、くりかえし、使ってみて自分のものにする……。

 赤ちゃんにとっては学習することそのものが楽しい遊びで、実体験と絵本とどちらもが必要です。

 それは子どもたちが知的に成長が早くなったからなのか、それともはじめからそうだったのに気がつかなかっただけか……はいまとなってはもうわかりませんが、とにかく『だるまさんが』が生まれて、ようやくそのことがわかったのです。

『だるまさんが』を見せて反応したら、他の絵本も見せてください。

 本に反応するのが遅かろうと早かろうと、あまり一喜一憂しないでください。大事なのは、赤ちゃんに合わせる、ことなんですからーー。

■赤木 かん子(本の探偵)
1984年、子どもの本の探偵としてデビュー。子どもの本や文化の評論、紹介からはじまり、いまは学校図書館の改装からアクティブラーニングの教えかたにいたるまで、子どもたちに必要なことを補填する活動をしている。
高知市に「楽しく学校図書館を応援する会」として学校図書館モデルルームを展開中……。著書多数。

最終更新:6月10日(金)18時1分

ニュースソクラ