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JFEスチールと米ニューコア、メキシコで車向けCGL合弁

鉄鋼新聞 6月10日(金)6時0分配信

 JFEスチール(社長・柿木厚司氏)は9日、米国の電炉大手ニューコア(ジョン・フェリオラCEO)と、自動車生産台数が拡大中のメキシコで自動車用CGL(溶融亜鉛めっきライン)の合弁事業を行うことで合意したと発表した。出資比率は50%ずつの折半出資とし、両社から原板となる冷延鋼板を同数量ずつ供給する。立地は日系自動車メーカーが集積するメキシコ中央部。総投資額は3億6千万ドル(約400億円)で、うち建設費は2億7千万ドル(約300億円)。年産能力は40万トンで2019年中の稼働(営業生産開始)を予定。

 両社が設立する合弁会社は「ニューコア―JFE・スチール・メキシコ」。自動車用鋼板の製造および販売を行う。GA(合金化溶融亜鉛めっき鋼板)とGI(溶融亜鉛めっき鋼板)ともに製造販売する。
解説/「強い相手と組む」/2社連携、さらなる展開も
 JFEと電炉の雄、ニューコア社が正式にメキシコのCGL合弁を進めることで合弁契約を結んだ。ニューコアは電炉メーカーでありながら自動車の内板を手掛けており、外板にも乗り出したい意向を示している。JFEとしては「北米最大手のメーカーであり、コスト競争力の高い『強い相手』と組む」ことで、さらなる発展的なシナリオへの可能性を探ることもできる、との判断が働いた。
 立地はトヨタ、日産など日系自動車の集積地に近いメキシコ中央部。トヨタは新工場の稼働を19年としており、両社は、それに間に合わせてラインを稼働したいところだ。
 メキシコでのCGL建設を考えた場合、通商問題のリスクを考えると日本ミルにとって単独(独資)での進出は難しい。実際、韓国ポスコは同地で先行してCGLを2基稼働したが、通商問題を抱えて2基分の原板を韓国から輸入することができず、低稼働を強いられた状況があった。
 JFEはかねてより、米国ではAKスチールと技術提携関係にある。980メガパスカル級ハイテンなどの技術供与を行い、AKを通じて日系自動車メーカーに現地供給している。今回の新たな合弁事業を受け、北米戦略のパートナーの軸はニューコアとなり、ニューコアの意欲的な成長戦略に対してJFEが先々、協力・連携する場面もありそうだ。
 JFEは自動車用鋼板の海外現地生産で、中国、タイ、インドネシアとアジア主体に、自動車向け下工程ミルを建設してきた。「まずはアジア」という方針の下で地固めを行い、一通りの手を打った。中国やタイで既存拠点の増強という課題はあるものの、空白の北米市場での現地供給が課題となっていた。
 JFEグループ全体としても、北米(NAFTA)での投資を強化したい意向がある。「これまでの投資は、経営資源の制約もあってアジアに偏っていた。地域の分散を図るために、成長市場でもある北米で投資を実行していきたい」(グループ幹部)との考えがあり、「自動車用溶融亜鉛めっき鋼板の需給は必ずひっ迫する」との判断で、投資を決めた。
 メキシコの自動車生産台数はリーマンショック後の09年の150万台から13年293万台、14年322万台、15年は過去最高の340万台と増加の勢いが強まっている。20年に450万台、25年に500万台に拡大すると予想されており、足元で200万台弱にとどまるタイを大きく上回る。
 先行する日産自動車(アグアスカリエンテス州)などに加え、トヨタ自動車もグアナファト州に新工場を建設する計画。19年にカローラを生産する工場を稼働開始する予定で、日系ユーザーからの現地供給ニーズもさらに強まってくる。(一柳 朋紀)

最終更新:6月10日(金)6時0分

鉄鋼新聞