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<事件ノート>「つながり薄い人たちのケア難題」佐賀・みやき 高齢姉妹死亡火災

佐賀新聞 6月10日(金)10時40分配信

目配りできていれば…

 あるじを悼むように玄関先のサツキが花を咲かせていた。4月26日未明、佐賀県三養基郡みやき町の民家から出火し、73歳と66歳の姉妹が亡くなった火災。現場には、1カ月以上がたった今も痛ましい焼け跡が残る。

 「10年ほど前に妹さんが足腰を悪くした。それからは精神的にも不安定になり、入退院を繰り返していた。お姉さんといつも一緒で、助け合いながら暮らしていた」

 2人の暮らしぶりを知る民生委員の女性はこう振り返る。近くに親類はおらず、近所付き合いもほとんどなかったという。

 火災で逃げ遅れ、高齢者が犠牲になるケースは後を絶たない。佐賀県内では2月、鳥栖市で一人暮らしの女性(79)が亡くなった。死因は一酸化炭素中毒。今回の姉妹のケースも同様で、妹は玄関近く、2階を寝室にしていた姉は1階の階段下で倒れていた。いずれも玄関の扉を開けるまで、数メートルの距離だった。

 くだんの民生委員の女性は、妹の病状が回復に向かった1年半前から「監視していると思われないように、少し距離を置いて見守ってきた」。姉妹にとって、妹が利用する週1回の訪問介護と週2回のデイケアが、数少ない外部との接点だった。

 女性は悔いる。「医療スタッフの話では、面会は座敷でしていたみたい。私らが通っていれば、もっと生活に関わりのある箇所に目配りができたかもしれない」。ひどく燃え、火元になったとみられる1階寝室の普段の状況がどうなっていたか、考えてしまう。

 5月の民生委員の定例会では情報が共有された。町環境福祉課は「外部とのつながりが薄い人たちをどこまで立ち入ってケアできるか、これからも難題」と受け止めている。

最終更新:6月10日(金)10時40分

佐賀新聞