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監視カメラで自殺に追い込まれた労働者に初の労災認定 韓国勤労福祉公団

ハンギョレ新聞 6月10日(金)12時38分配信

イージーテック労組委員長のヤン・ウグォンさん
労組を脱退しないため繰り返し解雇
復職後は社内いじめ、カメラ4台で監視
「監視されていて気が変になりそうだ」と書き残す
「監視カメラで労働者の人権侵害」と指摘

 「あのカメラが気になってしょうがない。すべての行動が監視されていると思うと気がおかしくなる。ハンマーで叩いて壊してしまいたい。いつまで一人で食事しなくてはならないんだ」(2014年8月27日、写真)

 昨年5月に自ら命を絶った金属労組ポスコ社内下請け支会イージーテック分会長のヤン・ウグォンさん(当時50歳)は、監視カメラに対する不安を日記に書き残した。2006年に発足した労組を一人だけ脱退しなかったヤンさんは、減給、無期限の待機発令、2度の解雇、2度の停職となった。2回解雇され全員復職の判定を受けて出勤した後、監視カメラで行動を監視されるようになった。勤労福祉公団ソウル業務上疾病判定委員会(委員会)は、ヤンさんの家族が同公団麗水支社に申請した労災保険の遺族給与等の請求に対し、先月27日、「故人の死亡は業務上の死亡と認められる」と判定した。

 会社の監視カメラでうつ症が悪化した労働者の死が、業務上の死亡として認められたのは、今回が初めてだ。委員会は判定書を通じ、「解雇と復職が繰り返される過程、復職後に続いた使用者の法的対応及び懲戒処分が繰り返される過程で、業務と関連したうつ病が発生した。悪化したうつ病による心身微弱の状態で自殺した」とし、会社側が遺族年金と葬儀費用を支払うよう判定した。

 委員会が明らかにしたとおり、ヤンさんを死に追いやったのは、会社の執拗な監視と“いじめ”だった。1998年、ポスコ光陽製鉄所の協力会社として酸化鉄を生産するイージーテックに入社したヤンさんは、2011年と2012年に不当解雇に対抗して争い、いずれも勝った。しかし会社は、2014年5月23日に復職した彼に対し、製鉄所の外にある会社事務所の机の前で待機するよう命じた。ヤンさんは事務所で一人でいる時の行動を会社側に指摘され、監視カメラが設置されている事実を知った。会社側は、ヤンさんが復職する直前の2014年5月15日に社内に監視カメラ4台を設置していた。

 ヤン分会長はそこで1年余りを送った。同僚らと対話もできず、一緒に食事もできなかった。壁に向かい合う机に8時間ずっと座っていた。これに先立つ2011年、ヤンさんは会社が同僚を通じて自分を監視していることを知ってから、うつ病に悩まされ始めた。遺族は「監視カメラを通じ監視されている事実を知ってから症状がさらに悪化した」と主張した。故人は「何の業務も与えられず、こんなふうに机の前に座らせられたら本当におかしくなってしまう」(2014年9月2日)と日記に書き残している。ヤンさんの遺族は「深刻な精神的ストレスにより精神障害状態に陥り、自殺をすることになった」と主張した。

 イ・チョルガプ朝鮮大医学部教授(職業環境医学)は「会社が監視カメラを利用して労組を弾圧し、労働者を追い込む過程で、うつ病などの精神心理的問題が発生することがある」と話す。

 自動車のエンジン部品を生産するユソン企業の労働者3人も、先月、労組弾圧に苦しめられたことによる精神疾患が業務上の災害に当たると判定を受けた。これで2014年以降、忠清南道の牙山(アサン)工場と忠清北道の永同(ヨンドン)工場で、精神疾患が業務上の災害に当たるとする判定を受けたユソン企業の労働者は7人に増えた。

 ユソン企業牙山工場の労働者キムさん(38)は2014年11月、ソウル業務上疾病判定委員会で「職場閉鎖期間中のデモや、解雇などの不利益、監視カメラによるストレスなどが積み重なった混合型不安や憂鬱病障害が現れたのは、業務と関連性がある」との判定を受けた。キムさんは「解雇された後に仲裁があった時、会社側に私も知らない間に撮影された写真を見せられ驚いた。今はどこに行っても監視カメラがあるか常に確認する。 (誰が私を監視しているのか確かめる習慣が)身についた」と話した。クォン・オサン金属労組光州・全南支部政策教育部長は「監視カメラは労働者の人権侵害のツールとして労組弾圧に悪用され、労働者団結権と団体行動権を脅かしている」と話した。

光州/チョン・デハ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:6月10日(金)12時38分

ハンギョレ新聞