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『64』瀬々敬久監督、原作ラストとの違いに言及「映画は人物の行動を見せるもの」

クランクイン! 6/10(金) 16:30配信

 『半落ち』や『クライマーズ・ハイ』など、数々の傑作を生み出してきた横山秀夫の衝撃作『64-ロクヨン-』が、超豪華キャストによって前後編で映画化され、大ヒットを記録している。前編が公開され、「期待以上」「日本映画の傑作」といった高評価が続く中、ついに後編が6月11日より公開。感動巨編を生み出した、瀬々敬久監督が、作品の裏側を語った。

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 本作は、わずか7日間しかなかった昭和64年に起きた少女誘拐事件、通称「ロクヨン」、そして「ロクヨン」を模したかのような新たな誘拐事件を、県警警務部広報官を中心に描いた作品。広報官・三上義信を佐藤浩市が務めるほか、綾野剛、榮倉奈々、永瀬正敏、三浦友和など、日本映画界のトップとも言える俳優たちが集結した。

 前編では、主に広報官と県警内部、そして県警記者クラブとの衝突を中心に話が進んでおり、人間ドラマとしての色合いが濃い作品に仕上がっている。しかし、後編では一転して、ミステリー色の強い展開に変わる。昨今、前後編ものの映画は数多く公開されているが、本作ほど、前編と後編で色合いが変わる作品は少ないのではないだろうか。
 
 「連続ものとしても興味深い映画にしたかったし、それぞれ1本ずつとしても面白い映画にしたいという思いがあった」と話す。「DVDが、例えばレンタルビデオ屋に行ったら、前編はドラマのコーナー、後編はミステリーのコーナーに置かれてもいいなと思ったんです。それぐらい振り幅を大きく振ってやった方が面白いんじゃないかと。それが、この前編後編ものの新しい挑戦にもなるんじゃないかと思って、あえてそういうプランで作りました」。前編で描かれた人間ドラマ、そしてその中で張られていた数々の伏線が見事に回収されていく様は、前後編であるがこその魅力である。


 また、原作ファンにとっては、気になるのがエンディングだろう。映画では、原作とは違う結末が用意されている。「原作は主人公・三上の主観で書かれています。それは、すごく文学的な書き方だと思うのですが、そのままだと映画にはなりづらい。映画は主人公や登場人物の行動を追って見せるものだから、最後も主人公自らも行動させたかった。それで、あの形にしようと、(原作者の)横山さんにお願いしました」。

 本作の魅力の一つとして挙げられるのが、やはり豪華俳優陣の熱演だ。佐藤の熱のこもった演技は言うまでもないが、雨宮を演じた永瀬の演技も、圧巻だ。「ロクヨンの事件のシーンを最初に撮っているんですが、永瀬さんは、その後、10キロ以上痩せてきたんです」と明かした瀬々監督。「14年間という年月を出そうと、やつれた感じを出すために、現場中も飲まず食わずでやってらっしゃいましたね。とても印象深い演技をされていると思います。中でも、後編の、永瀬さんと(佐藤)浩市さんが二人が並んで座り語り合うシーンは、その場にいた撮影スタッフも皆グッときていましたね」。

 映画史に残る作品との呼び名も高い本作。瀬々監督は、「派手なCGとかアクションはない映画だけど、人間の感情がぶつかり合うところで、映画ができている」と本作の見どころを語る。「人と人との感情のせめぎ合い、ぶつかり合いが、一つの映画を形作っているというところが、この映画。そういうところを見て、感じて欲しい」。(取材・文・写真:嶋田真己)

 映画『64-ロクヨン- 後編』は、6月11日より公開。

最終更新:6/10(金) 16:30

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