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報酬問題で取材妨害 富山市議会自民会派の中川会長

北日本新聞 6月10日(金)1時19分配信

 富山市議会の議員報酬を引き上げる条例改正案を巡り、市議会最大会派・自民党の中川勇会長(68)が9日、市役所内の会派控室で市議に話を聞いていた北日本新聞の女性記者を押して倒し、メモした用紙を力ずくで奪うなどして取材活動を妨害した。別の記者が話を聞いていた市議にも大声で指示し、取材を打ち切らせた。中川会長は「許可無く取材していたので(用紙を)回収した。記者が倒れたのは認めるが、倒していない」と主張している。北日本新聞社は同日、暴行と窃盗の疑いで富山中央署に被害届を出し、受理された。

 北日本新聞の記者5人は議員報酬引き上げの賛否などを問うため同日午後0時15分ごろから、自民党会派控室にいた複数の市議にアンケート形式で取材をしていた。10分後、女性記者の1人がしゃがんで男性市議の聞き取りをしていたところ、中川会長が「何を聞いているんだ」などと怒鳴りながら近づき、女性記者の用紙を取り上げようとした。

 女性記者によると、ペンを持つ右手の手首をつかまれて押される格好になって倒れた。メモした用紙を奪われないよう左手で握りしめて抵抗したが、取り上げられた。再三にわたって返すよう求めたが、中川会長は応じなかった。

 別の記者の取材に応じていた市議にも大声で「答えるな」と指示。女性記者を除く記者たちは退室させられた。市議の1人が控室の出入り口をふさぎ、外の記者が再び入室するのを拒む場面もあった。

 中川会長は2時間半後、北日本新聞の抗議を受けて用紙を返却したが、女性記者を倒したことについては「(用紙を)もらう時の動作で倒れただけ」と説明した。

 取材に対しては「人の家に入ってきて、この中で(取材を)やる以上は(用紙を)回収するのは当たり前」「(個々の議員への取材は)会派の会長に話を聞いてからやるのが当然」などと主張。会派控室での取材や、会長に断らずに議員に話を聞いたことが問題だったとの考えを示した。

 控室そばの市議会事務局のカウンターには「市議会議員にご用の方は、議会事務局までお申し出ください」と書いたプレートが置かれているが、記者が市議を取材する場合、北日本新聞だけでなくほとんどが事務局に許可を得ることなく直接、議員に話を聞いている。

 市議会事務局はプレートの内容について「一般市民向けにお願いしていること」とし、会派控室での取材については「ルールを文章化したものはなく、これまでは信頼関係に基づいて取材が行われていた」と説明した。

 市議の議員報酬を70万円に引き上げる条例改正案は6月定例会に上程され、15日に採決が行われる。

■妨害は言語道断
 江川紹子さん(ジャーナリスト)の話 市議は、選挙で票を得て一人一人選ばれている。会派をつくっていたとしても、各議員に話を聞くのは当然の取材行為だ。議員は私人ではなく、公人。それぞれが取材を受け、答えたくなかったら各自がそう意思表示すればいいだけの話。他の人の取材まで妨害するというのは言語道断だ。

■反響大きく過剰反応
 樋口雄人高岡法科大教授(政治学)の話 報酬増の議論が予想以上に反響があり、過剰反応してしまったのだろうか。政党や会派に所属する議員にとって、一体的な行動を取らなければならない場合があるのは理解できる。だが、議員は一人一人が住民の代表だ。市民感情に大きく触れる問題なのに、取材を妨害するのはおかしい。

北日本新聞社

最終更新:6月10日(金)1時19分

北日本新聞

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