ここから本文です

TPP輸出効果強調 検疫条件など課題も 首相

日本農業新聞 6月11日(土)14時48分配信

 安倍晋三首相が参院選に向けた地方遊説で、環太平洋連携協定(TPP)が農林水産物の輸出拡大に効果があると発信を強めている。2020年の農林水産物・食品の輸出額1兆円目標の前倒し時期も、初めて明らかにした。TPPによる関税撤廃やルール共通化などの効果を見込んだものだが、検疫など一筋縄にはいかない課題もあり、検証が必要だ。

 安倍首相は8日、甲府市で「TPPを起爆剤としながら2020年(目標)を前倒しし、1兆円を達成していく」と語った。さらに9日の山形市の演説では「1年前倒しで達成していく」と時期に初めて言及し、19年の達成に意欲を示した。

 日本は、牛肉、リンゴやかんきつ類、茶など「日本が重点品目とする農林水産物・食品の全て」で相手国の関税を撤廃させた。例えば、米国は日本産牛肉(現行・枠内1キロ4セント)を15年目に撤廃し、それまでは今の実績の数十倍の無関税輸入枠を新設する。だが、TPP参加国で米国の次に牛肉輸出量が多いシンガポールなど5カ国は、既に牛肉に関税をかけていない。

 他にも関税がもともと低い品目や検疫上の問題で輸出できない果実もある。条件が整うには数年かかるとされる。

 交渉参加前の13年3月、当時の林芳正農相は「TPPに入ったから、農産物の輸出が格段に有利になるという状況ではない」と語り、TPPによる輸出促進効果を限定的に見ていた。今回の首相の発言は、輸出拡大などTPPのプラス効果をアピールし、農村部での不安を打ち消す狙いがあるとみられる。

 農林水産物・食品の輸出額は昨年7451億円で、3年連続で過去最高を更新した。だが、このうち食肉、野菜、果実の「生鮮農産物」は5%にとどまる。また、今年に入ってから輸出額は伸び悩み、1~4月は前年同期からの伸び幅が1%未満。水産物の不漁に加え、円高の影響もあり、苦戦が続いている。

日本農業新聞

最終更新:6月11日(土)14時48分

日本農業新聞