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糸井重里さんが考える震災と言葉 「きれいにまとめない言葉」からみえてくること

BuzzFeed Japan 6月11日(土)5時0分配信

3月11日と「言葉の復興」、そして岩田聡さんの存在

「言葉の復興が必要なんですよ」
糸井重里さんはこう話した。右手を顔に当て、真剣な表情をみせる。【石戸諭 / BuzzFeed Japan】
東日本大震災を語る言葉はすっかり、紋切り型になってしまった。復興、絆、忘れない、足りない、風評被害、払拭、関心の低下……。

震災5年、NHKの特集番組に連日出演した糸井さんは、ひとり、紋切り型に抗っていた。悲しい音楽とナレーションで切り取られた被災地の姿が映される。

糸井さんは「悲しみしか伝わってこない」と話し、スタジオの空気を混ぜ返す。番組が描く「デザイン」を批判し、違う視点の言葉を投げかけていた。

糸井さんは固まってしまった言葉から、被災地との関わりを考えている。糸井さんの言葉から見えてくるもの、それでも見えてこないこと。どんな言葉で、震災、原発事故と向き合うのか。

「言葉の復興」とは何を意味するのか、と私は聞いた。
糸井さんは率直に言葉を紡いでくれた。

「震災5年ってなにか。ぼくはわからなかったんです。目先の復興だけじゃダメだって話はそれこそ、震災の翌年から言ってきたじゃないですか。『5年目という節目だから』以外の言葉や語り方をなにか発見したのだろうか。みんな、明日の話をしたがるんですよね。でも、ぼくは明後日の話をしたい。明後日をみながら、明日の話をすることが大事だって思うんです」

糸井さんが主宰する「ほぼ日刊イトイ新聞」(ほぼ日)は、被災地とつながり続けてきた。震災直後から宮城県・気仙沼市を拠点に決め、初めての支社となる「気仙沼のほぼ日」を設立した。

そこを起点に「気仙沼さんま寄席」など数々の活動が始まった。「気仙沼ニッティング」も生まれた。糸井さん自身は福島にも足を運び物理学者の早野龍五さんとの共著『知ろうとすること。』を出版する……。

現場に足を運びながら、地に足をつけながら、言葉を探す。糸井さんの5年3カ月はそんな日々の積み重ねだった。

「言葉の復興っていうのは、東日本大震災のデザイン論ともいえます。悲しみを引きずるというデザインがあって、そこに言葉があてはめられていく。本当はもっとみんな、違うはずなんですよ。被災地には悲しみだけじゃなくて、喜びもあるのに、もっと悲しまないといけない、なにかきれいにまとめないといけないというデザインがあって、言葉がついていく。例えば、悲しい音楽と被災者の悲しい表情がテレビに流れる。スタジオで『まだまだ復興は遠いですね』とコメントをつける。まとまりがいいですよね」

「でも、それ本当は違うよねって誰かが言わないといけないんですよ。確かに悲しみはある。でも、それだけじゃないでしょって。現地の方から、悲しいところばかり映像で流すのはやめてほしいって声も上がっていると聞きます。きれいにまとめない言葉が必要なんです。固定化された言葉を崩さないといけない」

「メディアの方は、見繕っている言葉、きれいな言葉に反応しますよね。でも、現実はもっと、わやわやしている。みんな、本当はもっと考えているんですよ。でも、それが表にでてこない。もっと言葉を探すことですよね。まだまだ足りないと思うんです」

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最終更新:6月13日(月)13時28分

BuzzFeed Japan

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