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自動ブレーキ、約半数が誤解 クルマの「先進技術」はかえって危険?

乗りものニュース 6月11日(土)14時0分配信

誰もが知る「自動ブレーキ」、その半分は「誤解」

 2016年5月25日(水)、JAF(一般社団法人 日本自動車連盟)から衝撃の調査報告が発表されました。同年2月に実施された「ASV(先進安全自動車)の認知度等に関するアンケート調査」の結果がそれです。

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「ASV」というとあまりピンとこないかもしれませんが、いわゆる「ぶつからないクルマ」といった先進の安全運転支援機能を備えたクルマのことで、主な機能は「衝突被害軽減自動ブレーキ」です。メーカーによっては、「ぶつからないクルマ」や「プリクラッシュセーフティ」などさまざまな呼び方がありますが、ここでは簡単に「自動ブレーキ」と呼びたいと思います。

 このアンケートによれば、「『自動ブレーキ』や『ぶつからないクルマ』のことを知っている」という人が実に97.3%にも上るのに対して(「まったく知らない」と回答した2.7%を除く数字。なお、「名称を知っている」との回答は81.1%)、「機能の働き方や効果を知っている」という人は50.4%、「装置が作動しない場面などの注意点を知っている」という人はわずか24.8%しかいませんでした。つまり、名前は知っているけれど、どんなものかを知っている人は半分で、さらに詳しく内容まで理解している人は全体のたった4分の1だったのです。

 特に注目したいのは、ASVの購入に興味を示した人のうち、「自動ブレーキ」を「クルマが自動でブレーキをかけて停止してくれる装置」と考える人が39.8%もいたことです。実はこれが大きな勘違いで、「自動ブレーキ」は確かにブレーキを作動させますが、「ぶつかる前に必ずクルマを止める」と約束するものではありません。多くの人が「止まる」と信じていますが、実際には止まらないこともある、それが「ぶつからないクルマ」の現実です。

現状、「絶対に止まる」は夢物語

「自動ブレーキ」は「ブレーキを作動させる」だけで、いわゆる「自動運転」とは異なります。止まるか止まらないかは、速度とタイヤと路面の摩擦、クルマと障害物との距離の関係でケースバイケース。どんなに優れたブレーキでも、100km/hで走るクルマを10mで止めることはできません。路面が濡れているなど滑りやすければ、さらに止めるのは難しくなります。これは物理法則の限界です。

 また、ASVはまだまだ進化の途中である技術です。NASVA(自動車事故対策機構)が公開している、クルマの安全性能を検査するJNCAP(自動車アセスメント)の試験結果においても、ASVが確実に衝突を回避するものではないことが示されています。将来、完全自動運転が実現できれば、「必ずぶつからないクルマ」も実現できるかもしれませんが、現状において「絶対に止まる」は夢物語なのです。

 加えて、「自動ブレーキ」にもいろいろな種類があります。ざっくりいえば、低い速度でしか作動しないものと、高い速度まで対応するものがあるのです。カタログの説明をすみずみまで読むと、「50km/h以上は作動しません」や、「10km/h以下では作動しません」といった「ただし書き」を見つけることができるでしょう。低速度帯でのみ作動する自動ブレーキでは、普通自動車の一般道における法定速度である60km/hの走行に対応できず、逆にノロノロの渋滞では効かないシステムもある、というわけです。

 さらに、使うセンサーごとに得手不得手もあります。たとえばスバルの「EyeSight(アイサイト)」はカメラだけなので、安価でコストパフォーマンスに優れていますが、視界の悪い逆光や霧が苦手です。こうしたシステムの死角をなくすために複数のセンサーを使っているクルマも見られますが、もちろん価格に反映されるため、すべてのクルマでそのようにすることは現状、難しいといえるでしょう。

 つまり、「自動ブレーキがあれば、いつでもどこでも大丈夫」ではないのです。ところが前述のように、約4割もの人が「自動ブレーキ」のことを誤解、あるいは過信ともいえる認識をしています。これは憂慮に値する事態です。

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最終更新:6月14日(火)11時4分

乗りものニュース

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