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ミラノで開催された『F4F』…FC東京U-14が手にしたものとは

SOCCER KING 6月11日(土)21時40分配信

 イタリア・ミラノ市にて5月26日から30日まで、チャンピオンズリーグのオフィシャルスポンサーであるガスプロム社が主催する「第4回フットボール・フォー・フレンドシップ(F4F)」が開催された。全32カ国の代表チームが参加するこの大会で、日本からはFC東京U-14(「FC東京U-15深川」と「FC東京U-15むさし」の2チームから選抜された8名の特別編成チーム)が2年連続で出場。メインイベントとなる「国際ストリートサッカー・トーナメント」で前回3位という好成績を収めた日本の代表チームは26日、「昨年の再現」を果たすべくミラノへと渡った。

 FC東京U-14の選手は皆、海外での国際試合は初経験。U-14の北慎監督は「同年代のトップレベルのチームとぶつかり合って、自分の力を世界基準で知ってもらいたい」と、選手の成長を促す大会として大きな期待を抱いていた。

 およそ12時間のフライトを経て、選手団はミラノに到着する。翌日の午前中にはトーナメントの初戦が控えているため、長旅の疲れによるコンディションを不安視していたが、選手たちは「全く問題ありません」、「機内でも楽しく過ごせました」と頼もしい言葉を返してくれた。

 翌朝、「国際ストリートサッカー・トーナメント」のグループステージの対戦相手が決定した。FCカイラト(カザフスタン)、ベシクタシュ(トルコ)、ツルヴェナ・ズヴェズダ(セルビア)──。いずれも各国を代表する名門クラブであり、選手たちにとって相手に不足はなかった。

 だが、U-14は初戦のFCカイラトで早くも世界の壁にぶち当たる。国際舞台のムードにのまれて体が硬直し、普段ならあり得ないミスを連発した。「表情が硬いぞ! リラックス、リラックス!」と必死で選手を我に戻そうとする北監督の声は思うように届かず、相手に先制点を奪われる苦しい展開。それでも個の能力で上回るU-14は、青木友佑が見事なトゥーキックシュートを決めて同点に追いつく。直後に一瞬の隙を突かれて再びリードを許したものの、終盤に渡邊夏伊のお膳立てから新良介のゴールで2-2の同点に持ち込み、土壇場で敗戦は免れた。しかし、U-14の選手たちは試合終了のホイッスルが鳴った後も放心状態だった。

 気持ちは戦っているのに、体が思うように動かない──。最初の同点ゴールを決めた青木は「もっとやれたし、勝ち切ることができた試合だった。でも、体が全然動かなくて苦戦してしまった」と不完全燃焼であることを強調。「これほど何もできなかった彼らを見たのは初めて」と、北監督も戸惑いを隠せなかった。

 そして迎えた第2戦目のベシクタシュ戦、初戦の緊張がほぐれたU-14は本来の技術の高さを発揮。序盤に渡邊が得意の左足で強烈なシュートを突き刺し、待望の先制点をマークする。これで波に乗るかと思われたが、ここから相手の猛反撃にさらされる。フィジカルにモノを言わせた強引な突破やパワープレーで押し込まれると、終盤に寄せの甘さから失点。さらに、終了間際にはミドルシュートを決められて1-2でタイムアップ。ベシクタシュの力強さと思い切りの良さに屈した。

 決勝トーナメントに進むには勝利が絶対条件となった第3戦目は、セルビアのツルヴェナ・ズヴェズダと対戦した。良い意味で開き直った選手たちは、恐れを抱くことなく積極的にボールを呼び込み、勝利を求めてガムシャラに相手ゴールを強襲。球際への強さも飛躍的に増すなど、気持ちがこもった戦いを展開。タイムアップ目前の失点に沈んでグループステージで敗れ去ることになるものの、選手たちはたくましい姿を見せて成長の跡を残した。

「世界の選手とはまだまだ差があるなと感じました」。キャプテンの小林慶太は初めて経験する国際大会を振り返る。「特に、一対一の場面で仕掛ける時のうまさやスピードがすごかった。2戦目のベシクタシュ戦では球際がとても激しくて、フィジカルの差をすごく感じました。またいつか海外のチームと試合をしたい。そのためにはもっと高い意識を持って練習をして、今度は絶対に勝ちたいです」

 では、北監督はこの大会を通じて何を感じ取ったのか。

「現時点での彼らの力はここまでかもしれない。ただ、最後は彼らなりにチャレンジする意思を示してくれた。気持ちの面で成長してくれた部分は大きいと思います」

「トータルで見ると、私も含めてまだまだ力不足です。敵陣のゴール前ではシュートを決め切ること、自陣のゴール前では相手にシュートを打たせない寄せやブロックを心掛けること。大会を通じて、自陣と敵陣の両ゴール前でのプレーは大きな課題になりました」

「ただ、日本ではあまり味わえないような力強いチームと対戦できたことは収穫の一つでした。もちろん勝つに越したことはないですが、彼らの長いサッカー人生を考えると、『やれた』より『やられた』という経験のほうが良い方向につながっていくのかもしれない。選手たちの伸びしろを考えれば、これからが本当に楽しみですよ」

 大会を通じて世界水準のフィニッシュ精度、インテンシティ、そして勝利への執念を肌で感じたU-14。無限の可能性を秘める彼らはイタリア遠征での経験をどう生かしていくのか。選手たちの成長スピードを考えると、今後の活躍を期待せずにはいられない。

写真=兼子愼一郎

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『フットボール・フォー・フレンドシップ』とは

 少年たちの国際的懇親プログラムであるフットボール・フォー・フレンドシップ (F4F)は、チャンピオンズリーグのオフィシャルパートナーであるガスプロム社により、同社のグローバル懇親プログラム「ガスプロム・フォー・チルドレン」の一環として実施。

 F4Fプログラムは少年フットボールを広め、少年のスポーツと健康的ライフスタイルを守り、世界各国の少年たちの間で忍耐力と友情を育てることを目的としている。

 F4Fはフットボール界のレジェンドであり、本プログラムのグローバル・アンバサダーであるフランツ・ベッケンバウアー氏が支援する。本プログラムのキーバリューは「友情」、「平等」、「スポーツマンシップ」、「健康」、「平和」、「熱意」、「勝利」、「伝統」、そして「リスペクト」。

 本プログラムのメインイベント、国際少年フットボール・フォー・フレンドシップ・フォーラムでは、世界中の選りすぐりのジュニア・フットボール・クラブに所属する12歳から14歳のフットボーラーが一同に会す。

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最終更新:6月11日(土)21時53分

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