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義実家への絶縁状「彼らの顔を思い浮かべると痛快」姻族関係終了届を出しました

弁護士ドットコム 6月11日(土)8時16分配信

〈姻族関係終了届〉を知っていますか? 結婚すると、配偶者の父母や兄弟などとの関係を「姻族」ともいいます。離婚すれば、姻族関係は自動的に終わりますが、死別した場合には継続するため、「扶養義務」が発生することになります。それがイヤな人、きれいさっぱり縁を切りたい人は、〈姻族関係終了届〉を提出することで、終わらせることができる制度です。

義実家との関係に悩む人は多いのに、なぜかこの届については、あまり知られていません。そこで、*年連れ添った夫が亡くなった後、実際に〈姻族関係終了届〉を提出した私が、簡単な手続きなのに効果が大きいこと、そして提出した理由を率直にお話したいと思います。(ライター・椙原繭実)

 ●葬儀で揉め、相続で争い、「最悪」が更新されていった

今から3年前、夫が亡くなった時、私と婚家との関係は最悪でした。その後、両者の関係はこじれにこじれ、「最悪」が更新されていきます。葬儀で揉め、相続で争い、あげく住まいを追われた私は、婚家への憎悪を肥大させていきました。そうした負の感情は、私の心身をむしばむだけでなく、ときに周囲を巻き込みました。そんな私をラクにしてくれたのが〈姻族関係終了届〉だったのです。

四十九日を終えた後、「これ、貴女にプレゼント」と友人から渡されたのは、何も書かれていない茶封筒でした。中には一枚の紙が入っていました。〈姻族関係終了届〉と書かれた、はじめて見る書類です。「あまり知られていない手続きだし、しなくてもどうということはないんだけど、気持ちの整理に役立つと思うよ」。

聞けば、この書類を役所に出せば、姻族との関係を断つことが出来るというのです。すでに絶縁状態でしたので、断つも断たないもないのですが、戸籍上も一切の関係がなくなると知り、これこそが私の求めていたものだと感じました。

私は彼女に、夫の生前から結婚生活の苦労を話していました。そこで、亡くなった時、今こそと渡してくれたのです。

 ●夫が亡くなった途端、二世帯住宅を追い出された

私の結婚生活は、夫や子どもとの関係は良好だったものの、義父母との関係に苦労し続けました。10年にわたり二世帯同居していたにもかかわらず、婚家の人々の私への態度は冷たいものでした。夫との間に生まれた子どもに対しても同様です。それだけなら「家風」と割り切ることも出来たと思います。が、私は後妻でしたので、夫の前妻とその子への厚遇を知っていました。

かたや私は、結婚以来、働きながら家事育児を担ってきました。夫は晩年、介護が必要でしたので、その負担もありました。それでも私は夫と子どもがいて幸せでした。しかし、夫が亡くなった途端に、婚家の人々は私たちを追い出したのです。住み慣れた家を出る時、孫に優しい言葉ひとつかけることのなかった義母。その横顔の硬さは、今も目に焼き付いています。

 ●「あっ、縁切られてる」彼らの顔を思い浮かべて痛快に

〈姻族関係終了届〉は、シンプルな書類です。記入するのは、自分の氏名と生年月日、住所、本籍、死亡した配偶者の氏名。これだけです。押印も自分のものだけで、三文判でOK。保証人もいらず、子どもに知らせる必要もありません。配偶者の死後であれば、いつ出しても構いません。

あくまでも「私」と「夫の身内」の関係を断つ手続きなので、相続とは関係ありません。しかも、これを出しても、相手に知られることはないのです。あるとしたら、いつか婚家の誰かが夫の戸籍をとった時でしょう。「あっ、縁切られてる」とわかった時の彼らの顔を思い浮かべると、痛快でした。

 ●「姻族関係終了届」は、公的な絶縁状

友人から受け取った後、都合をつけて役所に向かいました。郵送での手続きもできるのですが、わざわざ都合をつけて足を運んだのは、自分の目で「姻族関係終了」の瞬間を見届けたかったからです。総合案内の受付で用件を伝えると、「え? 親族関係、ですか?」。役所の人であっても、知らない人がいるほどにマイナーな届のようです。

書類を出して見せると、戸籍の窓口を案内されました。担当者に渡すと、戸籍謄本も提出するように求められました。私の居住地と本籍が別の自治体だったからです。当時は戸籍謄本を持ち歩いていたので、その場で受け付けてもらえました。それにて終了です。役所を出る時の気持ちは、晴れ晴れとしていました。

〈姻族関係終了届〉は、いわば公的な絶縁状。それからの私は、婚家のことを考えても以前ほどイライラせず、何かあっても「赤の他人」と受け流せるようになりました。もし誰かが昔の私のように悩んでいたら、友人がしてくれたのと同じことをします。「持っているだけでも心の支えになるよ」と言葉を添えて。

弁護士ドットコムニュース編集部

最終更新:6月11日(土)8時53分

弁護士ドットコム