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「知事も乗れる」動き出した海兵隊撤退論【検証・在沖海兵隊(1)】

沖縄タイムス 6/12(日) 5:00配信

 「海兵隊撤退は、『建白書』を逸脱するものではない。知事も乗れる」
 元米海兵隊員の軍属による女性遺体遺棄事件に抗議する19日の沖縄県民大会について、主催団体の代表らは6日夜、那覇市内の幹事会で方向性を確認した。
 繰り返される事件、事故に対する県民の怒りをどう表現するか-。
 議論は動いた。
 「基地がある故の事件、事故」。元自民県議の仲里利信衆院議員は「全基地撤去だ」と口火を切った。
 賛同もあったが、まとまったのは「海兵隊撤退」だった。正式名称は「元海兵隊員による残虐な蛮行を糾弾!被害者を追悼し、沖縄から海兵隊の撤退を求める県民大会」と決まった。
 「オール沖縄」を掲げる翁長雄志知事は普天間飛行場の名護市辺野古移設反対とオスプレイの県内配備撤回を訴えてきた。2013年1月に県内41市町村の代表や県議が安倍晋三首相に手渡した建白書の内容だ。
 一方、ことし6月に県議会が「海兵隊撤退」を盛り込む抗議決議案を可決した際には「(自分の思いとは)紙一重の差ですから、政治的にどう表していくか、議論をしたい」と慎重に言葉を選んだ。
 知事の考えと差異があるように見えるが、出席者の1人は「辺野古移設もオスプレイ配備も根源は海兵隊の沖縄駐留。撤退すればすべてが解決するので建白書を逸脱しないと判断した」と強調。「事件、事故がなくならない現状を見ればそこに踏み込むのは当然」と付け加えた。
 海兵隊は在沖米軍の兵力の6割、面積の7割を占める。さらに10~20代の若い隊員が数年のローテーションで配備される。幹事会では「事件、事故を起こすのはいつも海兵隊員」との指摘が上がった。具体的な数値はないが、県民の肌感覚かもしれない。
 沖縄戦で軍事占領した土地をきっかけに駐留を続ける米軍だが、海兵隊はもともと沖縄に存在したわけではない。
 戦後に撤退し、朝鮮戦争の後方支援のために岐阜や山梨・静岡に配備された部隊が50年代に沖縄に移ってきた。ベトナム戦争時にいったん移動したが、再配備され、増強された。
 在沖海兵隊に関する研究が進み、米国の軍事戦略以外に、日米の財政や政治のバランス、本土の反基地運動などの要因が大きく影響していることが分かってきた。さらに専門家の間で抑止力や地理的優位性といった機能面でも沖縄駐留の必要性に疑問を投げ掛ける意見が相次いでいる。
 全基地撤去に比べれば、海兵隊撤退は単なるスローガンではなく、「現実的」になりつつある。(特別報道チーム・福元大輔)
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 これ以上の事件、事故を許さないと、19日の県民大会で「海兵隊撤退」を求めることが決まった。これまでの研究や報道をもとに、在沖海兵隊の歴史や意義、役割などを検証する。

最終更新:6/15(水) 3:11

沖縄タイムス

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