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【インタビュー後編】レイジ「デビューしたての新人バンドみたいな感覚だね」

BARKS 6月13日(月)20時9分配信

1stアルバム『レイン・オブ・フィア』(1986年)をリリースしてから30周年を迎えたレイジが、新メンバーを迎えてアルバム『ザ・デヴィル・ストライクス・アゲイン』を完成させた。原点回帰をしたような楽曲はどれもエネルギッシュで、新体制になり、バンドに新たな活力が生まれたような印象を受ける。アルバムについて語ってくれたピーヴィーとラッキーのインタビュー前編に引き続き後編をお届けする。

◆レイジ『ザ・デヴィル・ストライクス・アゲイン』オフィシャルページ

――新作ではシンガーとしてどういうアプローチで臨みましたか?

ピーヴィー・ワグナー:そうだなあ、正直言って今回のアルバムの曲のヴォーカルに関しては、ほとんどが俺の腹から湧き上がってきたものというか……俺はただ、声に感情をちゃんと込めることと、歌にスピリットを取り戻すようにした。それだけだね。とにかく全てをしっかり歌うことを心がけた。

シリオス“ラッキー”マニアトプロス:俺は自分でも歌を歌うから、ヴォーカル・ラインによっては歌うのが凄く大変な曲があることを知っているんだよ。ピーヴィーみたいに30年以上も現役でやっている他のロック・ミュージシャンたちの中には、もう若い頃のようには歌えなくなってしまう人たちも多い。それは加齢のせいだったり、不摂生のせいだったり、理由は色々だと思うんだけど、ピーヴィーに関してはそんなことは一切ないんだ。これは本当に驚異的なことだよ。今回のアルバムでの彼のヴォーカルは、これまでで一番いいと思う。ハイノートを使うところなんて、スタジオで聴いてて鳥肌が立ったぐらいだ。彼はいつだって、他の誰にもできないようなレべルのパフォーマンスを披露している。本当に素晴らしいよ。彼はレコーディングで録音した音を、ライヴでもそのまま、何ひとつ例外なく、同じクオリティで何度でも再現できるんだ。マシンから出てくる音や声なんて必要ない。彼はスタジオの中でパフォームしたことを、全部そのままステージの上でパフォームできるんだよ。

ピーヴィー・ワグナー:ありがとう。そう言えば、新しいラインナップになってから、1つ今までになかったことが起こっているんだ。今やバンドには3人のちゃんと歌えるシンガーがいるから、俺は今回レイジのアルバムで初めてバッキング・ヴォーカル、ハーモニー部分を一切歌わずに済んだんだよ(笑)。完全にリード・ヴォーカルだけに徹することができた。これまではリードを歌って、ハーモニー部分も全部自分でつけるのが当たり前だったんだ。たまには少し目先を変えるたり、彩りを添えるために、スタジオ・シンガーにも入ってもらったりしたけど、ライヴでは結局それに関してはテープを使うしかなかった。だけど今回は文字通り、全てを俺たちで、生でパフォームすることが可能なんだよ。バンドには3人のシンガーがいるわけだし、アルバムでもやってもらった通り、マルコスとラッキーがバッキング・ヴォーカルを全部引き受けてくれる。俺にとっては初めての経験なんだけど、物凄くいい感じだよ! 特にマルコスの声は、俺の声と凄く相性がいいんだ。

――なるほど。アルバムでのラッキーのドラム・プレイについては、どう評価していますか?

ピーヴィー・ワグナー:ケタ外れに素晴らしいよ。正直、彼がここまで叩けるようになるとは思っていなかった。リハーサルをやって、最終的なレコーディングの前にドラムの構成のアレンジメントをやった時にはブッ飛んだよ。技術的な知識もしっかりしてるし、音符通りにプレイすることもちゃんと理解していた。そういう意味では、ちょっと昔の、マイク・テラーナがいた頃(1999~2006年)を思い出したね。彼はいつも全部譜面に書き起こしてたし、ドラミングに関して色々理論的なことも分かっていた。ラッキーも全く同じなんだ。どこにどういう風にリフを持ってくるかとか、どうやってギター・リフをサポートするかというのを数学的に、正確に考えている。どうすればもっと全体をパワフルにできるかとかね。俺はとても感心したし、凄く気に入ったよ。とても良い仕事をしてくれたと思っている。今回のアルバムで聴けるのは9割方、彼がスタジオで、ライヴ録りの状態で実際にプレイしたそのままの音だ。ここ最近のレコーディングでは、ProToolsとかを使って、どのパートでも何もかもを細かく切り刻んでは繋ぎ合わせるというやり方が多い。実際、レイジの前作(『21』/2012年)は、レコーディングの時にプレイしたものを物凄く細かくカットして、それを継ぎ合わせて作られていたんだよ。あの時のプロデューサーのチャーリー・バウアファイントは、ドラム・サウンドに物凄くこだわりを持っていて、完璧な正確性を求めていたから、何もかもを細かく切り刻んで、モザイクみたいに音を組み合わせていたんだ(苦笑)。でも、今回はそういうやり方はしなかった。プロダクションの全権は俺とマルコスに委ねられていたからね。俺たちはいわゆる人間らしいフィーリングを前面に出したアルバムを作りたかったんだ。だから今回のアルバムで実際に聴けるドラムは、ほぼノーカットに近い状態だ。せいぜい1曲につき、2つか3つ継ぎ目があるくらいかな。例えば、エンディングのところでうっかりミスが出た時には、「OK、それじゃ最後の4小節だけやり直してみてくれ」と言って、そこだけ差し替えたりしている。でも、基本的には彼がプレイしたものをそのまま活かしてあるよ。

――マルコスのギター・プレイについては、どう評価していますか?

ピーヴィー・ワグナー:これもまた俺は度肝を抜かれたんだよ。俺は昔から彼が優秀なギター・プレイヤーだってことは知っていたし、基本的にどんなスタイルでもこなせる奴だということも知っていた。ジャズとかブルーズとか、何でもね。彼は長いこと色々なミュージシャンのカバーを演るバンドにいたから、曲のタイトルを言っただけで即座にその曲が弾けちゃうんだよ(笑)。でも、彼がレイジでプレイしている姿を見てると、まるで生まれた時からずっとこのバンドでプレイしていたみたいに感じることがある。彼はこのバンドの音楽を、空気みたいに吸い込み摂取して大きくなってきたんだ。だからレイジの歴代在籍ギタリストたちのそれぞれ典型的なプレイ・スタイルも全部頭に入っている。彼はそれをいつも、各ギタリストたちのシグネチャーと呼んでるんだ。だから、例えば、ここではマンニ・シュミット(1988~1994年)のシグネチャー・スタイルを使いたいと思ったら、それを瞬時に再現することができるし、聴いてる俺は「おいおい、それはマンニじゃねえか!」と思うんだ。スピロス・エフティミアディス(1994~1999年)だって、誰だって引っ張り出せるんだ。

シリオス“ラッキー”マニアトプロス:マルコスの何が凄いって、いわゆる速弾きを超がつくぐらいのハイ・レべルでこなせるギタリストなんだけど、それと同時に本当に素晴らしいミュージシャンで、アルバムで聴ける彼のソロはまるで作曲したみたいなんだよ。曲に合ったソロをその場で書き下ろしてる感じなんだ。見せびらかすようなプレイじゃなくて、もっと凄くシンプルだけど、その曲には必要不可欠なソロなんだ。

ピーヴィー・ワグナー:確かにそうだな。彼は俺に、「どのギター・ソロも歌えるようなものにしたい」と言っていたよ。きっとライヴの時には、ギターで歌っているつもりなんだろう(笑)。それが彼が追求している方向性なんだよ。

――歌詞に関しては何かコンセプトはあるのですか?

ピーヴィー・ワグナー:いや、今回の作品は別にコンセプト・アルバムじゃないし、作品の背景に何かストーリーがあるとかでもない。勿論、曲を書く時には俺の中には常に1つ流れみたいなものはあるし、ダークなトピックスとか、時事問題とかにも興味はあるよ。ダーク・ソウルとでもいうようなものさ。俺は普段から割とそういうのに興味があって、曲を書くとなると大体いつもそういう方向性のものになるんだよ。

――今後の予定を教えてください。

シリオス“ラッキー”マニアトプロス:アルバムのリリースに合わせて海外のフェスティヴァル・ツアーを沢山こなすことになっている。その後、ニュー・アルバムを引っ提げてのワールド・ツアーもやるよ。多分それが始まるのが10月の終わりから11月の初めだね。それが少なくとも2ヵ月続く予定で、もう少し先まで日程が追加されるかも知れない。

ピーヴィー・ワグナー:それと、その後、折を見てまたオーケストラと共演したいと思っているけど、当面はメインのレイジとしての活動に集中するよ。あと、アルバム『XIII』(1998年)がもうじきリリースから20周年を迎えるので、それを記念したスペシャル・ショウもやりたいね。

シリオス“ラッキー”マニアトプロス:何にせよ、とにかく言えることは、今は物凄くエキサイティングな時間だということだ。みんなが凄くクリエイティヴになっている。まるでデビューしたての新人バンドみたいな感覚だね。一緒にプレイできることが嬉しくてたまらない。新しいマテリアルを早くみんなに披露したいし、バンドの中にエナジーが満ち満ち溢れている。きっとこの感じはこの先、このレヴェルで何年も続いていくと思うよ。

――では、最後に読者にメッセージをお願いします。

ピーヴィー・ワグナー:まず、日本のファンのみんなが俺とレイジに対して寄せてくれている、長年ずっと変わることのない信頼と真心にはとても感謝している。新生レイジでも日本でプレイする機会があると思うので、レイジの今の姿と、今の俺たちができることをみんなに観てもらえる機会を今からとても楽しみにしている。俺はいつもみんなから、ファンタスティックなエナジーをもらっているんだ。それが俺たちの支えになっているんだよ。本当に、いつもどうもありがとう。

【メンバー】
ピーター“ピーヴィー”ワグナー(ヴォーカル/ベース)
マルコス・ロドリゲス(ギター/ヴォーカル)
ヴァシリオス“ラッキー”マニアトプロス(ドラムス/ヴォーカル)

『ザ・デヴィル・ストライクス・アゲイン』
2016年6月10日発売
※日本語解説書封入/歌詞対訳付き
【通販限定直筆サイン入りブックレット付きCD+ボーナスCD+マイ・ウェイEP】\5,500+税
【日本盤限定スペシャル・エディションCD+ボーナスCD+マイ・ウェイEP】\3,500+税
【初回限定盤CD+ボーナスCD】\3,000+税
【通常盤CD】\2,500+税
1.ザ・デヴィル・ストライクス・アゲイン
2.マイ・ウェイ(ヘヴン・オア・ヘル)
3.ウォー
4.ザ・ファイナル・カーテン
5.オーシャン・フル・オブ・ティアーズ
6.デフ、ダム・アンド・ブラインド
7.スピリッツ・オブ・ザ・ナイト
8.タイムス・オブ・ダークネス
9.ザ・ダーク・サイド・オブ・ザ・サン
10.バック・オン・トラック
ボーナスCD
1.ブリング・ミー・ダウン
2.イン・トゥ・ファイア
3.レクイエム
4.ブラヴァド(ラッシュ カヴァー)
5.スレイヴ・トゥ・ザ・グラインド(スキッド・ロウ カヴァー)
6.オープン・ファイア(Y&T カヴァー)
マイ・ウェイ
1.マイ・ウェイ
2.ブラック・イン・マインド(リレコーディング)
3.セント・バイ・ザ・デヴィル(リレコーディング)
4.アプエスト・ア・ガナー(「マイ・ウェイ」スペイン語 ver.)

最終更新:6月13日(月)20時9分

BARKS