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【インタビュー】スコーピオン・チャイルド「なぜ日本に行かなかったんだろ」

BARKS 6月13日(月)20時10分配信

テキサス州オースティンのハード・ロック・バンド、スコーピオン・チャイルドの通算2枚目のフル・アルバム『アシッド・ルーレット』が6月10日発売が発売となった。1970年代ロックのルーツを強く滲ませるブルージーな曲もあれば、同じく1970年代スタイルながら、今回からキーボード奏者のいる5人編成になったこともあり、ディープ・パープルやユーライア・ヒープ等を彷彿とさせる場面も多く見受けられる。

◆スコーピオン・チャイルド画像

溌剌とした歌声と豊かな声量を持つアーリン・ジョナサン・ブラックに話を聞いた。

――最近の活動はいかがですか?

アーリン・ジョナサン・ブラック:総て順調だ。MONSTER MAGNETとのヨーロッパ・ツアーから戻って来たばかりで、今は新しいレコードを出す準備をしている。

――デビュー・アルバム『アシッド・ルーレット』は日本の雑誌のレビューでも高い評価を得たのですが、欧米のファンやメディアの間でも好評だったようですね。

アーリン・ジョナサン・ブラック:ああ、もう最高だった!俺達、なぜ1stアルバムの時に日本に行かなかったんだろう。

――それはこちらが訊きたいくらいです(笑)。

アーリン・ジョナサン・ブラック:本当になぜなんだろう(笑)。大体さ、日本にファンがいるってことも3週間くらい前に聞いたばかりなんだ。

――本当ですか?

アーリン・ジョナサン・ブラック:ああ。今だってそれが本当なのかどうかわからない。信じられない(笑)。君の方が今の状況を良く把握しているんじゃないかな。日本に俺達のファンがいるなんて、本当かな…(笑)。

――ちゃんとファンはいますよ。新作の仕上がりには満足していますか?

アーリン・ジョナサン・ブラック:ああ、勿論!良いタイミングで良いものが発表できたと思う。あの当時に自分達が感じていた思いをそっくりそのまま盛り込むことができたんで、あの時の俺達の良い声明になったと感じている。

――CROBOTやKADAVAR、GYPSYHAWKらとツアーで共演していましたが、共演者から何か学ぶことはありましたか?

アーリン・ジョナサン・ブラック:学ぶことや得ることは、ツアーに出るたびにいつもある。どのバンドも非常に個性的なので、その都度色々と吸収できる。出会うバンドすべての人から何かしら学ぶことはある。バンドとしての文化は非常に似通っているので、その中にいる人達とは共通点が多くあるけど、みんな凄く個性的なんで、そういう彼らから得られるもの、音楽面で参考になることは数多くある。共通のものを見つけ互いの間に絆が生まれるし、新鮮な面を発見してインスパイアされる。それはアーティストとしてだけではなく、1人の人間として、音楽以外の面でも。

――具体的には?

アーリン・ジョナサン・ブラック:文化の異なる地で生まれ育った人を通して、他文化や他言語に触れることでも俺は色々とインスパイアされる。そう、俺は他の国から来たバンド達と共演するのが大好きなんだ。俺達とは異なる文化からは学べることが多々ある。食べ物もそうだし、その他何でも。彼らが夢中になっている音楽に触れたりするのもいい。勿論、彼らを通してだけではなく、インターネットのおかげで、今は色々なタイプの音楽に非常に簡単に触れることができるけど、共演者達から、直接世界中の音楽からも色々な刺激を受けられるんだ。

――わかります。さて、2014年に相次いでメンバーが脱退しました。ショーン・ディートリック・アヴァンツ(B)、トム・フランク(G)、ショーン・ポール・アルヴィアー(Dr)が脱退してしまいました。彼らがバンドを去った理由を聞かせてください。

アーリン・ジョナサン・ブラック:ショーンは子供が生まれたことを理由にバンドを去った。でも、その後音楽が恋しくなり、同じく元メンバーのトム・フランクと新しいバンド、DUELを始めた。それからドラマーのショーン・アルヴィアーがバンドを離れたのは、単純に音楽の方向性の違いからだった。俺達は今でも彼のことが大好きだけど、音楽的にもうこれ以上一緒に活動できないというところまできてしまった。双方が納得の上での結論だった。

――特にショーンは、あなたと同じくバンド結成当時の2007年から在籍していたメンバーの1人です。

アーリン・ジョナサン・ブラック:彼が加入する前にもう1人ベーシストがいたよ。

――なるほど。彼がバンドを去ったというのは大きな喪失だったのではないですか?

アーリン・ジョナサン・ブラック:正直言って、その時が来たと思っている。彼の去り方自体がバンドにとって辛いものがあった。今はまだそんな段階にはないが、いつの日かまた友達になれるかもしれない。辛かったのは、ヨーロッパ・ツアーの最中に俺達から離れたことだ。一体どうすればいい?と思った。2時間後にショウがあるっていう時に。その後10回もショウがあった。スウェーデンのHORISONTとツアーしていた時、CHURCH OF MISERYにもいたトム・サットン(G)が自ら歩み寄ってくれて数曲習得し、他のギタリストもまた数曲習得し、それでツアーを最後までやり遂げることができた。HORISONTには本当に感謝だよ。だから、俺達には凄くチャレンジングな時期だった。

――あなた方の地元のオースティンは音楽が盛んな街ですが、新しいメンバーを探すのは容易でしたか? それとも吟味する必要がありましたか?

アーリン・ジョナサン・ブラック:彼らをどうやって見つけたかを話そう。まずジョン(・ライス/Dr)だけど、彼とはツアーしている時に知り合った。アメリカの<Mayhem Festival>に参加した時、同じ日にJOB FOR A COWBOYというデス・メタル・バンドが出ていた。それで俺達はジョンがプレイするのを観た。彼とMASTODONのブラン・デイラーの2人は、そのツアーではベストなドラマーだったね。彼はデス・メタルをプレイしていたけど、彼がロック・ドラマーだということも俺は察知した。彼と仲良くなり、フェスティバルの終盤に「君達の音楽をプレイしたいので、何かあったら声をかけてくれ」と言ってくれた。それで数ヵ月後、ツアー中にドラマーのショーンと問題が起こった時、俺達は迷わずジョンに電話をした。すると彼は飛んできて、オーディションも何もせず、すぐさま完璧に上手くいった。

――アレック・カヴァレロ・ペイドロン(B)は?

アーリン・ジョナサン・ブラック:アレックは俺の昔からの友達で、何年も前からメンバーになることに対する興味を話してくれていた。そしてそのチャンスが巡って来た時、俺は真っ先に彼のことを考えた。テキサス州オースティンでヘヴィ・ミュージックをプレイするベーシスト中で最も優れた人物の1人だ。彼は主に本当にヘヴィなヘヴィ・メタル・バンドでプレイしている。ジョンと同じくデス・メタルやブラック・メタルのバンドでプレイしていた。だから2人は凄く相性がいい。アレックスはメキシコ出身でラテン・ミュージックも演奏している。彼のバックグラウンドは非常に幅広いし、ジョンもそうだ。彼はノルウェーの1349でもプレイしている。フロスト(1349、SATYRICONのDr)はアメリカでツアーをしないんで、こっちでは彼が彼らのドラマーを務めている。俺達全員がブラック・メタルを深く愛しているから、アレックスとジョンはバンドにとってこれ以上ないほどに強力なリズム・セクションであり、バンドに及ぼす影響は大きいよ。俺達はしばらくの間、クリス、アレン、ジョンそして俺の4人編成で活動していた。過去には常にギタリスト2人でやっていたが、それは俺の本意ではなかった。バンドを始めた当初からディープ・パープルの編成でやりたかった。その方がバラエティ豊かな音楽が演奏できるし、曲作りにも幅が出ると思っていた。ただ、俺は初めから凄腕のオルガン・プレイヤーが欲しかったが、そういう人物を見つけるのは物凄く難しかった。でも、俺はベストな人物を見つけるまで焦らず待つ気でいた。そして今、ようやくAJ(アーロン・ジョン・ヴィンセント)と巡り合えた。AJは彼独自の音楽をプレイする。デイヴィッド・ボウイのような存在だ。非常に才能溢れる人物で、色々な楽器を演奏し歌うこともできる。彼がこのバンドに与える影響も絶大だろう。ピンク・フロイドのような要素、そしてディープ・パープルのジョン・ロードを持ち込んでくれるだろう。彼とクリスの二重奏は、時としてギターの二重奏に聞こえるもある。このバンドではディープ・パープルのリッチー・ブラックモアとジョン・ロードのようなプレイだけではなく、もっと違った使い方もしている。勿論、似通ったところもあるけど、俺達はディープ・パープルになりたいわけではないからさ。だから、キーボードを駆使しながら俺達らしさが出るような個性的な曲作りに励んでいる。

インタビューの後編では、ニューアルバム『アシッド・ルーレット』のコンセプトについてお届けする。

文・奥野高久/BURRN!
Photo by Rodrigo Fredes

【メンバー】
アーリン・ジョナサン・ブラック(ヴォーカル)
クリストファー・ジェイ・カワート(ギター)
ジョン“チャーン”ライス(ドラムス)
アレック・カバレロ・パドロン(ベース)
AJ ヴィンセント(キーボード)

スコーピオン・チャイルド『アシッド・ルーレット』
2016年6月10日発売
※日本語解説書封入/歌詞対訳付き
通販限定CD+Tシャツ ¥5,000+税
CD ¥2,300+税
1.シー・シングス、アイ・キル
2.リーパーズ・ダンス
3.マイ・ウーマン・イン・ブラック
4.アシッド・ルーレット
5.ウィンター・サイド・オブ・ディレンジド
6.セアンス
7.トワイライト・コーヴェン
8.サヴァイヴス
9.ブラインド・マンズ・シャイン
10.ムーン・テンション
11.タワー・グローヴ
12.アイ・マイト・ビー・ユア・マン
13.アディクションズ

最終更新:6月13日(月)20時10分

BARKS