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名門球団が迎えるいつもと違う夏 ヤンキースが主力を放出する可能性は?

Full-Count 6/12(日) 21:00配信

上昇気流に乗れずも…ヤンキースが「ファイヤーセール」に踏み切れば「一大事件」

「常勝球団」と形容される名門ヤンキースが、いつもと違う夏を迎えようとしている。今季は春先に最下位に低迷し、現地時間11日時点でア・リーグ東地区4位。6月半ばに差し掛かっても勝率5割前後を行き来して上昇気流に乗れず、プレーオフ進出を危ぶむ声も出ている。

 地元メディアでは8月1日のトレード期限までに主力の放出を検討すべきだという論調が例年になく、強まっている。低迷するチームが若手中心の布陣への移行を目指してベテラン選手と交換要員に有望選手を獲得することはよくあることだが、ヤンキースとなれば話は別。常勝を義務づけられる名門球団に再建のための2、3年の猶予は与えられないからだ。

 これまでは豊富な資金力を元にシーズン途中に効果的な補強をしてきた。2012年にマリナーズからイチロー外野手を獲得するなど、周囲をあっと驚かせる大物選手の移籍をまとめてきた実績がある。もしヤンキースが「ファイヤーセール」に踏み切れば、「一大事件」だ。

 ジラルディ監督は「トレード期限までとても重要な1か月になることは間違いない。上昇のきっかけを見つけなければいけない」と、重圧を感じているようだ。今季のヤンキースには、他球団が興味を示しそうな選手が多い。打者であれば16本塁打を放っているベルトラン外野手、抑えトリオのミラー投手、チャプマン投手を交換要員にすれば、有望な若手選手を見返りに期待できるだろう。

 これまでであれば、シーズン途中に主力を放出するようなことは常勝集団に許される手段ではなかったが、今年は少し風向きが変わってきている。ジーター、リベラ、ポサダ、ペティットという往年の名選手が次々と引退し、生え抜きスター候補だったカノもマリナーズへFA移籍。ここ数年でロースターは地味な顔ぶれに変わった。

下位球団に取りこぼしなければ、プレーオフへの道が開ける可能性も

 次世代の中核となる選手の台頭はチームにとってもファンにとっても願うところ。マイナーでは投打に有望株が育ってきており、世代交代をはかるには絶好のタイミングのようにも見える。観客動員は昨季1試合平均で4万人を割ったが、今季もここまで減少傾向。ファン離れをくい止めるためにも、若い主力選手にチャンスを与えることは長期的に見て理にかなっている。

 だが、正直なところ、ヤンキースがシーズンを諦める姿は想像できない。幸い、5月18日以降、15勝8敗と調子を上げており、6月後半にかけてロッキーズとツインズという勝率5割を下回るチームと11試合の対戦が組まれている。9日までのエンゼルス4連戦を全勝したように、取りこぼし無く下位球団を叩ければ、プレーオフへの道も開けてくるだろう。

 チャプマン、ミラー、ベタンセスという強力なブルペン3本柱がいるだけに、プレーオフ進出の権利さえ手にすれば、2009年以来のワールドシリーズ進出への期待も膨らむ。あとはベテラン中心の布陣でシーズン通して戦い抜けるか、だ。

 10日のタイガース戦では35歳で衰えの指摘されていたサバシアが好投し、チームに5連勝をもたらした。キャッシュマンGMは高齢化の進んだロースターについて「チームの助けになれば年齢は関係ない。彼らの経験は見過ごされがちだ」と話していた。打率2割そこそこのAロッドをはじめ春先から調子の上がっていないベテラン陣の奮起が浮上の鍵を握るのは間違いない。

 その一方で勝利を目指すなら、トレード期限までに起爆材となる効果的な補強が必須となるが、有望株を手放してまで大物選手を獲得するのかどうか。昨年7月15日時点で借金1だったブルージェイズがプライス投手やトゥロウィツキー内野手らをトレードで獲得する大型補強を展開し、ア・リーグ東地区を制した例もある。名門球団に流れる微妙な空気は、あと1か月でどのように変化するのか、注目したい。

伊武弘多●文 text by Kouta Ibu

最終更新:6/12(日) 21:11

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