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新刊寄贈願いやめて 作家・万城目さん、高岡市立図書館に苦言

北日本新聞 6月12日(日)0時29分配信

 「新刊の寄贈願いはやめて」。人気作家、万城目学(まきめまなぶ)さんのツイッターのつぶやきが、県内の図書館関係者の間で話題になっている。高岡市立図書館がホームページ(HP)で、予約件数の多い新作「バベル九朔(きゅうさく)」の寄贈を市民らに求めているのを見つけ、「作家が死ぬ」と名指しで批判したからだ。同館は急きょHPの内容を書き換えた。限られた購入予算の中で、少しでも利用者ニーズに応えようと、同様のお願いをする公立図書館は全国でも多く、図書収蔵の在り方を巡って議論を呼びそうだ。 (文化部次長・近江龍一郎)

 「鴨川ホルモー」「鹿男あをによし」などで知られる万城目さんがツイッターに批判を書き込んだのは、5月19日。高岡市立図書館がHPで、読み終えた新刊の寄贈を求めているのを見つけ、「すべての図書館がこのやり方で本を集め、タダで貸し続けたら、作家は死にます」とつぶやいた。HPには、万城目さんの新作のほか、ことし本屋大賞に選ばれた宮下奈都さんの「羊と鋼の森」など、話題作が並んでいた。

 同館が新刊の寄贈を呼び掛けるようになったのは2、3年前から。人気作の予約に対応しようとしても、図書購入費は限られ、何冊も同じ本を購入できない事情があった。万城目さんにツイッターで指摘されたことを知り、HPの内容を変更。特定のタイトルを掲げるのをやめ、「出版から5年以内の本」と改めた。

 野村剛館長は「窮余の策だったが、作家の心証を害してまでやるべきではないと判断した。市民のニーズも無視できず、頭が痛い」と話した。県内では南砺、魚津市の図書館がHPに書名を挙げて新刊の寄贈を呼び掛けている。

 万城目さんはツイッターなどで、図書館が新作を購入して貸し出すことには理解を示しているものの、無償で寄贈を受けてまで貸す姿勢に以前から疑問を向けていた。県図書館を考える会の江藤裕子代表(富山市)は「図書館は未来の読者を育てる大切な場所。問題の本質は、予算が削減され、寄贈に頼らなければならない現状にあるのではないか」と指摘する。

北日本新聞社

最終更新:6月12日(日)0時29分

北日本新聞