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なぜ、国内富裕層は税対策で「米国の木造住宅」に注目するのか?

ZUU online 6月13日(月)18時10分配信

相続税法が改正され個人の税負担が増える中、都内の高層タワーマンションを購入して節税対策をおこなう「タワマン節税」が注目されている。しかし、不動産投資による節税対策はそれだけではない。不動産税制に詳しい富裕層は米国の中古不動産を購入して節税対策をおこなっているのだ。通貨も制度も違う米国不動産をわざわざ購入するには、富裕層ならではいくつかの理由が存在する。ここではその代表的な理由を4つ紹介しよう。

①「建物:土地」価値の比率が異なる

日本で減価償却が終了した建物は、たとえ十分使用できる状態であっても、ほぼ建物の価値がないと見なされる場合が多い。例えば、木造の建物の場合、法定耐用年数の築22年を超えて減価償却がなくなると、その価値は実質上、土地値の評価になってしまう。

しかし、米国だと事情は異なる。米国の不動産市場では1950年代の家でも流通している状況で、日本のように22年を超えた木造建物の価値がなくなるようなことはない。したがって、建物価格を評価する米国の場合、日本に比べて建物価格の比率が高く70?80%以上となるケースがあると言われている。税対策の一つとして、減価償却を利用したい日本の富裕層はこの日米のギャップに注目するわけだ。

②減価償却の計算方法は日本の税制に従う

米国不動産だからといっても日本在住の場合、日本の税制に従う必要がある。減価償却の計算方法も同じで、建物価格だけを日本の税制に則って減価償却していくことになる。建物価格が大きく、減価償却期間が短いほうが理論上、節税効果が高いのだ。

しかし、日本の不動産では減価償却期間が短くなれば、建物が古いことを意味するので建物価格が激減してしまう。そこで、法定耐用年数を超えた木造物件でも建物の評価割合が高い米国不動産を購入し、節税効果を狙うというわけだ。

このように、建物評価割合が高く、減価償却できる期間が短いという米国不動産に富裕層の注目が集まるのだ。

③日米木造中古住宅の評価の仕方

日本では法定耐用年数22年を超えた木造建物は価値がほとんど無いとみなされるといっても、現実には築が古い物件が売買されている。

この場合、法定耐用年数を超えた物件の建物価格はほとんど評価されず、土地評価額で売買されているのだ。一方、米国は築が古い木造住宅でも日本に比べて建物の評価が高いため、日本より大きな額の減価償却ができる。

日本在住で米国不動産を購入したケースも法定耐用年数22年を超えた木造建物は日本の不動産と同じように4年で減価償却できる。

例えば、米国で築22年以上の木造住宅を1億円(建物評価額)で購入すれば、4年間で毎年2000万円(1億円×建物評価額の80%÷4年)の減価償却ができる。これが日本であれば築22年以上の木造住宅で1億円の建物評価額は存在しない(ほとんど)ため国内の不動産ではこの方法は通用しないのだ。

同じ減価償却期間でも建物の評価の考え方の違いで大きく変わってくる。ここに日米評価の歪みが生まれ、富裕層が米国不動産に注目している理由が見えてくるのだ。

④米国は中古不動産市場が整備されているため出口戦略も

富裕層は、投資の出口(売却)も見逃さない。不動産は株式等に比べて流動性が低く、原則相対取引のためこの不動産市場が整備されているということが計画通りに投資の出口を確保する上で大きなポイントになる。

そこで富裕層は、米国の中古不動産市場が整備されているという点に注目する。

先に説明したとおり、米国では中古の物件でも建物の価値が評価される。一方、日本では減価償却後の建物価値が評価されず出口で損をしてしまう場合がある。米国では古くなっても建物の価値がある理由のひとつに、建物の築年数より、学区やセキュリティ等を重視する傾向があり、その需要と供給のバランスから、人気エリアでは購入時期を間違わなければ価格が下がり辛く、上がる場合もある。

そして、売却に関しては、物件を購入し4年で売却すると短期譲渡所得になるので、税率が有利な長期譲渡所得扱いになる5年以上保有してから売却することが多い。

また、米国での売買でエスクローという第三者が取引の安全性を担保するシステムを採用している州ならライセンスを持つエスクロー会社が物件のコンディション評価や売買の資金管理等を行うので、不動産取引の公平性を確保できる。日本人だからといって不利になることはないのだ。

もう一点、出口戦略での重要なポイントの一つに通貨の信用と換金性がある。日本円はどこの国でもすぐに換金してくれるので、日本人はその恩恵を忘れてしまいがちだが、どの通貨で利益を確保するかで、この状況が変わってくる。

USドルやユーロならそのまま日本円にストレートに換金できるが、他の国の通貨ではストレートに日本円に換金できない場合のほうが多いのだ。海外旅行から帰国して現地通貨を日本円に換金しようとして断られたことはないだろうか。金額が大きくなればこのことの重要性を理解できるだろう。

いくら美しい国の物件でも最終的に日本円に換金出来なければ投資にならない。また、現地通貨の価値が短期間で大幅に減少してしまっては意味が無い。USドルならせっかく得た利益を日本円に換金できないといった心配はないのでレートを見ながらいつでも換金することができる。

以上、税対策だけでなく出口戦略まで考えた4つの理由から富裕層は米国不動産に注目しているのだ。

*本コラムは税改正やその他の理由等により、内容について保証するものではございませんのであらかじめご了承ください。取引等の最終判断に関しては、税理士または税務署に確認して、ご自身の判断でお願いいたします。

黒木陽斗(くろきはると)
投資家。米国大学卒後、一部上場大手企業を経て、シリコンバレーのベンチャー企業へ転職。ヘッドハントで6社以上の会社を渡り歩き、起業家など多くのビジネスエリートたちと接する中で、共通する考え方や習慣に気付く。それを不動産投資に応用して成功させる。現在は、一棟マンション、区分不動産、駐車場を複数所有するに至る。著書に『金持ちリタイア・貧乏リタイア~社長より稼ぐサラリーマン大家の不動産投資術~(ぱる出版)』、『シリコンバレーのビジネスエリートたちが実践する 使っても減らない5つのお金のルール(扶桑社)』がある。

最終更新:6月20日(月)11時12分

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