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『Rabbian -Rescue Operation-』ウサギっぽいアイツをテキパキ導く タッチ・アクションパズル!【とっておきインディーVol.81】

ファミ通.com 6月13日(月)12時2分配信

文:ライター 戸塚伎一

●1ステージごとのクリアーの充実感が強かった時代のゲームの感覚に満ちている
 宇宙からやってきたかわいらしい生命体“ラビアン”が、オジャマモンスターにさらわれた
少女・ニモちゃんを救うため、5つの世界を大冒険! 『Rabbian -Rescue Operation-』は、ラビアンを間接的に操作してゴールまで導く、ステージクリアー型のアクションパズルゲームです。始めにフィールドを見回して解法を練ってから、正確なタッチアクションの積み重ねで突破というゲーム性は、いかにもスマホ向けカジュアルゲームのようでいて、1ステージごとのクリアーの充実感が強かった時代のゲームの感覚に満ちています。さぞかしオールドスタイルのゲームに思い入れのある人が作ったのだろう……と思いきや、予想外の開発エピソードがありました! 以下、インタビューに続く!!

▼かわいらしいドット絵にも注目!

 多すぎず少なすぎずの色数で表現されたドット絵グラフィックは、独特のほのぼの世界のムードをかもし出している。プレイ中の視認性もバッチリだ。

【ラビアンは30 年前に発売されたMSX用ゲームに登場していた!!】

 ラビアンのキャラクターが最初に登場したのは、1984年リリースのMSX規格パソコン用ゲーム『Rabbian』(ソフトプロ)。対応メディアはカセットテープだった。1986年には、追加要素が充実したグレードアップ版『天才! ラビアン大奮戦』(東芝EMI)がROMカートリッジソフトとして発売。派手さはないもののアクションゲームとしての堅実な作り込みから、当時の多くのMSXゲ
ーマーの記憶に刻まれた。

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☆『天才! ラビアン大奮闘』のリメイク作『Working of Rabbian』も好評配信中!

 オリジナル版のゲーム性、グラフィック、サウンドを忠実に再現しつつ、スマホの縦画面でのプレイ用に最適化されている『Working of Rabbian』。ステージ開始時のデモにほのぼの系の新規アニメーションが追加されている。

※フリー版と有料版(120円[税込])あり。

※iOS版はこちら


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■時代を超えて、親子で作り上げたゲーム
──『Rabbian -Rescue Operation-』開発者・なかじま氏INTERVIEW
 本作をリリースしたファンテックは、システムの開発・構築を主軸とする、大阪のIT企業。当のゲーム開発担当者はというと……1980年代に活躍したゲームクリエイターを父に持つ、うら若き女性プログラマーだった!!

――なかじまさんがゲームを開発することになった経緯を教えてください。

なかじま ゲームを作り始めたのは2年前です。私はあまりゲームはしないんですけど、ゲーム実況動画を観るのが好きで、「いつか自分の作ったゲームが実況プレイしてもらえたらうれしいな」と思って、父(※ファンテックの取締役会長・仲島正浩氏)の会社に入って、プログラミングを勉強する時間をもらって、独学で覚えました。

――ゲーム実況に憧れてからの方向性がおもしろいですね(笑)。しかも、ゲーム開発を始めたのは、お父さんの影響ではないという。

なかじま 若いころにゲームを作っていた、という話は昔聞いていたのですが、当時はその道に進むつもりはありませんでした(笑)。いざ私がゲームを作ることになって最初に何を作ろうかとなったときに、(正浩氏が作った)『天才! ラビアン大奮戦』をiOSに移植したら? と提案してくれました。

――そして完成したのが『Working of Rabbian』ですが、開発体制は?

なかじま イラストは漫画家・イラストレーターのRIKIさんにお願いしましたが、それ以外はひとりで作っています。サウンドも、オリジナル版を自分で耳コピしました。細かい部分はディレクターの父と意見を合わせながら、詰めていきました。

――ある意味“親子で作り上げたゲーム”ですね! 続く第2弾『Rabbian -Rescue Operation-』は、ゲーム性は異なるものの、ラビアンが登場します。

なかじま 開発部で次回作のアイデアを出しあったのですが、ラビアンがかわいいので、世界観がつながっている続編を作りたいと提案しました。ゲーム内容は、お気づきの方もいるかもしれませんが、『マリオとワリオ』(※1993年に任天堂が発売したスーパーファミコン用ゲーム)に影響を受けています。

――開発の経緯について詳しく教えてください。

なかじま 期間は、『Working of Rabbian』の開発が終わった2015年の夏ごろからはじめて4ヵ月くらいです。その間、コードをもっと見やすくしたいなと思っていちから作り直したり、ステージ5の背景デザインを決めるのに数日悩んだりして、少し寄り道しています。製品版では消しちゃいましたが、ステージをエディットできる“すぺしゃるも~ど”も作りました(笑)。この作品もひとりでプログラミングしたのですが、私はObjective-C(※Mac OS X、iOSのアプリケーション開発用のプログラミング言語)しかできなかったので、Android版は、社内の優秀なAndroid使いの方に、iOS版を移植してもらっています。あと、音楽は外部の方にお願いしました。

――こだわりのポイントは?

なかじま できるだけ日本語を使わない、ということです。タイトルデモを見ていれば、ある程度ゲームのルールや流れをわかるようにしていたのですが、リリース前に幕張メッセであったデジゲー博(※2016年1月30日、同31日に千葉・幕張メッセにて開催された“闘会議2016”内で開催された“デジゲー博SPECIAL in 闘会議2016”)に初めてイベント出展したとき、いろいろな方がどのようにプレイされるかを目の前で見て、「タイトル画面なんか誰もじっと見ないんだな」ということに気づき、チュートリアルの必要性を感じました。イベント後には、ステージ1-1~1-6にルール説明を追加しました。『Working of Rabbian』のほうにも、日本語ですが、チュートリアルを追加しました。

――グラフィックは前作のイメージを継承したものですね。ドット絵への思い入れやこだわりがあるのでしょうか。

なかじま 続編なので、いきなりハイエンドにしたくないな、と。あと、私がイラストを描けないというのもあります。……本当は、ほぼそっちの理由なんですけど(笑)。私はまだ色の使い方などを勉強中ですが、上手な方の作品を見ているとドット絵の奥深さを感じます。もっと腕を上げたいですね!

――ちなみに『Working of Rabbian』では、MSX規格パソコンの表示色(透明を含む16色)を再現していますが、MSXが現役だった時代のゲームやその開発環境について、どのような印象をもっていますか?

なかじま 使える色が少なかったというのは親から聞いていて、「考えられない!」という感じです(笑)。当時の実際の苦労はわからないですけど、いろいろ限られた条件でゲームを作っていたのはすごく大変だったんだなぁと思います。

――次回作の構想、予定は?

なかじま ファンテックのゲームアプリ第3弾として、現在、対戦パズルゲームを制作中です。今度はラビアンは登場しません。開発環境にCocos2d-x(※マルチプラットフォーム対応のゲーム開発用フレームワーク)を使っているので、iOS版だけでなく、Android版も自分で作るつもりです。それと並行して、私個人もインディーゲーム開発者として新しいゲームを作っていきます。各ゲームイベントへの出展も予定しているので、見かけたらぜひプレイしていただけたらと思います。あとLINE STOREにて、ラビアンのLINEスタンプもファンテックからリリースしています。イラストは、がんばって私が描きました。かわいいです!(笑) ぜひそっちも使ってみてください。

■特別INTERVIEW・『天才! ラビアン大奮戦』開発者・仲島正浩氏
──とにかくヒットするゲームを作成してほしい、と依頼され……
 かつて父が作った市販ゲームソフトのリメイク作・続編を娘が作る──ゲーム業界においてなかなか耳にすることがない事例に興奮した記者(元MSXユーザー)は、なかじま氏の父親であり、『Working of Rabbian』の原作『天才! ラビアン大奮戦』の開発者でもあるファンテック会長・仲島正浩氏に、ゲームクリエイター当時の思い出話を含めたお話を伺ってみました。当時のゲームファン、親子二代にわたってゲーム好きなご家族は、必見です。

――ファンテックさんが、昨年からスマートフォン用ゲームアプリのリリースをはじめた経緯を教えてください。

仲島 ゲーム好きの娘が当社に入社したときから、ゲームを作ろうという構想がありました(笑)。入社後、初めのうちは好きなものを開発していましたが、本格的なゲームを作成したいという本人の希望から、いろいろアイデアを出しました。最終的に、オリジナルよりも移植のほうが第一弾としてはいいだろうとなり、私が昔作ったラビアンのゲームを移植することになりました。

――ラビアンが登場するMSXゲームには、ソフトプロ発売のカセットテープ版『Rabbian』(1984年)と、東芝EMI発売のROMカートリッジ版『天才! ラビアン大奮戦』(1986年)があります。まずは、この2作品の関係を教えていただけないでしょうか?

仲島 両作品とも、私がソフトプロ在籍時に開発したゲームです。『天才! ラビアン大奮戦』は、東芝EMIさんからのMSX用ゲームの開発依頼がきっかけで作成した、リメイク作です。

――そうだったんですね。すっきりしました!(笑) では、ラビアンのゲームを作ること自体は、何の問題もなく……。

仲島 リリースの際には、上新電機(※大阪府大阪市に本社を置く家電量販店。ソフトプロは上新電機が設立したゲームソフト開発会社)からラビアンの著作権を譲渡してもらう必要がありました。幸い、現在の社長は、私が上新電機在籍時から現在に至るまで、非常に好意的にお付き合いさせていただいているので、すんなりオーケーをいただきました。

仲島 東芝EMIさんからの依頼は「とにかくヒットするゲームを作成してほしい」とのことでした。どんなゲームを作成しようかと考えたのですが、開発期間が1ヵ月しかなかったことから、以前作成した『Rabbian』をリメイクすることにしました。『Rabbian』では時間の都合で作り込めなかった要素をすべて盛り込みたい、という思いもありました。

──なんというか……当時らしい、豪快なエピソードですね。

仲島 作成は順調で、当時22歳だった私が思いつく限りのアイデアをこのゲームに入れ込むことができたと思います。開発期間も1ヵ月でなんとか開発を完了させることもでき、とても満足できる作品に仕上がりました。ただひとつ残念だったのは、ゲームタイトル。これは東芝EMIさん側でつけたもので、自分としてはまったく納得いかなかったのですが、クライアントには逆らえず、泣く泣く従った……という思い出があります(笑)。

――そういったことも含めて(笑)、1980年代当時のゲーム開発は、仲島さんにとってどのような思い出として残っているのでしょうか?

仲島 メモリ、CPU速度、音源……など、とにかく少ない資源でどれだけのものが作れるか? というのがプログラマーとしての腕の見せどころだったので、開発はとても楽しかったですね。

――お話を現在に戻します。オリジナル版開発者として、『Working of Rabbian』の感想をお聞かせください。

仲島 非常によくできていると思います。オリジナル版も“難しい”と当時のプレイヤーから言われましたが、今作も相当難しいですね。私は最後までクリアーできません(笑)。開発時にしたアドバイスといえば、ラビアンの操作方法くらいですかね。あとは本人(なかじま氏)がすべて自分で考えて作成しました。おそらく、オリジナル版を相当プレイしたと思います。

――『Rabbian -Rescue Operation-』については、いかがでしょうか?

仲島 キャラクターはラビアンを使用していますが、それ以外はオリジナルです。完成版をプレイしたときは、娘のプログラマーとしての成長をすごくうれしく、また誇らしく感じました。

――娘さんがゲーム開発をされていることに関して、実際のところ、どのように思われているのでしょうか?

仲島 娘がしたい仕事を本人の意思でしているので、私は見守っているだけです。ただ、いまの娘の年齢と同じくらいのときの自分がしていた、ゲームプログラマーという仕事を娘ががんばっているというのは、やっぱりうれしいものですね。

――ありがとうございました!

【仲島正浩氏が開発したおもなゲームソフト】

『SPACE TRIP』
対応機種:PC-8001
メーカー:I/O※1

『COSMO TRAVELER』
対応機種:PC-8001、MZ-80B、X1、PASOPIA
メーカー:APPOLO TECNICA※2

『ロードランナー』※3
対応機種:X1
メーカー:ソフトプロ

『カラテカ』 ※3
対応機種:ファミコン
メーカー:ソフトプロ

『Rabbian』
対応機種:MSX
メーカー:ソフトプロ

『天才! ラビアン大奮戦』
対応機種:MSX
メーカー:東芝EMI

『冒険浪漫』※3
対応機種:MSX
メーカー:システムソフト
など

※1 パソコン雑誌。誌面に掲載したゲームプログラムを収録したカセットテープ版を販売していた
※2 ソフトプロの前身となる、上新電機設立のゲームソフト開発会社
※3 移植開発

Rabbian -Rescue Operation-
メーカー:ファンティック
対応機種:iPhone/iPod touch / Android
発売日:配信中
価格:120円[税込]
ジャンル:アクションパズル

最終更新:6月13日(月)12時2分

ファミ通.com