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ネアンデルタール人は笛を自作?「人類最古の楽器は笛」説の真実

M-ON!Press(エムオンプレス) 6月13日(月)18時6分配信

「人類最古の楽器は何か?」と聞かれて、どんなものを思い浮かべるだろうか。演奏や製作が簡単なことから、“打楽器”を想像する人が多いかもしれない。

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しかし意外なことに、多くの出土品から“笛”である可能性が高いとされている。

数ある説のなかでも、最も古い時代のものは、「ネアンデルタール人が自ら笛を製作して演奏していた」という説だ。

1995年にスロベニアのディウイェ・バーベー洞窟からの出土品が、6万年前の「ネアンデルタール人の笛」であるという説は、世界的に知られている。

■最古のフルートを、再現してみた!

「ネアンデルタール人の笛」を発見した考古学者・Ivan Turkは、非常にユニークな人物。

「ネアンデルタール人の笛」の発見後は、“有史以前のサウンド”を追求するべく、自らがサイエンスアドバイザーとなり、30個以上のレプリカを試作。2オクターブ半の音域の出る忠実なレプリカを完成させた。

さらにレプリカの製作のみでは飽き足らず、演奏をしている動画を作成。その動画では、熟練のトランペッター・Ljuben Dimkaroskiが白い布をまとい、ネアンデルタール人に思いをはせながら、洞窟の中で演奏している。

なぜかベートヴェンの「交響曲第9番」が演奏されるという微笑ましい一幕もありつつ、全体として考古学ロマンに溢れた動画に仕上がっている。

ちなみに本物の笛が出土したディウイェ・バーベー洞窟は撮影が許可おりず、撮影には別の洞窟が使用されている。

■しかし、実は人類が作ったものではなかった?

考古学者・Ivan Turkが情熱を注いだ「ネアンデルタール人の笛」。しかし、残念ながら「人工物ではない」という説が2015年に浮上した。

古生物学者・Cajus G.Diedrich氏は、科学誌「Royal Society Open Science」が発表した論文のなかで、「ネアンデルタール人の笛」と呼ばれる出土品は、「氷河期に生きていたハイエナの歯の跡が残った、幼いホラアナグマの骨である」と結論づけ、これに多くの古人類学者が賛同した。
最古の楽器は、笛ではなかったのか……そんなふうに落胆するのはまだ早い。現在もドイツの南西の遺跡で発見された4万年前の笛こそが、最古の楽器だという説が検証されている。

はたしてこれは本当に人類が作ったものなのか。考古学者たちからの続報を待ちたい。

PHOTO:(C) alexmina - Fotolia.com

最終更新:6月13日(月)18時6分

M-ON!Press(エムオンプレス)