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給付型の奨学金、「本当に厳しい」人だけ、あとは無利子で対応?

ベネッセ 教育情報サイト 6/13(月) 16:00配信

政府は、経済成長の要となる「ニッポン一億総活躍プラン」を閣議決定しました。しかし、懸案となっていた「給付型奨学金」の創設については、導入されたとしても、対象は極めて限定的となりそうです。

「本当に厳しい」人だけ、あとは無利子で対応

給付型奨学金について、同プランでは「世代内の公平性や財源などの課題を踏まえ検討を進め、本当に厳しい状況にある子供たちへの給付型支援の拡充を図る」としています。「世代内の公平性」というのは、大学に進学せずに働いて税金を納めている同世代の人もいるのに、進学する人だけに税金を投入して、奨学金を渡し切るのは不公平ではないか、という意見に配慮したものです。財源をどこから捻出するかも大きな課題で、そのため、まずは「本当に厳しい」学生に限定しようという姿勢を表明したものとみられます。

一方、返還が必要な従来型の奨学金については、「安定財源を確保」したうえで、必要とするすべての子どもが無利子奨学金を受給できるようにし、有利子奨学金では、現在の低金利の恩恵がしっかりと行き渡り、ほぼ無利子となるような仕組みを検討する、としています。「本当に厳しくはない」多くの学生向けには、現在の方針である「有利子から無利子へ」の流れを加速させたい考えのようです。

「教育費負担の軽減は社会にも恩恵

給付型奨学金の導入に関しては、確かに「大学に行く人だけに恩恵がある」という考え方もできるでしょう。短期的に見れば、「単なる財政支出」(麻生太郎財務相)に他なりません。ただ、見方を変えれば、将来的には国による個人への「教育投資」 と見ることもできます。

国立教育政策研究所の試算によると、学生1人に250万円余りを投資しても、卒業後に高卒の人より多くの税金を払ってくれたり、失業のリスクが下がったりするなどして、公財政にとって600万円余りの便益があるといいます。つまり、教育投資には2.4倍の効果があるのです。教育投資は必ずしも給付型奨学金に限りませんが、授業料を下げることなども含めた政策を打つことで、それまで進学を諦めてきたような層が大卒人材になれば、学生個人だけでなく、社会にとっても、大きな投資の見返りがある、というわけです。

同プランでは、
1. 戦後最大の名目GDP(国内総生産)600兆円
2. 希望出生率1.8
3. 介護離職ゼロ
がアベノミクスの「新3本の矢」であることを強調しています。

このうち1については、モノとつながるインターネット(IoT)や人工知能(AI)などによる「第4次産業革命」を掲げていますが、そうした産業を担うにも、大卒人材は欠かせません。また、希望する子どもの数についても、待機児童など直近の問題だけでなく、大学進学も含めて高騰する教育費に対する不安がネックになって、なかなか出生率が上がらないという指摘もあります。

1,000兆円もの借金を抱え、国の財政規律を維持することも重要ですが、将来的な展望に立って、個人にも社会にも恩恵があるような政策の立案が求められます。

※ニッポン一億総活躍プラン
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ichiokusoukatsuyaku/pdf/plan1.pdf

ベネッセ 教育情報サイト

最終更新:6/13(月) 16:07

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