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改正民法で再婚禁止期間短縮、離婚時に妊娠している女性の再婚禁止期間の意味は?

ZUU online 6月14日(火)11時10分配信

再婚禁止期間短縮に関する改正民法が6月1日に成立し、7日に公布・施行された。

改正点は(1)女性の再婚禁止期間について離婚の日から6カ月であったものを100日へ短縮した点と、(2)女性が離婚の時に懐胎(妊娠)していなかった場合には再婚禁止期間の規定を適用しないこととした点である。

これまでの民法では、男性は離婚の翌日には再婚可能であったのに、女性は離婚後6カ月待たないと再婚ができなかった。しかし現時点では、女性も妊娠していなければ、離婚の翌日には再婚が可能となった。離婚後なるべく早く再婚したい方には朗報だ。

■改正内容は最高裁判決からさらに一歩踏み込んだもの

今回の民法改正は、昨年12月16日の最高裁判決を受けたものだ。ただ最高裁判決からさらに一歩踏み込んだ内容である。

最高裁判決は、100日を超える部分について憲法の平等原則や婚姻の自由を定める規定に違反すると述べたものであった。このため憲法違反の点を解消するという意味では、(1)再婚禁止期間を離婚の日から6カ月であったものを100日へ短縮すれば十分であった。

しかし櫻井龍子裁判官ら6人の裁判官による共同補足意見において、再婚禁止による支障をできる限り少なくすべきとの観点から、100日の期間内であっても女性が再婚をすることが禁止されない場合を認める余地があるとの見解が示された。

これを受け、今回の民法改正ではさらに一歩踏み込んで、(2)離婚の時に懐胎(妊娠)していなかった場合には再婚禁止期間の規定を適用しないこととしたのである。

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■再婚女性の婚姻届の受理件数が飛躍的に増加するか?

法曹関係者の間では、女性の再婚禁止期間を6ヶ月から100日に短縮したところでわずか80日程度の短縮でしかなく、社会的インパクトはそれほどないだろうとの見方が多かった。
しかし、離婚後100日超6カ月以内の女性の婚姻届の受理が、昨年12月16日の最高裁判決後のわずか1カ月半だけで計202件に上り、年間で1600件程度にも達するペースだという。

これが今回の民法改正では、さらに一歩踏み込んで、離婚時点で懐胎(妊娠)していない女性であれば、離婚後100日以内であっても婚姻届が受理されることとなった。これは社会的インパクトが相当なものとなろう。再婚女性の婚姻届の受理件数が飛躍的に増加することが予想される。

事実婚も法律婚と同等の取り扱いを受けることができる場面が多くなってきているとはいえ、事実婚では配偶者控除や扶養控除などの税金の控除は使えないし、パートナーが亡くなったときに自動的に相続人にもなることもできない。しかし、法律婚を行うことにより、このようなデメリットを回避することが可能となる。少しでも早期に法律婚をしたいという国民的ニーズは相当あるということだろう。

■懐胎(妊娠)していないとの医師の診断書の添付が必要

なお注意すべきこととして、離婚後100日以内の女性が婚姻届を提出する際には、「民法第733条第2項に該当する旨の証明書」を添付することが必要である。

この証明書がどのようなものかについては、法務省が通達を出しており、再婚をしようとしている本人である女性を特定する事項のほか、本人が離婚日であると申し出た日以後の一定の時期において懐胎(妊娠)していないこと(または同日より後に懐胎していること、または、同日以後に出産したこと)について診断を行った医師が記載した書面をいう。

このため医師の診察を受ける際、離婚日を申告する必要がある。医師に対し離婚日を誤って申告した場合や虚偽の申告をした場合には、証明書の離婚日と戸籍上の離婚日が異なることとなり、離婚後100日以内の再婚が受理されないおそれがある。

なお離婚日とは、協議離婚の場合は協議離婚の届出日(受理日)のことであり、戸籍に『離婚日』として記載されている。 裁判離婚の場合は、離婚の裁判の確定日のことであり、戸籍に『離婚の裁判確定日』として記載されている。調停離婚の場合は離婚調停の成立日のことであり、戸籍に『調停成立日』として記載されている。

■離婚時に懐胎(妊娠)している女性の再婚禁止期間の意味が問われる

再婚禁止期間を設けることは、離婚時点で懐胎(妊娠)している女性について、胎児の父親が誰かを特定するために意味があった。

しかしそれはかつての話であり、医療や科学技術が発達しDNA鑑定による父親の特定が可能となった今日では、その意味が問われることとなろう。例えば、日弁連会長は再婚禁止期間自体を撤廃すべきとの声明を公表している。

今回の民法改正にあたっては衆議院の審議で法案が修正されており、次の条項が附則第2条として追加された。

「政府は、この法律の施行後3年を目途として、この法律による改正後の規定の施行の状況等を勘案し、再婚禁止に係る制度の在り方について検討を加えるものとする。」

いわゆる見直し条項である。国民的ニーズや議論などを見ながら、そもそも民法第733条の再婚禁止規定が必要なものかどうかをさらに検討することとなろう。(星川鳥之介、弁護士資格、CFP(R)資格を保有)

最終更新:6月14日(火)11時10分

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