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【インタビュー】コブクロ「音楽は最後、口元に残る」

BARKS 6月16日(木)22時7分配信

コブクロが歩んだ2年6ヶ月の音楽の道程は、『TIMELESS WORLD』という名を受けて9枚目のアルバムとなった。この間に彼らが歩んだ音楽の旅路は、タイアップという第三者の想いを汲み取り新たな解釈を提示する創造の一端だったり、偉大なる先輩との交流を具現化するものだったり…と、音楽に人生を重ねる二人の男の生き様が刻み込まれた作品として形作られた。

コブクロ 画像

それにしてもコブクロの作品は、甘さと切なさと強さというスパイスが聴く者の心に激しく揺さぶりをかけてくる。人の心を動かす力は、ひとえに作り手の熱量から生まれ引き出されるものだ。すべての作品にケタ違いのエネルギーが封じ込まれている『TIMELESS WORLD』という作品は、2016年に生きる多くの日本人に多大な影響を与えることになるだろう。

はちきれんばかりの熱量を生み出すふたり…コブクロというユニットは、何を思い、何を求め、どこに向かっているのか。『TIMELESS WORLD』の誕生の裏には、コブクロ人生のブレることのない純血の美学が輝いていた。

   ◆   ◆   ◆

■ 小渕からのパスをずっと待って
■ ゴール前で上がってきたら死ぬ気でゴールしないといけない(黒田)

──『TIMELESS WORLD』は、2年6ヶ月の音楽人生の集大成となりましたね。

小渕健太郎:そうですね。その時々に作ってきた楽曲ですけど、自分の「歌いたいな」という衝動みたいなものに特化した感覚があります。「こんなのも作れるんだ!」とか「ちょっと変わったのができた」みたいなものに着目していた時代もありますけど、今はそういうことではなく「いかに自分が大声で歌いたくなるか」ということ。歌うのが好きな自分をもっともっと前に出したいっていうのかな。そうしていくと、メロディの中にちょっとでもつまらない瞬間があったらそれをなくしていく作業を突き詰めるので、全曲そうやって作っていった曲が集まってアルバムになった、みたいな。だから自分たちでも、歌っちゃうような曲が多くて、ぼーっと聴いているっていうよりも、ふと一緒に歌いたくなるような作品になりました。

──素晴らしくピュアな精神状態で活動できていたようですね。

小渕:歌に対する初期衝動に還える…そういう意味合いは凄く強いですね。「自分が歌って気持ちいい」ことに特化しています。

──歌うことへの原点回帰?

小渕:引き算がやっとできるようになってきたのかもしれません。ここはもっとシンプルにしようとか、コードをもっと減らそうとか。例えば「STAGE」という曲なんかは、コードは4つしか使ってなくて。

──ほお。

小渕:今まで一番少ないので6つだったんですよ、コブクロでは6つも結構少ない方なんですけど。

──6つでも充分少ないと思います。

小渕:その曲を作る前の日に、ブライアン・セッツァーのライブを布袋(寅泰)さんと一緒に観にいったんですけど、3コード──AとDとEで、これだけの楽曲ができるんだっていうのにちょっと感動しちゃって。ギターのテクニックもそうですけど歌も素晴らしいし、3つのコードで表現できるそのジャンル/国柄/世界観ってうらやましいよね…みたいな話を、布袋さんと語り合ったんです。そんな時、自分の歌を振り返ると少なくとも20個は使っていると思って。GだけでもGsus4があってG7があって、これで3つだなって思うんですよね(笑)。

──トライアドに落ち着く前に、どうしてもsus4挟んじゃうとか。

小渕:あはは(笑)。そうなんですよ。この「STAGE」は、「G/Em/C/Dという4つの柱の上に“ステージ”が乗ってて、僕らはファンやスタッフ、家族に支えられている」っていう、そのメッセージのみを歌に込めたんです。そういう引き算って今までやったことなくて。

──おふたりは『TIMELESS WORLD』を“様々な出逢いから生まれた言葉にメロディーを付け、二人の今を歌声の足跡で記した様なアルバム”とコメントしていますよね。曲を作るのではなく、「あくまで詞がありそこにメロディがつけられる」というところに、コブクロにとっての言葉の重要性が表れていると思いました。

小渕:確かに、このアルバムはほとんど詞先ですね。先に詞からできています。

黒田俊介:この一年、作品の書き下ろしのスピードは凄かったですよ。横で見てて思うのは、なんて言うんですかね…心が“凪いでいる”んですよ。凪状態なんですけど、そこにタイアップという詞のテーマをもらうと、ぶわーっとそこにはまる曲が生まれてくる。多分ね、きっかけが欲しいだけなんですよ。作るとなった瞬間にぶわーってできますから。

──表現者として理想的な精神状態ですね。

小渕:そうかもしれないですよね。あんまり自分で特定の考え方を持たない状況ですね。


黒田:どんなテーマをもらおうが開けるタンスは一緒なんですよ。いろんな引き出しがあるんですけど、コブクロという器から引き出しているだけだから。でも、そのいろんな角度から引き出すのがどんどん上手くなっている感じがする。「このテーマでは書きにくいやろなあ」というオーダーでもね、ちょっと思いを巡らしただけで、「できる」って(笑)。

──凄い。

黒田:ちょっと神がかってるところ、ありましたよね。

──産みの苦しみとか、降りてくるのを待つとか、そういうのとは無縁ですか?

小渕:このアルバムではほとんどないですね。もちろん過去にはありますよ。

黒田:死ぬほど出来なかったとかもあるもんな。

小渕:もう、ぎりぎりできなくてっていうときもありましたからね。

──そういう話のほうがほっこりする(笑)。

小渕:あはは(笑)、僕ね、経験したんですよ。「好きなことやってるのに苦しむなんて、なんて馬鹿げているんだ」って思ってからは、先に準備しておこうって。

黒田:今、タイアップ40個くらい獲ってきたら、2~3ヶ月で作ると思いますよ。ほんとにすごいですからね。

──秋には次のアルバムが出るな(笑)。このコンディションの良さを自己分析すると、勝因は何だと思いますか?

小渕:「任せてくれている」し「任せている」ところがとっても大きいですね。僕らはコブクロを半分ずつやっているんですけど、僕は楽曲を書いた時点で、実はその楽曲に対して50%役割が終わるんです。

──50%?

小渕:100点の50点までを獲る。いい曲であればあるほど49…49.5…と50点に近づくんですね。で、残りの50点でライブをやっているんです。その歌を歌うという行為が50点に近ければ「今日のライブは100点だったな」っていうことになる。曲作りは僕の役割で、50点と50点を積み重ねて100点にすればいいんですけど、黒田はステージに立ったときにゼロから100点を目指しているんです。

──なるほど。

小渕:その日のライブがどうなるかは自分の歌にかかっているというプレッシャーを黒田はずーっとツアーで背負っていると思えば思うほど、僕は本当にいい曲を書かないといけない。だから僕の曲に対して黒田が「これはいい」って言ってくれたときが最大評価なんです。だって、それを持ってゼロからステージに立つ人の気持ちを思ったら生半可じゃいられないっていう緊張感が常にある。自分がいいと思うかはどっちでもいい。楽曲ができたとき、気になることがあったら黒田が一言二言言ってくれることで、40点を50点にもしてくれるから、そこにまた安心感がある。そのお互いのベクトルが非常に整っているんだと思います。歩調が合っているので、小さい歩幅と大きい歩幅で最小公倍数のように必ず合ってくるのが気持ちがいいですよね。

黒田:20年近くやってきて、お互い100点出しにいかないとコンビとして成立しないっていうのはわかっているんです。曲を書き出したら僕はただ待ってるだけですけど、サッカーで言えばミッドフィルダーで、僕はこいつからパスが出てくるのをずっと待って、いつでもゴール前で上がってきたら死ぬ気で絶対ゴール入れないといけない。パス出す人と決める人が逆になるときもあるけど、そのさじ加減がすごいわかってきた。

──やっぱりチームワークか。

黒田:お互いの出番…その緩急がお互いできてきたんだと思う。通常は凪になってきたって感じなんですよね。

小渕:ここ1年でよりいい方向に変わっていますよ。僕が曲に50点の完成度を求めた後、それをどのように見せていくかを今は完全に黒田に任せているんです。ジャケットとかPVとか、この曲をどうしていこうかふたりで一生懸命考えていたんですけど、そこから僕は完全に手を引いたんです。というか「生んだので、お願いします」って黒田に預けるんですよ。作った側なりに作品に対するこだわりはあるんですけど、そんなもんは詞とメロディに入れたわけだから、これ以上求めるものはないと割り切ったんですね。

──割り切れるようになった、ということかもしれませんね。

小渕:そうかもしれないです。割り切れるようになったんだと思います。僕が言うことよりも黒田が言うことで面白い方向に行くことがここ何年もいっぱいあったから、それに確信も感じているし。

黒田:こ…こんなプレッシャー、ないですよ。

小渕:あはは(笑)。

黒田:「ジャケットもPVも頼むな」って言われて、もう俺、気分的には代理店ですよ。スタッフみんなとアイディア出して考えて、「この感じで小渕にぶつけてみるかー」って。で、OKもらって安堵する。

小渕:僕ができた曲を初めて黒田に出すときと同じことをやっているんですよね。楽曲を作ることと、それをどうしていこうかというプレッシャーでお互いに50点ずつ獲れていると、今度はライブがいい意味でリラックスできるようにもなる。ふたりとも達成感を得ているというかね、そういうところが『TIMELESS WORLD』に活きてきたと思っています。

■“POPである”という結果を出すために
■ 日々ミュージシャンは四苦八苦していると思います(黒田)

──ケンカもあるだろうし意見がぶつかることもあるだろうけど、ここまでの信頼関係を作り得たポイントって何だったと思いますか?

小渕:うーん…あるとしたら、かつて僕らにはふたりだけの時間があったんですね。スタッフもいない、もちろんマネージャーもいない。誰もいない。お客さんは一人二人いてくれるんですけど、それを客観視してくれる人が誰もいなかった期間が僕たちにはあったんです。それがすべてのような気もします。

──コブクロを始めた時の話ですね。

小渕:お客さんしかいなかった。その時って誰の答もないので、二人だけで毎晩話し合ってたんです。今日のストリートライブどうやったかなと。「あの時間、柱のこっち行ったとき、日なただっただろ。あれお客さん暑かったんだ、だから集まらなかった。明日は2メートルこっちの柱の陰でやろう」とか「あのとき40分歌ったけど、30分で切りあげて別の場所行けば良かったな」とか。今だったらマネージャーさんが見ててくれるところですけど、そういう人がいないと二人で考えてね。

黒田:話が長いの。

小渕:話し合いに2時間くらいかかるんですよ(笑)。30分のライブに対して2時間くらい話をする。


黒田:昼の1~2時から夜の8~9時までストリート演るでしょ? ご飯食べて夜10時くらいから夜中の3~4時までこの話をするんですよ。「それなら、こうしてああして、明日こうしよっかー?」「それでな、もう一個なんだけど…」って。

小渕:あははは(笑)

黒田:僕はただの学生だったけど、彼は社会人でバリバリの営業マンだったんで、物事の詰めて行き方をもう知っていたんですよ。こうやったら結果が出るということを知っていたから、本当に細部にわたる細かいことまで詰めていた。

──そこで基礎体力が育まれたんですね。

黒田:だから今でも「結果が出ないのは、詰め方が甘かったからだ」としか思わないんですよね。結果が出ないのには絶対に理由があるって、僕らどっかで思っているんです。「ライブが良くなかった」「思ってたよりもCDが売れなかった」…そこには理由が絶対にあるって二人で常々話しますもんね。もっとこうしたら良かった、ああしたら良かったって。

──結果が出ないときって、他人のせいにしちゃいがちですが。

黒田:僕ら二人しかいてないから。誰のせいにもできない。

──自分の未熟さを認めたくない気持ちとか。

黒田:でもねぇ、そんなん人のせいにしててもしゃあなかったもんな。それで何かが変わるんだったらそうしたかもわかんないですけど、「結果は絶対に出さないといけない」っていう状況が何年もずーっとあったんで、どんな手法をとってもいいから逆に結果を出すという意識はすごくあった。そういう意味では、普通の人より意識は強かったと思います。

──そこまでやらなきゃいけない理由って、一体何なの?

黒田:結果を出したいから。結果を出すためにやってるから。

小渕:「誰かのせいにする」って話ありますけど、僕は黒田のせいにしたことがないんです。なんて説明したらいいかな…例えばライブで「あ、いかん、あの時MC長かったな」とか「あの話しなかったら良かったな」とか自分の反省はめちゃめちゃあるんですけど、ステージ上のことで黒田のせいとか、唯一思わない人なんですよね。そして思いたくない。だからお互いしっかりやってるんだと思うんです。

黒田:今日のライブが良かったら、それは俺のおかげ(笑)。

小渕:それ、俺も思ったことあります(笑)。

黒田:いやね、これほんと大事だと思うんですよ。「俺がやったからこうなった」って両方が思っているってすごい大事。責任感があるから、絶対にこうしようっていう意識があるからそう思えるんであって、「俺のおかげでできている」と思ってなかったらもうコンビとしては成立してないと思う。「俺がやった」って常に思ってるやろ?

小渕:常に1発ファインプレーを出したい。ライブの中で1発のファインプレーを出すために、何十個もプレーするんですよね。良かったねで終わりにしたくないし、黒田のファインプレーを見たら感動する。その関係性ってあると思う。

──この2人の出会いこそ、運命というか定めなんでしょうね。

小渕:かもしれないですね。でもステージ上での緊張感は半端じゃないですよ。ライブに緊張してるんじゃなくて、お互いの今日の100点に向けての気持ちで。

黒田:ただ、ベストの結果を出したいというだけなんで。それの積み重ね。

──本来、当たり前のことなんですけど、難しいことですね。

黒田:ほんとにそう思う。僕は「いつも今日が最後のライブだ」と思い続けているんですよね。これ、きれい事じゃないですよ。ほんとにそう思ってて、活動休止の前のときもやっぱりそう思ったし、それの積み重ねで今がある。それで結果出えへんかったらしゃーない。でもこれって、絶対に結果に出るんですよ。

──誰しも頑張ってはいるんだけど、いつしか空回りしたり、歯車が狂って頑張り方がわからなくなることもあるでしょう?

黒田:みんな頑張ってはいるんです。ただ、すげえ厳しいことを言うとね、「結果が出ないのは、頑張ってるうちに入らない」って僕は思います。小渕といつも話をするのは「やっぱりPOPでなきゃいけないな」ってこと。「POPってなに?」っていつも思うんですけど、きっとそれは「万人に好かれる」っていうことじゃないですか。例えば僕が「世界で一番歌がうまくなる」ことはひょっとしたら努力次第かもしれないですけど、「世界で一番好かれるボーカリストになる」っていうのは本当に難しいんですよね。どこのジャッジでそうなるかがわからないから。だから本当にその「POP」であろうという「POPだったね」って言われるような結果を出すために、日々ミュージシャンは四苦八苦してるんだと思います。

小渕:僕、売り上げに追われる日々を365日4年間続けていたサラリーマン時代があるんですけど、調子が悪いときに人間性が出ているって言われたんです。売り上げが下がると「小渕君のまた人間性が出てきたのお」って言われ、「俺、今どうしてる?」って思うんです。「やばい、売り上げが下がってきた」ってなると、いやな自分とか、いつもと違うことをしている自分が見抜かれているんですね。調子が良くて売り上げが上がると「うん、ま、ラッキーや。ラッキーやから、こんなこと何の参考にもすんな」って言われるんです。

──……。

小渕:褒めたり分析とかしてくれないんですよ。「おお、良かったのお。ラッキー受注やのお。じゃあ今日も頑張って!」って。調子悪くなると「また小渕くんの人間性が出てきたのお」って。くっそーと思って、小さな細かい売り上げをいっぱい作っていったんです。隣の営業マンはでかいものを少数売っていて僕と売り上げは同じだったんだけど、1年中大クレームに四苦八苦していた。僕は4年間クレームは1件もなくて、その支店長はでかい売り上げを少し売るより小さなものをちょっとずつ届けろみたいなことを教えてくれていた。そうするとね、波がないんですよ。自分自身の精神状態も安定する。さっきの「頑張ってる論」で言うと、当てはまるんじゃないかなあ。調子が悪いときこそ、自分を客観的に見ないとダメっていうか。

──それが二十歳そこそこの時の経験なんですよね。

黒田:今あのときに戻っても、あのやり方をしてもう一回今のここに来れると思う。人は集まりますよ。だって、人が集まるまで帰らないんですもん。

──なるほど。

黒田:人が集まるまで喉から血出るまで歌うんです。で、翌日喉から血でてるのにまた行こうって言うんですよ(笑)。ほんま尋常じゃなかったんですって。常にストリートに出てたし、ダメだったらライブやった倍の時間くらい話し合いするし、結果が出るまで試行錯誤していろんな形を考えてやり続けるんですから、いつかは絶対に当たりますよね。

■ 布袋さんのヒーローっぷりって半端ない
■ 僕、子供が戦隊もののヒーローベルトを欲しがるのと一緒でしたよ(小渕)

──二人の関係性は今後も変わらぬままと思いますが、今回のアルバムでは布袋寅泰との共作が収録されましたね。作曲に他者が入ったのは初めてですよね?

小渕:はい。依頼したのはここ十何年…初めてですね。詞は書くので「メロディだけお願いしていいですか」って言ったら「もちろん」って。メロディが送られてきたんですけど、そこに「ぜひこの歌の中で二人が旅をして欲しい」とメッセージをくださって。生きることの苦しみとか悲しみとか、いろんな思いをオーディエンスと共有していける歌に育ててほしい、みたいなことを頂いて。

──メッセージがついてくるって、いいですね。

小渕:そうなんです。それで「NO PAIN, NO GAIN」というテーマ性にたどり着いたんです。

──サビなどは布袋寅泰の匂いがすごくしますよね。普段のコブクロだったら「痛みなくしては得られない」って日本語で歌うところでしょ?

黒田:確かに。

──「NO PAIN NO GAIN♪」と歌ってしまうのは、布袋寅泰メロディの力でしょうか。

小渕:そうですね。

黒田:しかもサビみたいなメロディが何個もあるっていう。僕らとは作り方が全然違うなって思いますね。

──そもそも、今までずっと二人で曲を作ってきたコブクロが、他の人に曲を提供してもらおうという発想はどこから?

小渕:<LIVE TOUR 2015 "奇跡">のツアー前に、アップテンポな曲を書くって言ってたんですけど、キラーンみたいにひらめいて「布袋さんに書いてもらおうか」って。このツアーは「奇跡」を歌うためじゃなくてね、「ツアー全部を観たときに奇跡を感じてもらうにはどうすればいいか」って話を日々してたんです。最終的にみんなで「ココロの羽」という繋がりのある歌を歌うんですけど、そこでひとつになるという奇跡を生むがためには、どんな奇跡があるのかって。僕の中の「これが叶ったら奇跡」っていうのは、憧れた人に曲を書いてもらうことでもあったから。僕らシンガーソングライターだから誰かに曲を書いてもらうってこと自体普通に考えたらあり得ないんですけど、憧れてますから。血となり肉となったその音楽性を学んだ先輩からだったら、僕は書いてもらっていいなって。

──そもそも小渕さんは布袋寅泰のコンクリート・ギターを持っていますよね。

小渕:布袋さんが渡英されるときに、手放すギターがいくつかあるって言われたんですよ。「全部は持って行けないんだよ、俺」って。何百本にもなっちゃって「結局弾かないんだったら可哀想だから、弾きたい人にって思ってるんだよね」って。もう僕、キラキラ乙女になっちゃって(笑)。で、手放すギターの中にコンクリートが入ってて「コンクリートだけは僕にもう、僕に!」って。「まあ、コブちゃん以外にも欲しい人いっぱいいるんだよね」って言われたけど、「わかってます、わかってます。でも布袋さん、僕、こんなお願いしたことないですよね?」って(笑)。布袋ファンからすれば、あれが一番想いが強いギターだったんですね。デヴィッド・ボウイの「STARMAN」を歌う時に弾いていたっていう雰囲気もたまんなくって。僕に譲ってくれるっていう話になったとき、すんげー泣きそうでした。

──わかります。当時私も雑誌でコンクリート・ギターの取材を重ねていましたから、あのギターの凄さとレア度は十分存じております。

小渕:それで去年のツアーでは、これを弾いたんです。布袋さんのヒーローっぷりってやっぱり半端じゃなくて、子供が戦隊もののヒーローベルトを欲しがるのと一緒ですよ。うわっ、すげ!って、追っかけ続けてたから。

──あのモデルは発売されませんでしたからね。

小渕:はい。世の中にあれしかないんですよ。

──今回の共作の興奮度も伝わってきます。

小渕:可愛がって頂いています。コブクロの曲でギターを弾いてもらうというアイディアは前からあったんです。「3曲まで無料でダビングします」とかギャグで言ってくれてたんですよ。

黒田:あはははは(笑)。

小渕:曲を作ってもらうというのは最高のコラボレーションですよね。懐に入り合わないとできないことだから、それが実現して本当に嬉しかったです。

──もちろんギターは布袋寅泰で。

小渕:ギターは全部布袋さんです。実はこの前、布袋さんのレコーディングに呼んでもらって、日本でコーラスをダビングしたんです。「コブちゃんたちの曲をイギリスでやって、自分の曲を日本でやってる。どうなってんだ?」って言ってました(笑)。

──『TIMELESS WORLD』は、思いも夢も詰め込まれた素晴らしい作品になりましたね。

小渕:すべての曲において、ただの衝動で作ったものではなく、ライブのことまで考えられたことが大きいです。そして「歌いたい」という衝動の強さで全部を包み込むっていうここまでのアルバムはないかもしれないですね。聴く音楽というよりも歌う音楽。歌を歌いたくなる音楽。

──なるほど。

小渕:布袋さんのギターを聴いてギターが弾きたくなったように、このアルバムを聴いて「歌いたい」と思える人が増える。CDって失くしちゃったり歌詞カードがどこか行っちゃったりするけど、音楽は心に残るでしょ?それが僕の目指すところなんですよ。「上を向いて歩こう」は、みんな知ってますけど、家にCDがあるわけじゃない。CDがあるかないかはどっちでもいいんです。携帯に入っているか入っていないかも、どっちでもいい。音楽は最後、口元に残る。心と頭に記憶されて、口元まで来るか?が、僕のこのアルバムの大きいテーマです。歌ってもらい歌い継がれること。

──より一層ツアーが楽しみになりました。ありがとうございました。

取材・文:BARKS編集長 烏丸哲也

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アルバム 『TIMELESS WORLD』
2016年6月15日(水)発売
■初回限定盤(CD+DVD)
WPZL-31195/6 ¥4,500(+税)
※5年ぶりの学祭ライブ「慶應義塾大学 第57回三田祭前夜祭」の模様を全編収録したDVD付き
■通常盤(CD)
WPCL-12389 ¥3,000(+税)

[収録曲]
01.「 SUNRISE」 アサヒビール「アサヒもぎたて」CMソング
02. 「未来」映画「orange-オレンジ-」主題歌
03. 「何故、旅をするのだろう」 JR西日本CMソング
04.「 tOKi meki」
05. 「SNIFF OUT !」 テレビ東京系ドラマ「警視庁ゼロ係~生活安全課なんでも相談室~」主題歌
06. 「サイ(レ)ン」
07. 「hana」ロッテGhana CMソング
08. 「星が綺麗な夜でした」
09. 「Twilight」 映画「トワイライト ささらさや」主題歌
10. 「Tearless」
11. 「陽だまりの道」 ドラマ「ブラック・プレジデント」主題歌/紀陽銀行CM
12. 「42.195km」 大阪マラソン・公式テーマソング
13. 「奇跡」ドラマ「DOCTORS 3 最強の名医」主題歌
14. 「NO PAIN, NO GAIN feat.布袋寅泰」 東京個別指導学院CMソング
15. 「STAGE」 テレビ朝日ドラマ「警視庁・捜査一課長」主題歌

<KOBUKURO LIVE TOUR 2016“TIMELESS WORLD” supported by Ghana>
2016年8月27日(土) 札幌・真駒内セキスイハイムアイスアリーナ 開場16:30/開演17:30
2016年8月28日(日) 札幌・真駒内セキスイハイムアイスアリーナ 開場15:00/開演16:00
2016年9月10日(土) 広島グリーンアリーナ 開場16:30/開演17:30
2016年9月11日(日) 広島グリーンアリーナ 開場15:00/開演16:00
2016年9月21日(水) 名古屋・日本ガイシホール 開場17:30/開演18:30
2016年9月22日(木・祝) 名古屋・日本ガイシホール 開場15:00/開演16:00
2016年10月1日(土) 名古屋・日本ガイシホール 開場16:30/開演17:30
2016年10月2日(日) 名古屋・日本ガイシホール 開場15:00/開演16:00
2016年10月8日(土) 愛媛・ひめぎんホール・メインホール 開場16:45/開演17:30
2016年10月9日(日) 愛媛・ひめぎんホール・メインホール 開場15:15/開演16:00
2016年10月24日(月) 日本武道館 開場17:30/開演18:30
2016年10月25日(火) 日本武道館 開場17:30/開演18:30
2016年11月2日(水) 仙台サンプラザホール 開場17:45/開演18:30
2016年11月3日(木・祝) 仙台サンプラザホール 開場15:15/開演16:00
2016年11月9日(水) 新潟県民会館 開場17:45/開演18:30
2016年11月10日(木) 新潟県民会館 開場17:45/開演18:30
2016年11月19日(土) さいたまスーパーアリーナ 開場16:00/開演17:30
2016年11月20日(日) さいたまスーパーアリーナ 開場14:30/開演16:00
2016年11月26日(土) マリンメッセ福岡 開場16:30/開演17:30
2016年11月27日(日) マリンメッセ福岡 開場15:00/開演16:00
2016年12月5日(月) 宮崎市民文化ホール 開場17:45/開演18:30
2016年12月6日(火) 宮崎市民文化ホール 開場17:45/開演18:30
2016年12月17日(土) 京セラドーム大阪 開場15:00/開演17:00
2016年12月18日(日) 京セラドーム大阪 開場14:00/開演16:00

チケット料金:全席指定¥7,900(税込) ※6歳未満入場不可

■「KOBUKURO LIVE TOUR 2016“TIMELESS WORLD” supported by Ghana」特設サイト
URL http://emtg.jp/feature/kobukuro_tour2016/

最終更新:6月16日(木)22時7分

BARKS