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被災地復興、金融機関は何をしているのか

qBiz 西日本新聞経済電子版 6月14日(火)10時46分配信

 熊本地震から2カ月経過し、被災事業者の復旧・復興に向けた取り組みが本格化している。ここで重要な役割を担うのが被災地の金融機関だ。地銀や政府系金融機関、国、自治体は融資条件の緩和や低利融資など「東日本大震災並み」(熊本県)の支援メニューをそろえて地域経済の立て直しを目指すが、課題も多い。いま金融機関は何をしているのか。動きを追った。

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 地震発生後、熊本県は融資に必要な保証料を全額負担する制度を導入。熊本市も年2%までの金利を3年間肩代わりする仕組みを始めるなど、被災企業の負担をできるだけ軽くする支援を次々と打ち出した。

 ただ「こうした制度が事業主に周知しきれていない」(地銀関係者)ため、地場銀行も聞き取りなどの中で利用を促している。

 ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)傘下の熊本銀行(熊本市)幹部は「地震が原因の倒産を起こさせない」と力を込める。取引先事業者約1万2千件すべてを訪問し、被災状況を調査。当面の運転資金や修繕資金などに約100億円を融資した。FFG傘下の福岡銀と親和銀から行員約20人の応援も受け、急増する事務手続きなどをカバーしている。

 地場最大手の肥後銀行(同)も県内で取引がある事業者約1万6千件の聞き取りを終えた。「被害状況を正確に把握し、よりよい支援をするため」(広報担当者)過去の取引先も調査対象に含め、支援を急ぐ。これまでに約130億円を融資したという。

 ただ、こうした支援には手続きに一定の時間がかかる。融資の保証を担う熊本県信用保証協会(同)は地震直後、罹災証明などがなくても月商1カ月分の融資の保証を認める独自策を導入。支援制度の融資を受けられるまでの「つなぎ」(同協会担当者)が目的で、この分の融資だけで514件45億7千万円に上る。

 融資だけではない。政府系ファンドの地域経済活性化支援機構(REVIC、東京)は、東日本大震災を経験した地域金融機関のノウハウを生かし、東北の地方銀行の行員を熊本に派遣しているほか、九州の金融機関に復興ファンドの設立を呼び掛けている。

 機構が東北の地銀行員を派遣するのは、被災地の金融機関が初期対応などを迅速に進められるよう支援するのが狙いだ。機構は5月上旬、熊本市内に事務所を置き、これまでに七十七銀行(仙台市)、東邦銀行(福島市)、岩手銀行(盛岡市)の行員3人らを派遣。「地元金融機関向けの震災対応セミナーも検討している」(熊本事務所)という。

 東日本大震災では、被災した企業が震災前の借り入れに加え、新たな借金を抱える「二重ローン」が問題となった。金融機関による支援は融資が中心。このため機構はファンドを通じた出資や、債権の買い取りなどの制度を生かし、できるだけ多くの企業再生につなげようと、地銀などに100億円規模のファンド設立を提案している。

 機構の林謙治常務は「災害からの復興にはスピードが重要となる。地域経済のため企業が廃業を選ぶことがないよう、地域の金融機関と協力して支援をしていきたい」としている。

西日本新聞社

最終更新:6月14日(火)11時6分

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