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熊本地震2カ月 農業、景観つなごう“復耕”誓う手植え 阿蘇市

日本農業新聞 6月14日(火)7時0分配信

 熊本県を中心に各地に甚大な被害を出した熊本地震の発生から14日で2カ月。水田の亀裂・陥没や農業用水路の損壊が相次いだ阿蘇市で、稲作復興の動きが進んでいる。農家や地元住民、全国から駆け付けたボランティアらが復旧に汗を流し、一時は作付けを断念した水田で田植えにこぎ着けるケースも出た。今なお手付かずの水田も残るが、農家らは将来を見据え、“復耕”を誓い、将来に向けて種をまいている。

 「この田植えを復興へのスタートにしよう。災害を乗り越え、将来につなげよう」

 阿蘇外輪山の麓に位置し、深刻な農業被害に見舞われた同市狩尾地区。今月上旬、地元農家や全国の有志ら100人以上が駆け付けた。「阿蘇復耕(ふっこう)祭」と銘打った田植えイベントを開き、力を合わせて復興に取り組むと宣言した。

 地区の水田70アールを手掛ける五嶋幸也さん(44)は「これだけの人が被災地を思ってくれていると知り、力をもらった」と言葉に力を込めた。地震被害で一時、作付けを断念したが、「阿蘇の農業や景観を守るためにも、できる限り米を作り続けたい」と決意を新たにした。

 稲作が盛んな同地区では、4月16日の本震で水田に亀裂が走り、水路が崩壊。ボランティアらの協力もあって復旧が進んだが、川から水をくみ上げるポンプが壊れたため、稲作農家は今期の作付けを諦めていた。

 一方、30年ほど前に枯れたとされる地元の「産神社」周辺の湧水が地震後に奇跡的に復活。水路に水が流れ始め、地域に希望の光が差した。

 課題は苗だった。通常の田植え時期を1カ月ほど過ぎたため、大きくなり、機械での植え付けが難しくなっていた。だが、ボランティアらを総動員した手植えならば可能と判断。地域住民らがイベントを企画し、田植えにこぎ着けた。

 イベントでは、地元住民やボランティアらが水田約2ヘクタールに「森のくまさん」や「コシヒカリ」を作付けた。参加者は、雨の中でも笑顔を絶やさず、農家の手ほどきを受けながら手作業で田植えを終えた。

 「立派な稲を収穫し、恩返ししたい」と五嶋さん。阿蘇市の佐藤義興市長は「ステンドグラスのような美しい水田を取り戻し、阿蘇復興のシンボルにしたい」と力を込める。

 ただ、地震の爪痕は大きく、課題も残る。市によると、農家らによる復旧作業が急ピッチで進んでいるものの、管内の水田4424ヘクタールのうち、約300ヘクタールでは水稲が作付けできない状態が続いている。JA阿蘇は「前向きな農家の意欲に応えるためにも、息の長い支援が必要だ」と訴える。(松本大輔)

日本農業新聞

最終更新:6月14日(火)7時0分

日本農業新聞

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