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地震から2カ月、営農再建へ “農ボラ” 欠かせぬ存在に 熊本県西原村

日本農業新聞 6月14日(火)12時30分配信

 熊本地震から14日で2カ月がたつ中、本震で震度7を記録した熊本県西原村の農家を助ける「農業復興ボランティア(通称=農ボラ)」が活動を続けている。「熊本のために何かしたい」と、同村農業復興ボランティアセンターを訪れた農ボラは全国から延べ1354人(13日現在)。農作業を通して被災農家が受けた心の傷を癒やすことにもつながっている。

サツマイモ苗作りニンニク調製 延べ1300人活躍

 西原村では、今も545人が避難所生活を余儀なくされている。2カ月たっても家の屋根は青いビニールシートで覆われ、「危険」と書かれた赤い紙が貼られた家も目立つ。だが地震の影響は、建物以上に農家の心に大きな打撃を与えた。

 サツマイモ農家の曽我君代さん(65)は定植直前の畑が損壊。張ったばかりのマルチもぐちゃぐちゃになった。「今年はもう植えられんば」。畑を見つめ曽我さんは思った。ただただ、ショックだった。断水で1カ月間、風呂に入れない日が続いた。余震への恐怖と今年は収入がなくなるかもしれないという不安から、夫と言い争うこともあった。「体より心の方が大変やった」と振り返る。

 そんな曽我さんの不安を解消してくれたのが、各地から駆け付けた農ボラの若者だった。関西から来た女子大生は「お母さん、何でも手伝うよ。元気を出して」と励ましてくれた。以来、連日のように京都や東京、兵庫、岡山などから農ボラがやって来た。

 彼らの力を借りて6月上旬には約1カ月遅れでサツマイモ畑1.5ヘクタールで苗の定植を終えた。「広かば畑が、見る見るうちに作業が進んだ。助けがなければ諦めるしかなかった」と曽我さん。今は遅れていたニンニクの出荷調製作業を進める。暑い中でも、一生懸命に手伝ってくれる姿を見て元気を取り戻したという。

 同村特産のサツマイモ「シルクスイート」を1.6ヘクタール栽培する松永とちえさん(61)の畑でも、岡山県から来た大学生の中藤寛人さん(18)と小笠原崇さん(18)が苗作りを手伝った。小笠原さんは「被災地を助けたいとみんな、思っている。農作業はやったことがなくても体力には自信がある。村の復興に継続的に関わっていきたい」と意欲を見せる。

 「震災はあったけど、つながりができたことがうれしい」と松永さん。農ボラで村を訪れた若者と、また会えることが「何よりの楽しみ」と笑顔を見せた。

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最終更新:6月14日(火)12時30分

日本農業新聞