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「神戸製鋼の銅板条戦略」〈磯野執行役員〉=自動車向け、世界で拡販

鉄鋼新聞 6/14(火) 6:00配信

 神戸製鋼所の銅板条事業は中長期的な拡大が見込まれる自動車関連市場に注力する戦略を展開。高性能な銅合金やめっき技術を生かし、高付加価値な製品群の拡販を目指している。今後は営業・製造・開発など多角的な実力をさらに向上。グローバルなシェア拡大を推進する。成長に向けた方策について事業を指揮する銅板ユニット長の磯野誠昭執行役員に聞いた。(古瀬 唯)

――まずは現在の状況から。
 「銅板条の販売数量は15年度、前期比約9%減の月間4100トン強だった。主に減速したのは半導体用のリードフレーム材。電子機器向けの汎用的な部分で中国や韓国勢の素材が増えてきたほか、日系の半導体メーカーが軟調だったことも影響した。車載中心の端子材は大きな落ち込みはなく、ほぼ前期並み。今年度の販売数量は約1割増の月間4500トンが目標だ。現在リードフレーム材の需要が戻ってきており、端子材も若干増えている。足元は見込みを上回るペース。リードフレーム材は電子機器用で在庫調整が済み底を打って改善している。端子材は日系自動車会社の海外販売に支えられ増えてきた」
――今年度から5カ年の中期計画がスタートしました。
 「重視するのは自動車関連の市場。世界的な販売台数は中長期的に見れば確実に伸びる。加えて安全性を高める国際規格が動き始めているほか、自動運転などの技術開発で車載電子部品は増加する。そのため1台当たりの銅板条の搭載数量も増えていくだろう。車載向けでは端子コネクタ材だけでなく半導体用のリードフレーム材も増やしていく」
 「端子材は高性能合金や低摩擦めっきが武器になる。低摩擦めっきは車載電線の接続力を低減するもので当社がリードしている。また欧米の伸銅品大手に低摩擦めっきと銅合金の技術を供与しており、グローバル調達が可能な使い勝手の良さも我々の強み。低摩擦めっきは国内では良さが認められ着実に増えており海外にも期待している。今後は低摩擦めっきと銅合金セットでさらに採用を広めたい。リードフレーム材は車載と民生向けともに、薄物やエッチング用の材料など品質で差別化できるものに力を入れる」
――海外での拡大を狙う内容に。
 「国内市場は長期的に人口減少などで成熟化する。成長には輸出によるグローバルなシェア拡大が不可欠。現行の銅板条全体の輸出比率は約4割だが、まずは18年度に5割を目指す。その後はさらに右肩上がりで伸ばしたい。日系メーカーの自動車に加え、欧米やアジアなど非日系での搭載を増やす。銅板条事業は中国、タイ、シンガポールに拠点がありローカルの営業マンを有しているほか、連携する流通業者の皆さんもいる。前線で顧客とこまめに顔を合わせる人達の営業力をさらに高める研修プログラムを整備する。今月末には海外の流通業者の人たちを中心とした勉強会を長府製造所で行う。これは初の取り組みだ」
――販売数量の伸びについては。
 「15年度比で約2割増の月間5千トンが目標。これは長府製造所の現在の設備で生産できる量だ。自動車向けの端子材の増加を見込むとリフロ錫めっきラインがボトルネックだったが、増設が予定通り進んでいる。新ラインで低摩擦めっきを含めたリフロ錫めっきの能力が5割高まるので、スムーズな対応が可能になるだろう」
――今後研究開発で力点を置くテーマは。
 「ハイブリッド車や電気自動車の部材に求められる高電圧に対応する銅合金やめっきの開発を進める。また電子機器が発する熱を放熱・散熱させる新分野で既存合金が採用され始めており、その流れをさらに拡大させるため新合金や表面処理について考える。ここではスマートフォンやタブレットPC向けなどを想定している」
――効率化やコストダウンに向けた取り組みについては。
 「長府製造所では前中期でシステム化を進め、さまざまな設備でデータを採取できるようになった。昨年からは「スマートファクトリープロジェクト」として、そのデータを生産技術の向上に生かす取り組みを始めている。これまでに現場のオペレーターがさまざまな変化に気付いたりモチベーションを高めたりできるよう見える化を進めた。現在品質と歩留まりの改善に取り組んでおり、今後は生産性向上や設備の突発故障防止にもつなげていきたい。併せて地道な改善活動もたゆまず続ける」

最終更新:6/14(火) 6:00

鉄鋼新聞