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高齢者貧困率OECD1位の韓国 汚名返上のための新指標を開発中

ハンギョレ新聞 6月14日(火)22時8分配信

不動産保有反映した新しい高齢者貧困指標 所得だけで算出するのが国際的基準 専門家「関係ないことに労力...公的年金の強化に努めるべき」

 保健福祉部が、韓国の高齢者の貧困率の統計が現実よりも高く出る傾向があるとして、新しい高齢者貧困指標の開発に乗り出した。実際の高齢者の貧困問題を軽減するために、老後の所得を増やす対策に力を注ぐのではなく、統計基準を変えて数値を下げようとしていると批判されている。現在の韓国の高齢者貧困率は、経済協力開発機構(OECD)加盟国で1位だ。

 13日、福祉部と国策研究機関の韓国保健社会研究院の担当者の話によると、福祉部は今年2月、保健社会研究院に「韓国の高齢者貧困の実態分析と所得保障の方案」をテーマにした研究を依頼した。この研究の主な課題は、「従来の高齢者貧困率の指標以外に、高齢者の所得と財産保有など、韓国の特殊性を反映して高齢者の貧困の実態を正確に把握できる指標の開発」。

 年金と、個人が自発的に加入した私的年金、仕事で稼いだ勤労所得、貯蓄の利息をはじめとする金融所得などが含まれる。OECD資料によると、韓国の高齢者貧困率は49.6%で、比較対象34カ国(国別、2012年あるいは最新値基準)の中で最も高い水準であり、OECD平均(12.4%)の4倍に達する。政府は、韓国の場合、住宅を保有している高齢者が多いため、OECDのように現金収入だけを基準にすると、貧困率が実際よりも高く出ると見ている。したがって、住宅などの資産が世帯所得に与える影響を考慮した対案的な指標の開発に乗り出す必要があるということだ。

 福祉部は昨年にも、国会の「公的年金の強化と老後の貧困解消のための特別委員会」に高齢者貧困率が現実とかけ離れていると報告した。国民年金の所得代替率の引き上げなどを議論するために設けられた特別委員会で、統計基準から問題視したのだ。当時福祉部は保健社会研究院にすでに関連の分析を依頼したが、基準を変えても高齢者貧困率があまり変わらないという分析結果の報告を受けたことが確認された。保健社会研究院の幹部はハンギョレとのインタビューで「昨年、政府の要請で、高齢者世帯が保有している不動産を現金収入に換算した場合の貧困率に及ぼす影響を分析したところ、影響があまり大きくないという分析結果が出たため、政府に報告した」と語った。保健社会研究院の内部分析報告書には、韓国の高齢者の不動産保有率が他の国に比べて、高いとも言えないという内容も盛り込まれていたことが分かった。

 政府は、保健社会研究院の分析結果にもかかわらず、今年再び研究を保健社会研究院に依頼すると共に、福祉部、統計庁、国民年金研究院、社会保障情報院、保険研究院の関係者や大学教授など約10人の専門家会議体を設け、諮問を受けるように指示した。福祉部の担当者は、「保険社会研究院が昨年行った分析よりもっと深く検証をしてみる必要があり、専門家の諮問を基にした研究が進められている」とした上で、「新しい指標が開発されれば、OECDなどの国際機関にも関連指標の活用を提案する計画だ」と述べた。

 専門家らは、韓国の高齢者貧困率が他の国に比べて圧倒的に高い理由は、公的年金制度が整っていないためと指摘する。高齢者世帯の所得項目別の割合を調べると、韓国は公的年金の割合が16.3%に過ぎないが、OECD加盟国の平均は58.6%に達する。一方、勤労所得の割合は、韓国が63.0%であるのに対し、OECD平均は23.9%だ。高齢者になった後も、勤労所得に依存している割合が高いため、貧困のリスクに陥りやすいのだ。

 ある国策研究機関の貧困政策研究者は、「貧困の概念は、現在もらっている勤労所得や公的年金、資本所得などで最低限の生活ができるかどうかを見るものだ。世界のどの国でも財産をどのくらい保有しているのかを反映し、貧困率の統計を取ることはない。公的年金を強化するための対策作りが求められているのに、政府は関係ないところに労力を費やしている」と批判した。社会公共研究所のイ・ジェフン研究委員は、「現実に即した各高齢者世帯の状況を考慮せず、住宅資産を可処分所得として換算し、貧困率の数値だけを下げようとしても意味がなく、むしろ現在の貧困が過小推計されるおそれがある」と指摘した。

ファン・ボヨン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:6月14日(火)22時8分

ハンギョレ新聞