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退職金制度のない会社が増えているらしい それってよくないことなの?

THE PAGE 6/17(金) 7:00配信

 退職金制度がない、あるいは従来の退職金制度を見直す企業が増えているといわれています。そもそも退職金制度とはどのようなものなのでしょうか。また、退職金制度のない会社は選択しない方がよいのでしょうか。

そもそも退職金制度のはじまりは?

 退職金は、戦後の日本企業で普及した慣行で、法的な根拠のある制度というわけではありません。したがって退職金制度を採用するかどうかは企業次第ということになります。

 戦前の日本社会は自由競争が徹底しており、終身雇用という制度はほとんど普及していませんでした。大きな転機となったのは、太平洋戦争による国家総動員体制です。無理な戦費調達に伴う財政インフレに対応するため、政府は賃金統制を実施せざるを得なくなりました。初任給や年ごとの昇給額を政府が決定するようになり、事実上の年功序列・終身雇用制度がスタートしたわけです。現在の雇用制度はこの慣行が継続したものといわれています(1940年体制ともいわれる)。

 終身雇用が大前提ということになると、企業は長年にわたって貢献した人材を手厚く処遇した方が合理的です。戦後の高度成長時代には大量の熟練労働者が必要とされ、人材を定着させるためには、こうした制度が有効に作用しました。定年まで勤め上げた人に、多額の報酬を支払うという退職金制度は、基本的に年功序列・終身雇用とセットになった仕組みと考えるべきでしょう。

現在の経済メカニズムに合わせ、廃止または見直しの方向へ

 しかし時代は変わり、企業の経営は多様化が進んできました。転職も珍しくなくなった今、年功序列・終身雇用制度を維持することが難しくなっています。しかし、これまで続けてきた制度を一気に廃止すると大きな抵抗が起こります。結果として企業はもっとも手を付けやすい退職金制度から見直しを進めているというのが現実です。

 退職金制度にはそもそも法的な枠組みがありませんから、制度の内容も各社バラバラとなっています。したがって退職金制度の見直しも、会社によってやり方は様々です。

 一時給付金を支払う代わりに退職金をすべて廃止するところもありますし、退職金を毎月の給料にプラスして前払いする企業もあります(大手企業ではパナソニックが1998年に選択制として同制度を導入し話題となりました)。また前払いで受け取ったお金を確定拠出年金(いわゆる401K)に回し、退職時に運用益を加えて受け取るシステムを採用しているところもあります(ファーストリテイリングなど)。

 いずれにせよ、従来の退職金制度は、現在の経済メカニズムには合わなくなっており、基本的に廃止もしくは見直しされていく可能性が高いと考えられます。退職金制度がない会社は無条件で敬遠するといった考え方は持たない方がよいでしょう。従業員に対する報酬のあり方は企業によって様々です。最終的には自身の人生設計に合った企業を選択することが重要です。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:6/17(金) 7:00

THE PAGE